☆アンドロメダ銀河から考えたこと
☆銀河間空間に物質はあるのか?
☆宇宙背景放射の予想はビッグバン派が最初ではない
☆10万分の1のゆらぎがもたらす困難
☆COBE・WMAPデータはビッグバンを支持しない!
☆宇宙マイクロ波背景放射は宇宙初期の残光ではない!



☆アンドロメダ銀河から考えたこと
 アンドロメダ銀河は大きな銀河としては我々の一番近くに位置するお隣さんです。230万光年先にあり直径は13万光年あります。 2.3メートル先にある直径13センチメートルの物体と同じ大きさに見えることになります。これはかなり大きな物体で見かけは満月の大きさの6倍にもなります。 下の写真を見てわかるように、アンドロメダ銀河は大変美しい銀河です。こんなきれいな銀河が夜空にそんな大きさであるなら誰もが実際に見ているはずですが、ほとんどの人は実際に肉眼で見た事がないのではないでしょうか。南半球でしか見えないとか、そんなわけではありません。 日本では秋に北の空に見えます。 ほとんどの人が見た事がないのは大きさがいくら大きくても暗いからです。 周りに光源が少ない郊外で晴れ渡った夜にやっと肉眼でなんとなくそれかなというぐらいの明るさにしか見えません。市街地でも双眼鏡(5cm口径で7倍ぐらいが一番よいとされています)で見ることができますが、もちろん下の写真のようにはとても見えず、ボーッとした淡い雲のように見えます。      


 この大きくても目立たないアンドロメダ銀河はなんと肉眼で見える最も遠い天体でもあるのです。太陽系の大きさを冥王星までの平均半径と考えその半径を約10cmまで縮めると、アンドロメダ銀河までの距離はおおよそ地球から月までの距離になります。
もし私達が太陽系や私達の銀河やアンドロメダ銀河からも遠く離れて広大な銀河間のど真ん中の空間にまで旅したとしたら、そこから見える景色はどんなものでしょうか。今まで地球で見ていた天体はほとんどが銀河内の星ですから、銀河間の空間からは肉眼ではほとんど星や銀河は見えないはずです。望遠鏡や双眼鏡などを使わなければ一つも天体を観測することはできません。考えただけでも寒気がします。こんな空間に物質を置いても、銀河からやってくる光でその物質を温めることなどできそうにもありません。それに対して私達の身近な太陽系内ではどうでしょうか。表面温度約6000℃の太陽はまぶしくて直視できません。また夏のじりじりと照りつける暑さからわかるように私達を十分に温めることができます。ではどのぐらいに私達を温める能力があるのでしょうか。ここではSDSS SkyServerのホームページから引用します。
http://skyserver.sdss.org/edr/jp/proj/advanced/colors/other.asp 
私たちの太陽系の惑星と、星の間の塵はどちらもほとんど完璧な熱的放射源として放射を出しています。しかしどちらも星に比べてずっと冷たく、惑星の温度はだいたい 300 K (27 C)、塵粒子の温度はだいたい 30 K ( -243 C) です。惑星と塵粒子はとても温度が低いので、熱的放射をほんの少ししか出しません。そしてこの放射のピーク波長は、可視光からずっと離れた赤外線の波長のところにあります。

太陽からの距離によって温度は違ってくるはずですがここでは惑星の温度はだいたい300K(27C)と書いてありますので、どうもこれは地球を惑星の代表として書いてあるようです。塵粒子の温度は30Kということですがこれはずいぶん惑星に比べると低いようです。おそらく保温ができなくすぐ放射して冷えてしまうからでしょう。地球より外の惑星はどうなのかと調べてみると冥王星では表面温度の平均は44K程度とかなり低くなっているようです。それからすれば太陽系内でも地球よりもっと外側の塵粒子の温度は30Kよりはるかに低いはずです。明るく輝く太陽の近くですら宇宙空間の塵の温度はこんなに低いのですから、銀河から離れた銀河間の宇宙空間の塵の温度は、星からの光もほとんど届かず、さらにずっと低いと考えるのは当然のことでしょう。銀河間の宇宙空間に存在する塵が3K程度の温度であると予想することは最もありそうなことです。実際にインターネットなどで調べてみると宇宙空間の温度は3Kであるとどこにでも書いてあります。 ここで先ほどの引用で気をつけるべきことは、星の間の塵も完璧な熱的放射源として放射を出している、と書いてあることです。銀河間の塵が3K程度でありそれが熱的放射源であるなら同時に宇宙マイクロ波背景放射の2.73K放射を吸収しそれを再放射しこれを繰り返すことにより熱的平衡状態になるはずです。銀河間などの宇宙空間の背景放射の温度とそこに存在する塵のような物質の温度が一致すると考えるのは大変自然なことです。

☆宇宙空間に物質はあるのか

 以上に述べたような考えがもし成立しないのであればその理由は次の2つのどちらかによると考えられます。
@宇宙空間に物質がまったく存在しない。
A何らかの物質が存在していてもそれらの物質と背景放射の光が反応しない。

 まず@が本当なのか、つまり広大な銀河間などの宇宙空間には物質が全く存在しないのかどうかを考えてみましょう。宇宙には活動銀河と呼ばれる活発な中心核を持つ銀河が存在しその中のある種の活動銀河の中心核から光速に近い速さで長いものでは数百万光年ものプラズマジェットが吹き出しているものがあります。プラズマジェットは光さえも脱出が困難(脱出できないではなくあくまでも困難です)と言われる高密度の中心核に物質が落ち込むときに強い磁場が生じその影響などで電子や陽子などがその中心核の両極から噴出しているといわれています。 数百万光年もの長さで噴出しているのですから噴出される先は当然その銀河の外、つまり銀河間の宇宙空間です。このようにして銀河間の宇宙空間にはかなりの量の陽子や電子(電離した水素原子)が存在していると私は考えています。  ビッグバンモデルではこのような活動銀河核からの噴出だけではありません。 現在では、銀河や銀河団は密度ゆらぎがある閾値よりも高いところで選択的に形成されたというバイアスモデルが主流になっているようですが、バイアスモデルでは当然銀河間の広大な空間にはもともと通常の物質が取り残されていることになります。 また一方宇宙背景放射が極めて一様であるのに,現在の目に見える銀河などの物質の分布は大きくゆらいでいるためダークマター(暗黒物質)という架空の物質の存在を主流の方々は仮定しているようです。 バイアスモデルでの銀河間に取り残された物質がダークマターということになるのでしょうか。 このダークマターは本当に光と反応しないのかもしくは光と反応する可能性はあるが現時点ではよく見えていないだけなのかもわかっていないらしいです。 バイアスモデルを採用すればわけのわからないダークマターは必要ないように私には思えます。 ビッグバンモデルですら何らかの物質が銀河間の宇宙空間にかなり存在することを予想していることになります。 どうも@の銀河間にまったく物質が存在しないというのは否定してもよさそうです。 
 では次にAを考えましょう。 今や主流のバイアスモデルでは銀河になりそこなった閾値以下の通常の物質が銀河間にも必ず存在するはずです。このモデルではダークマターを光と反応しない物質と仮定する必要は特別にはないと思われます。 それなのになぜビッグバン論者は光と反応しないダークマターに固執するのでしょうか。 おそらく光と反応しないダークマターでないとそれ自体が放射を行うため、背景放射がビッグバンの名残として過去から現在へやってきたと考える事が不可能になるからでしょうか。 保身のためだけに、光と反応しないダークマターを主張しているように、私には思えます。 しかし活動銀河核から放出されるジェットの存在により、確実に陽子や電子が宇宙空間に撒き散らされているのはわかっています。 なぜこれを無視するのでしょうか。これらの事実から、光とは反応しない物質だけが銀河間などの宇宙空間には存在するという仮定は否定してよいと考えます。

☆宇宙背景放射の予想はビッグバン派が最初ではない
 宇宙背景放射はビッグバン論者が予言したとして、日本では今まで宇宙背景放射が存在するだけでビッグバンの勝利であると説明されてきました。ところがWikipediaでの説明や近藤陽次氏の著作など(これらの元の資料と思われる文献を示します。 History of the 2.7 K Temperature Prior to Penzias and Wilson http://redshift.vif.com/JournalFiles/Pre2001/V02NO3PDF/V02N3ASS.PDF )を見てもわかるように、Guillaumeは1896年に5-6K、Eddingtonは1926年に3.18Kの黒体輻射温度を銀河内空間は持つと考えました。 1933年にRegenerは何と2.8Kの温度を銀河間空間が持つと示しました。 もちろんこれらは空間に存在する物質が温度平衡に達して放射する温度と考えています。 このように、宇宙空間の物質による輻射温度として正確な温度が宇宙背景放射の発見以前に予測されていたことが最近になり日本でも認識されるようになってきました。  第5章で書いた1948年発表のαβγ理論が予測した5Kよりも発表はずっと早い時期でありかつ正確でした。 私は第5章でビッグバン派が背景放射を予測したので一般的にはビッグバンが勝利したように考えられた、と書きましたが、これは間違いであることになります。 背景放射の存在だけでビッグバンに軍配が上がるというのは、もはや時代遅れの幻想にしかすぎません。

☆10万分の1のゆらぎがもたらす困難

 最近では、主流派の人たちは、銀河間の物質からの放射ではとても10万分の1程度のゆらぎしかない背景放射の滑らかさを説明できない、という理由で背景放射の宇宙空間由来説を否定しています。 今や、背景放射の存在ではなく、滑らかさがビッグバンの根拠と見なされているようです。 いつの間にか定常宇宙否定の理由は、彼らの考える遠くの銀河のように後退しています。 ゆらぎが滑らかであることがまだわからなかった時に、定常宇宙を否定していたのは根拠がなかった、と自ら認めたということでしょうか。 彼らの主張の問題点は、更に続きます。 ビッグバン宇宙にも背景放射の10万分の1のゆらぎではとても宇宙の初期の銀河や銀河団などからなる大規模構造  ( http://www.journals.uchicago.edu/ApJ/journal/issues/ApJL/v586n2/17014/17014.web.pdf  )があっという間にはできないという困難があります。 10万分の1のゆらぎに関してはビッグバンも定常宇宙も全く同様の困難があるのです。 それでビッグバンではダークマターやバイアスモデルを考え出したのではないでしょうか。 これらモデルでは銀河や銀河団は、平坦な海底面を持つ海のような物質分布の波のとんがった先端部分を表すもののように、考えられています。 これらのモデルで、わずかなゆらぎであっという間に大規模構造を作ることを可能にしようとしています。 なぜ自分達のモデルではこのような新しい概念を好き勝手に持ち出すのに、相手のモデルに対してはその様な寛容性がないのでしょうか。 私にも定常宇宙版のバイアスモデルを採用させてください。 そうすれば背景放射は、ほとんど平坦な分布の銀河間の物質によるため、ゆらぎは少なくて済むでしょう。
 このような考え方が正しいなら銀河間などの宇宙空間はおおよそ3Kあたりの温度であり、そこに存在する物質もその温度で背景放射と熱的平衡状態にあると思われます。 さらにはそれらの物質自体が熱的放射源になっていると予測するのが素直な考えではないでしょうか。3K程度の温度で熱的平衡状態にあり熱的放射源になっているなら当然それはほぼ3K程度の黒体放射を行っているはずです。 ビッグバンで説明しているのと同じ理由によってその滑らかさも説明可能でしょう。 これは現在観測されている宇宙のマイクロ波背景放射とは別のものでしょうか。 おそらくそのようなものは2.73K背景放射の付近に全く別のものとして観測されてはいないでしょう。  ビッグバン論者は定常宇宙を否定するのであれば、その前に、このような銀河間などの宇宙空間物質からの放射が現在の宇宙背景放射以外にどこにあるのかを示さなければなりません。

☆COBE・WMAPデータはビッグバンを支持しない!
 それでも私の意見を無視し、主流の方々はCOBEやWMAPによる観測結果は、ビッグバン理論の予想とすばらしく一致しており、それによってビッグバン理論は確固たるものになったと言われるのでしょう。本当にそうなのでしょうか。 ビッグバン理論による予想の中には、あらゆるデータに備えいくつものパラメータが設定してあり、ビッグバン理論自体ではそのパラメータの値を決定することができません。 COBEやWMAPの観測によってそれらのパラメーターの値を決定しています。 その結果4%が通常の物質、23%が正体不明のダークマター、73%がこれまた正体不明のダークエネルギーである事がわかったとの事なのです。 これはどういうことを意味するのでしょうか。実は見方を考えれば予想に沿うのはわずか4%だけ、後は常識的な物理学の範囲内にないものを持ち出さないと説明できない、ということです。 つまり96%(ほとんど)はずれていたとも言えます。 これで予想とすばらしく一致していたと言ってよいのでしょうか。 主流の方々は自分の都合のよいようにしか説明をせず、またそれを伝える人たちもそれを鵜呑みにして決して疑問を抱いていないようです。わけのわからない物を持ち出すという反則技が許されるならどんなに幼稚な理論でも成立させることができます。 この幼稚な理論とよく似た理論を我々は知っています。 第10章にも書きました天動説です。 一見正確に観測データを再現しているようでも意味不明な周転円を次々に付け加えることによってそれは成立しているのです。 ダークマターやダークエネルギーがそれら周転円とどれほどの違いがあるのでしょうか。 それに比べたらこのホームページで主張する定常宇宙論はダークマターやダークエネルギーを持ち出す必要もなく困難はわずかなものです。 もはやビッグバンの優位性を示すような根拠は全くありません。それどころか、定常宇宙に比べ説明困難な観測的事実が次から次へと報告されていることを素直に認識すべきでしょう。 いつまでもビッグバンの優位性を信じて疑わないのは無知と思考の欠如によるものです。

☆宇宙マイクロ波背景放射は宇宙初期の残光ではない!
 先の文を書いた後、昨年買ったままずっと積んでおいた日経サイエンスを読んでみますと、正にビッグバンに対しての致命的とも思える困難がありました。 ここに紹介しましょう。 
 宇宙マイクロ波背景放射はビッグバン論者によれば、ビッグバンから40万年後に宇宙が約3000度であった時に陽子と電子が結合し中性の水素原子となり、光が直進するようになったため、、はるばる137億年かけて今日の我々の元にやってきた宇宙初期の残光である、ということになっています。 
もしこれが本当であればこれら背景放射には我々の近傍の宇宙の状況は反映されないはずです。 ところが、日経サイエンス2005年11月号p22〜p31 「宇宙の調べは狂っている? 背景放射の奇妙なずれ」 (同様の内容の文献が次にあります arXiv:astro-ph/0403353 v3 24 Nov 2004   Is the low-l microwave background cosmic? ,http://arxiv.org/PS_cache/astro-ph/pdf/0403/0403353v3.pdf  arXiv:astro-ph/0605135 v2 31 May 2006   The Uncorrelated Universe: Statistical Anisotropy and the Vanishing Angular Correlation Function in WMAP Years 1-3 http://arxiv.org/PS_cache/astro-ph/pdf/0605/0605135v2.pdf ) によれば、この背景放射のゆらぎを詳細に調べたところ、ゆらぎが特定の方向に関係した成分を持っているとの事なのです。 ビッグバン及びそれより派生するインフレーション理論によれば、背景放射のゆらぎが特定の方向を取ることはありえないことなのです。 著者によると、あるはずのない特定の方向を示す点が黄道(地球の公転面を天球に投影した線)に驚くほど近い場所に位置しており特に春分点と秋分点(天球面に投影した地球の赤道が黄道に交わる2点)に近い位置になるとの事です。 このほかに、近傍の超銀河団によって定義される「超銀河平面」にもそれらの特定の方向があるとの事です。 背景放射のゆらぎは地球の公転面や私たちの近傍の超銀河団に関する成分を持っているのですから、これはその放射が太陽系に関係する空間や我々の銀河周辺の空間から行われていることを示している、と考えるのが最も先入観のない素直な考えでしょう。 著者は一部そのようなことをにおわせてはいますが、ゆらぎの異常な成分の説明として、未知のマイクロ波源あるいは吸収体がデータに狂いを生み出している可能性をあげています。 しかし、マイクロ波背景放射に近い波長の光を検出可能なだけの強度で放出(あるいは吸収)する物体がありながら、他の波長域ではほとんど放出・吸収をおこさないためにこれまで発見されずにきた、というのはありえない事とも言っています。 それはそうでしょう。 もしマイクロ波背景放射と同じ波長のあたりで、十分検出可能なほど光を放出し、他の波長は放出していないのであれば、それは背景放射そのものと言えますから。 即ち、宇宙マイクロ波背景放射は我々の近傍の銀河内や銀河間の宇宙空間から放射されている、ということになります。 著者はもしかしたら、これが背景放射の本当の正体である、と言いたいのをこらえて、間接的に表現しているのかもしれません。 
 ここで、「宇宙の調べは狂っている?」の著者の言葉を引用します。
現在のところ、インフレーション理論に取って代わるような説得力のあるモデルはない。このモデルを人為的に調整すれば、l=22,40,210でのズレを生じさせ、かつ大規模スケールどおりのパワースペクトルを導き出すこともできるだろう。だが、そんな”偽造インフレーションモデル”はもはや説得力のある科学理論の枠を逸脱している。これでは、天動説に固執するあまり、天体の軌道に仮想的な周転円を付け加えたプトレマイオスの二の舞といわれても仕方がない。」 

 既に反乱軍の活動が始まっているのかもしれません。

 

19  COBE・WMAPデータはビッグバンを支持しない!