2007.5.28 一部改訂

 ビッグバンの勝利で決着がついたとの幻想を一般の人に与えるような、主流の人々の思慮の浅い偏見に満ちた発言は、私からすれば信じがたいものです。 もしビッグバンが否定されれば自分たちの地位や名声が奪われてしまうという恐怖によるものなのでしょうか。 それらをすべて犠牲にしても真実をはっきりさせるのが、科学者に与えられた使命です。 多数派に今にもひねり潰されそうな立場ですので、やや強めの発言もお許しいただきたいと思います。 「批判だけならだれでもできる」、というのは主流の人たちがよく言うことですが、確かにそうかも知れません。 私のホームページが他の多くの反ビッグバンサイトと違うところは、新しい定常宇宙モデルを数式で示したことでしょう。 今までバラバラに書いていたので、その定常宇宙モデルの全体がよくわかっていない方もいるかもしれませんので、まとめて次に書くことにします。  ここに書く定常宇宙モデルは、あくまでも私が考えた一つの案であり、この案に致命的欠陥があったとしても、定常宇宙がただちに否定されるわけではありません。 しかし主流のビッグバンを信奉する方々は、私の案が廃案になるよう、また今までに私が指摘したビッグバンの問題点を解消するよう、是非努力してください。 


 私は宇宙は有限で重力によって閉じていて、大きくも小さくもならず定常であると考えています。 有限で閉じた宇宙には運動量の平均値が存在し、その系は宇宙背景放射をつくり絶対静止系であり、その他の従来慣性系と考えられていた系は加速度を持ちます(この考えはどの慣性系から見ても光の速度は同じという相対性原理を否定するものではありません)。 この加速度は背景放射に対する速度vと宇宙の曲率半径Rにより求めることができ、その値は a=v^2/R となります。 宇宙論的赤方偏移はこの重力によって曲げられ閉じた空間を加速度運動することにより絶対静止系にとどめようとする宇宙からの反作用を受けて生じる、と考えています。 その実際の数式は(第9章相対性理論の修正)に示したように宇宙全体からの重力作用として光では、F=E/R (Eは光の持つエネルギー、Rは宇宙の曲率半径)の力を受けてそのエネルギーを失い、その波長は、λ=λ0e^(x/R)  (λ0は放射時の波長、eは自然対数の底、xは地球までの距離、Rは宇宙の曲率半径) に変化します。 これは赤方偏移 z = e^(x/R) -1 ともあらわせます。 この数式を実際の観測データに適用すると、 超新星の観測データから宇宙の曲率半径は約150億光年、閉じた宇宙の一周の大きさは2π*150億光年となり、約940億光年になると考えています。 おそらく宇宙の質量密度はこの大きさに宇宙を閉じさせる臨界密度になることが予想されます。 第16章に書いたように、遠くの銀河から来る光は宇宙全体からの重力作用により赤方偏移を受けるのですから、重力の強い天体から脱出する光と同等であり、放射した銀河ではz+1が示すだけ時間の経過が遅くなります。 これはその放出した時期の宇宙では時間の経過が遅かったとも考えることができます。 これにより遠くの超新星の時間経過の説明ができます。
 宇宙背景放射は今までビッグバンによって予測されビッグバンの根拠とされてきました。 しかしそれは宇宙の初期の残光ではなく宇宙空間に存在する物質が熱的平衡にあるため放射していると考えています。 宇宙空間に存在する物質の放射によりどうして宇宙背景放射が10万分の1と言う滑らかさをもつのか、2.725Kの黒体放射にどうして限りなく一致するかについては第20章にて説明しています。
 光子は有限な宇宙においては最大でもその宇宙の大きさ以上の波長を持つことはできず、静止時には先に1000億光年程度の波長を持ちその波長は α=h/mC(hはプランク定数、mは粒子の静止質量、Cは光速度)で表されます。 そのおおよその静止質量 m=(6.63×10^-34)/(3×10^8×1×10^27)=2×10^(-69)kgとなります。 将来光子の極わずかな静止質量が計測されれば、このモデルの正否がわかるでしょう。
 宇宙は本質的にどこもそしていつでも同じ姿をしていると考えます(完全宇宙原理)。 クエーサーについては、主流の方々はそれらが示す高赤方偏移より、10億光年以上の遠く(10億年以上前)にしか存在せず時間的な偏りがあると考えています。 しかし、私はクエーサーの赤方偏移はおそらく個々のクエーサーが持つ固有の赤方偏移とそれと先に示した宇宙の湾曲による宇宙論的赤方偏移を足したもので、この宇宙に空間的にも時間的にも偏りなく存在していると考えています。 宇宙が時間的には定常を保ち変化しない理由として、4章(熱力学第2法則について)で書いたように宇宙では物質が熱的平衡にある部分と、重力的に物質が凝集している部分とが混在しながら、違いに姿を変え、そのような状態の変化を恒久的なものとし存在し続けると考えています。 局所的には進化していますが、それは一方的な進化ではなくまた還元しうる進化であり、大局的には定常状態を保っていることになります。 実際的には宇宙は重力によって目に見えるような銀河を形成し周囲に光を放射し、その中心核は重力的に崩落し高密度となっています。 しかしそれらの重力で崩落する中心核や天体は決して、「どこまでも収縮し続けて光も脱出できないブラックホールを形成し二度と元には戻らない」、と考えるべきではありません。 銀河の中心核は非常に高密度に収縮しますが、決して事象の地平線は形成されず、それどころかその回転面と垂直方向にジェットをつくり、銀河間空間に物質を噴出し最終的に消失するか、もしくは新たに別の銀河と融合し質量を補給され再度活発化する、と私は考えています。 皆さんがブラックホールになっていると思ってしまうほどの重力の作用によって、重い元素はバラバラにされ、ジェットから噴出される物質は陽子や電子に還元されているでしょう。 つまり活動銀河核などの高密度な状態に崩落していく天体は、重力を利用した宇宙のリサイクルセンターであり、銀河間宇宙空間に物質を還元しているのです。 つまりこれらブラックホールモドキは定常宇宙にとってなくてはならない存在なのです。 事象の地平線を形成しそこに入ったものは光でさえ脱出できないという考えからはかけ離れたものです。 一般相対性理論から導くことができるというのは間違いである、というのが私のブラックホール否定の直接的理由ですが、間接的な理由がここにあるのです。 ホーキングが最近になり理由は少し違いますが、決して物質がそこから脱出することができないというブラックホールを否定しています。私の考えに歩みよってきたように思えます。 

 

定常宇宙モデルのまとめ