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アインシュタインは膨張する宇宙に反対した          
一般相対性理論による宇宙の膨張とはどんな事を意味するのか  
一般相対性理論の原点にもどる                
なぜ一般相対性理論の解釈を間違ったのか           
一般相対性理論からは定常宇宙が導かれる           

BACKMENUHOME  アインシュタインは膨張する宇宙に反対した

 1917年、アインシュタインは彼の導いた一般相対性理論を、宇宙論に適用しようとしました。物質によって空間は歪みを生じそれはあたかも2次元の平面が曲面になるようなものであると考えたのです。そして宇宙に存在する物質がどこでも同じように分布しているのであれば、どこでも同じ曲面となりそれは2次元で考えるならば球の表面のようになるであろうと予想したのでした。この類推よりアインシュタインは宇宙に一般相対性理論を適用すれば宇宙は有限で閉じた世界となるであろうと考えました。さらに、彼は宇宙が時間的に変化して行くことのない静的なものであるという仮定をつけくわえました。彼の信念によれば、宇宙が時間とともにその大きさを変えて行くということは許されないことであったのです。
 しかし、1920年代になって、フリードマンが一般相対性理論からは決して静的な宇宙モデルを引き出すことはできず、宇宙は時間の経過とともに膨張するかもしくは縮小するかのどちらかである事を証明した、ということになっています。この証明はむずかしいものでしょうが、そのおおよその理屈は一般相対性理論の概念を使わなくともニュートン力学だけで十分です。地球の表面から投げたボールは地球とボールとの間の重力作用により、減速しながら上昇していくか又は落下するかのどちらかだけです。静止するのは上昇から落下に移る一瞬のみで、時間的には0になります。ところで、宇宙にあるすべての物質は重力によって互いに引き合います。先の地球とボールとの関係を宇宙に当てはめると、上昇するのは膨張に当たり、落下するのは収縮に当たります。決して静止はできないことになります。つまり静止して、時間的に大きさの変化しない宇宙はニュートン力学からも一般相対性理論からも導くことができないとされたのです。
 アインシュタインはこの結果を知って落胆しました。そして彼の静止宇宙モデルを成立させるために、宇宙項と呼ばれる項を、彼の理論のもともとの方程式に付け加えました。重力が引力だけであるために静止することができないので、そのためにこの引力と釣り合わせるために、斥力の項を宇宙項として付け加えたのです。この斥力は実験的には全く発見されていない架空の力であり、彼の信念だけによって生み出された力です。

BACKMENUHOME  一般相対性理論による宇宙の膨張とはどんな事を意味するのか

 1929年ハッブルによって発見された、遠くに存在する銀河系ほど赤方偏移が強いという事実により、膨張宇宙が広く信じられるようになりました。後にアインシュタインは、その信念を曲げ、宇宙は膨張するという考えが正しいと信じるようになるとともに、宇宙項の導入を学問上の「最大の失敗」だったと言っています。
ハッブルの発見が本当に膨張宇宙を支持するかどうかについては、他の章でさらに詳しく検討します。ここでは本当に一般相対性理論が静止宇宙を否定するのかどうかについて検討してみましょう。
 ここで、この問題について思考実験を行うことにしよう。膨張する宇宙の時間を逆回しにした場合、または収縮する宇宙を考えてみよう。宇宙が長さにして、1/a(a>1)体積にして1/a3に収縮したと考えてみましょう。このとき宇宙はどのように収縮するのでしょうか。宇宙の大規模構造はその割合で収縮していくのでしょうか。銀河の大きさはどうでしょうか。惑星系の大きさはどうなるのでしょうか。恒星の大きさはどうでしょうか。つきつめて考えれば素粒子の大きさはどうなるのでしょうか。いったいどのレベルで収縮がおこるのでしょうか。どうも従来の膨張宇宙モデルでは、時間を逆回しにした時、より下のレベルでの大きさはそのままで、一番上のレベルより、つまり宇宙の大規模構造、銀河、惑系・・・・という順番に間隔が狭くなり収縮が進んでいくと考えているようです(この部分を明瞭に解説したものを私は知りませんが)。しかしその収縮の方式の根拠が明解であるとは思えません。
  ここに1つの収縮のモデルとして中性子星の収縮を考えてみましょう。このような天体は収縮により物質密度が高まり、もはや原子の構造は消失し星全体が中性子だけからなる原子核となります。通常の原子の構造は壊されていますが、より下位のレベルの中性子はその大きさや性質を保持しているのです。この成立の過程では超新星爆発を起こし、その爆発によりその星の一部を吹き飛ばしますが、吹き飛ばされない部分だけを考える限り、その星の質量は収縮前も収縮後もほとんど変化はしません。
 このような収縮とは全く異なったもう一つの収縮の方式について考えてみましょう。それは特殊相対性理論によるローレンツ収縮です。ロケットで光速度に近いような速さで飛行したとします。このとき運動の方向に1/aに収縮したと考えます。aがたいへん大きな数としたとき、このロケットは圧縮のために破壊され、この中の乗務員は死んでしまうでしょうか。特殊相対性理論ではそのようには考えません。外の系から見ると収縮しているようでも、そのロケットの中の乗務員は収縮しているということすら感じないで過ごすことができます。つまりローレンツ収縮では物質の最小レベルにおいても同方向に等しく収縮しているために、長さの基準も収縮し結局はその収縮した系の中においては、収縮のすべての効果がキャンセルして、まったく収縮していないのと同じ状態にいることになります。次に、ロケットが飛行しているときにロケットの中の乗務員が外の宇宙を見た場合を考えてみましょう。このとき外からロケットを見たときとは逆に、宇宙全体がロケットの運動方向に対してローレンツ収縮を受けます。そしてロケットから見ると、宇宙全体の質量があたかも増加したようにみえることになります。宇宙のどこかの惑星の住民は1つのロケットが高速で飛んだからといって圧縮されて死んだりはしません。ロケットから見ると収縮し質量も増加しているように見えても、ロケットの外の者にとっては、先ほどと同様の理由によりそれらの収縮の効果すべてがキャンセルし合ってわからなくなってしまうのです。  宇宙の収縮が中性子星とロケットのどちらの様式をとるかを考えてみましょう。これは実は簡単なことです。中性子星の収縮はその考えに相対性理論を持ち込んでおらず、それに比してロケットの方は相対性理論による収縮です。宇宙モデルが相対性理論より得られるのですからロケットのほうの収縮方式を採用するのは当たり前ではないでしょうか。ここで読者の方は宇宙モデルは一般相対性理論であり、ロケットは特殊相対性理論ではないかと思われるかもしれませんが、一般相対性理論も元は等価性原理と特殊相対性理論より導かれることを考えればその収縮の様式が特殊相対性理論によって説明できなければなりません。
 そして、ロケットからみた宇宙のこのような収縮が一方向でなく、空間の3つの方向すべてに対して起こったとしても宇宙にいる人にはやはりわからないでしょう。そしてこれはまさしく、一般相対性理論により宇宙全体が収縮したのと同じ現象と考えてよいのです。

BACKMENUHOME 一般相対性理論の原点にもどる

 一般相対性理論についての解説書はたくさんあります。しかしそれらのすべてが真に、一般相対性理論を完全に理解した人によって書かれているとは限りません。その著者自身は完全に理解していると信じていて、実際にその数式的取り扱いについても慣れていたとしても、その真の理念についてマスターしている場合は少ないのです。もしかするとアインシュタイン自身も、いろいろな個々の場合において、一般相対性理論を適用するときに元の理念を忘れてしまっているかもしれません。
 一般相対性理論が、すばらしく、そしてアインシュタインが天才であると言われるのは、この理論が、実験によらずに純粋に頭の中で論理によって完成されたからです。そして、今日の物理学のいろいろな理論が、多数の人々によって積み重ねられ形成されたものがほとんどであるのに対して、相対性理論は、アインシュタインただ一人の力によって生み出され、そしてその後修正が行われていないところが驚異なのです。
 このような理論の是非や理念について考えるときに、他の人によって書かれた書物はほとんど信用するに足りません。この理論の応用の是非については原点に立ち返って検討すべきです。
 さて一般相対性理論の出発点は重力質量と慣性質量の同等性にあります。このことは、重力と加速度の同等性をも意味しています。そしてこれより得られる時間的空間的な値の物理的解釈の求め方を、彼の著書から引用することにしましょう。
(特殊および一般「相対性理論」について A.アインシュタイン著 金子務訳 白揚社より) 適当に選んだ運動状態の基準体Kに対して相対的に重力場が存在しないような、1つの時空領域があるとせよ。このさい、注目しているこの領域に関してKがガリレイ基準体であり、特殊相対性理論の諸結果はKに対して相対的に適合する。その同じ領域を、Kに対して相対的に回転している第2の基準体K’に準拠させて考えることにする。我々が考えている像を確定するために、ここに1つの平らな円盤があって、その中心のまわりを同じ平面内で一様に回転している姿K’を考える。円盤K’上のへりに腰かけている観測者は、直径方向に外方へ向かう力を感ずる。‥‥‥‥‥‥‥‥円盤とともに運動する観測者が、1単位の測量棒を円盤のへりにそれと接線をなすように置くならば、ガリレイ系から判断して、それは1より短くなる。というのは、運動体はその運動方向に短縮するからである。それに対して測量棒を円盤の直径方向に置けば、Kから判断して、こんどはちっとも短縮しない。
 ここで紹介した、アインシュタインの考え方をわかりやすく解説してみましょう。高速度で回転する円盤を考えた場合、中心部は動いていないが円盤の縁はものすごい速さで運動していることになります。この運動の速さが光速度に比して十分な速さをもつときその長さは特殊相対性理論の効果を受けます。力を加えても曲がったり伸びたり縮んだりしない剛体の測量棒を円盤の縁でその接線方向に置きますと、その堅さにも関わらず特殊相対性理論の効果により長さが縮んでしまいます。ところが円盤の直径方向では長さは縮みません。時間においてもこの効果を受けて、円盤の縁では進み方が遅れます。またこの円盤の半径と回転スピードからこの円盤の縁の外方へ向かう力(遠心力)は決定されます。この力は、円盤の外の基準となる系の人から見れば慣性の作用(遠心力)と解釈されますが、円盤の縁に腰掛けている人からは重力の作用と区別することはできません。一般相対性理論では、この重力と慣性の力を等価と考えています。つまり回転によって得られた力は、重力と同等と考え、回転によって剛体の測量棒が縮むことから、重力によってもこの測量棒は同様に縮むと考えるわけです。円盤の縁から中心までの距離の間に特殊相対性理論で得られるだけの時空の歪みをきたし、そしてこの時空の歪みは、この時に円盤の縁にいる観測者が感じられる遠心力と等しい重力作用によってももたらされると考えるのです。つまりは、一般相対性理論で得られる時空の歪みは等価原理と特殊相対性理論によっているというわけです。
 さてここで気をつけていただきたいのは、アインシュタインは時空の歪みの説明として力を加えても曲がったり伸びたり縮んだりしない剛体の測量棒を考えていることです。この測量棒の概念はまさしく固い物質をイメージしています。この物質に対する特殊相対性理論の効果によって、決して変形することがないと仮定したにも関わらず、物質が変形したかのような結論がもたらされるのは、実は空間の歪みという概念により解決されると考えたのが一般相対性理論なのです。ここでは、もはや物質と空間の区別はまったくありません。空間の歪みはまさに物質のイメージによって説明されているのです。多くの人々によって間違って解釈されているのは、一般相対性理論では空間と物質が別物として取り扱うように考えられている点です。物質もある場所においてある大きさを占めている以上は、そこにおいてはその物質そのものが空間なのです。今までの宇宙モデルにおいては、宇宙が膨張や収縮をするときに、物質を形成する原子などの大きさは変わらず、したがって銀河などの天体構造の大きさもそのままで、その間の宇宙空間だけが狭くなったり広くなったりするように考えています。しかし一般相対性理論では物質と空間を別物として取り扱う理由などまるでないのです。アインシュタインが示したように、時間と空間と物質が互いに独立したものではなく、お互いに関係し合って宇宙に時空が存在するのです。空間と物質を別物として扱い物質の大きさがそのままで物質間の距離が変化し宇宙が収縮や膨張をしていくように考えるのは、ニュートン力学の考え方です。なぜ一般相対性理論を用いた結果が、ニュートン力学と同じ結果になるでしょうか。そのおかしさをなぜ認識しないのか実に不思議です。

BACKMENUHOME  なぜ一般相対性理論の解釈を間違ったのか

 これまでに述べた理由により、宇宙全体の膨張や収縮は不可能であることがわかります。しかしなぜ全ての人々特に物理学者が間違った解釈をしているのでしょうか。その理由をここで考えてみることにします。
 まず一般相対性理論により空間が収縮または膨張するということがあるとします。このような空間の膨張または収縮がどのようなことを意味するのかは複雑な問題であり私にはとても説明できませんが、大きな重力を有する星の周辺ではそのようなことが起きて空間の歪みとなるわけです。しかし宇宙全体の膨張収縮はどうでしょうか。全体的に膨張するか収縮するかはあくまでも外から見たときのイメージでしかありません。宇宙に外という概念は存在しないのですからあくまでも宇宙の中で全てを考えないといけないのです。もし宇宙が収縮しようとしても一般相対性理論の理念に従えば、その中に含まれる全ての物質も同様に収縮するのですから、宇宙の大きさを測定する物差し自体も縮み結局はその収縮の効果をキャンセルしてしまいます。このように考えた場合宇宙の器としての大きさのみが膨張して、その中に存在する物質はその大きさを変えずに次第に希薄になっていくという考えは全くのナンセンスです。宇宙の概念がはっきりと身についておらず、宇宙より更に大きなものの存在を仮定しそこの物差しを使って宇宙の大きさを測ろうとしているから間違ってしまうのです。
 一般相対性理論自体は決して万能の理論ではありません。ニュートン力学は光速に近い速さでは無力でしたが、特殊相対性理論ではそのような場合でも適用する事ができます。しかし特殊相対性理論でもなぜ光速度が越えられない速度でそのような値をとっているのかは分かりません。また一般相対性理論でも宇宙全体がどうなっているのかを考える場合まだまだ非力なのです。例えば宇宙の大きさを計算する場合、一般相対性理論だけでは何も分かりません。宇宙の中にどれだけの質量がどのような密度で存在しているのかという情報が前もって無ければ何の計算もできないのです。すなわち一般相対性理論自体には宇宙の大きさを決定するだけの力がないことになるのです。宇宙の大きさを決定する力がない理論に宇宙の大きさが変化するという答えを期待すること自体がおかしいのです。宇宙の大きさを決定することができる理論とは、もっと全てのこと例えば宇宙にはどれだけの物質が存在するのかということをその理論自体から導き出せるような理論でなければならないのです。しかし今の所これを満たす理論があるのかどうかすら不明です。

BACKMENUHOME  一般相対性理論からは定常宇宙が導かれる

 ビッグバンモデルでは宇宙が有限であるかどうかは宇宙の膨張の速さと宇宙の密度の関係で決まりましたが、ここでの私の主張に従えば、宇宙の膨張は必然的にゼロになるのですから当然宇宙は有限で閉じており定常宇宙でなければなりません。おもしろいことに、この宇宙モデルはまさしくアインシュタインが始めに予想したものなのです。このモデルこそが一般相対性理論の理念に唯一沿うものであり、アインシュタインの偉大さを実感します。そのもともとの理念に立ち返りそれと矛盾するような答えが数式からで出た場合、その数式に欠陥があるか、またはその適応に間違いがあると考えるべきでなのです。一般相対性理論の数式からビッグバンモデルが引き出されたといわれていますが、一般相対性理論の理念に立ち返れば空間の膨張は物質の膨張であり最初がぎっしり詰まった状態なら、時間が経過しても決して空虚な空間は出現しません。また逆に現在の宇宙の姿が空虚な空間が大部分を占めるなら、時間を逆戻しにして過去に逆上っても決してぎっしり物質が詰まった状態になりはしません。この理念と数式のギャップは、数式の適応や解釈に何か間違いがないかどうかを調べなけれなりません。数式の単調な変形が重要なのではなく、数式を生み出した理念が一番重要であることを認識しなければいけません。 BACKMENUHOME