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相対理論の専門家との議論          
ブラックホールについて詳しく数学的に考える        
特異点定理についてもう一度       
特異点と宇宙検閲仮説  
まとめ             

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相対性理論の専門家との議論

一般相対性理論の専門家という方とEメールのやり取りでブラックホールについて議論を行いました。この方はブラックホールが存在するのは当然と考えておられるようで、結果的には議論はほとんどかみ合うことなく終わってしまいました。これらのすべてについて読みたい方はここをクリックしてださい。 この原因は特異点は存在不可能であるという私の見解と一般相対性理論を数学的に解けば特異点は必ず存在するという彼の意見がどこまでも平行線をたどったからです。 この議論に関して、反省すべき点としては、やや感情に流されてしまったことがあります。今から考えれば、大人げなかったようにも思います。
しかしこの議論を通して得られたこともたくさんありました。 私自身ブラックホールを一般相対性理論から導く上で、特異点が存在することを仮定してブラックホールの存在を証明していると見なし、彼等がどのようにして一般相対性理論からブラックホールという概念までたどり着いたかを詳しくは知りませんでした。今回この方と議論する上で一般相対性理論の教科書を紹介していただき彼等が如何にして間違ってしまったかということが更によくわかりました。
また、一般相対性理論の専門家と言われる人達の中でも特異点の取り扱いについて必ずしも統一した見解が得られていないということもわかりました。
今回ここに示した方を含めて複数の方から、シュバルツシルトの解は星の質量が中心の点に特異点として存在することを仮定して解いたものではない事が指摘されました。 シュバルツシルトの解については一部私自身誤解していた部分があります。それはシュバルツシルトの解が完全に特異点の存在を前提条件としているとしたことです。この誤解は認めますが、結局はブラックホールを検討する段階ではやはり特異点の存在を前提条件として検討していることが確認できましたので、私が主張する理屈の道筋としては変更を必要としないことがわかりました。従って私のホームページ上の第1章のブラックホールについては訂正を行わずそのまま残し、それについて疑問に思われる方のみこの章を読まれればよいと思います。BACKMENUHOME

ブラックホールについて詳しく数学的に考える
ここで、シュバルツシルトの解について第1章より詳しくもう一度考えてみることにしましょう。
シュバルツシルトは星の周辺の重力の状態を一般相対性理論を用いて解くにあたり、星の質量が球対称な場合を考えています。この時点では特に質点としての特異点を想定していません。 ところがこれを解いた結果として、球対称でさえあればその分布が星全体に全く均等であろうが、中心点に特異点として質量が集中していようが、星の外部に於いてはその重力の状態は全く同じであることが証明されています。(バーコフの定理) これによって、本来質点を想定していなかったのに、取り扱いが簡単になるためでしょうか、以後はほとんど中心に質点(=特異点)が存在するように取り扱っています。
つまり球対称でありさえすれば質量が天体に均等に分布していようが中心に特異点を形成していようが外部の重力の状態は同じであるというバーコフの定理からブラックホールを検討する場合始めから中心に特異点の存在を仮定しその上で周辺でr=2Mに近づくにつれて空間の性質や粒子の動きがどうなるかを検討するという手法を取っています。つまりはやはり特異点を仮定しているという事実は動かしがたいのです。
以下に物理学者がどのように考えているかを引用することにしましょう。
 「任意の有限の距離Rからr=2M 面に落ちていく粒子を考えよう。落下するまでどれだけの固有時間が経過するだろうか?すなわち粒子のもっている時計でどれだけの時間が経過するだろか?・・・・・・・・・・・・・・したがって、どんな粒子も有限の固有時間で地平面(r=2M面)に到達することができる。次に落下するのにどれだけの座標時間を要するかを考えてみよう。・・・・・・・・したがって無限の座標時間の後にはじめて粒子はr=2M面に到達する、固有時間は有限だから、座標時間のこのふるまいはたちが悪い。」(シュッツ 相対論入門 下 一般相対論 江里口良治・二間瀬敏史 共訳 丸善株式会社 11.2地平面の性質) この引用でわかることは既に質点としての特異点が存在し、またシュバルツシルト面も形成されているという条件でその天体に向かって落下する粒子がどのように運動するかを調べているということです。
物理学者はバーコフの定理を悪用しています。星の質量が質点として存在しようが均等に存在しようが星の外部の重力の状態が同じであるということは、星の質量が質点として存在することを保証したわけではありません。ただ単にそう見なしても外部は同じと言うだけなのにそれを拡大解釈し既に質点が存在し,r=2Mよりも星が収縮し既にシュバルツシルト面が形成された状態が存在することを既成事実のように取り扱っています。 その上で落下する粒子のr=2Mに達する固有時間は有限であるからr=2Mを越えて星が収縮するのは当たり前と考えています。座標時間では粒子が落ち込むのを無限時間が経過することを認めていながら、この考えをおかしいとみなしています。それで自分たちに都合の良いようにクルスカル座標に座標変換してしまいr=2Mにおいても取り扱えるようにしていますが、このクルスカル座標においても矛盾は覆い隠しがたく中心に特異点が残ることとなります。 この考え方は、本当に正しいのでしょうか。いくら粒子の固有時間は有限であってもそれを外部から見れば時間の経過が遅くなり、やがて停止してしまうように観測されれば、外部からの観測では質量の集中はそこで止まってしまい特異点を形成できません。つまり外部から見るとブッラクホール形成には無限の時間が必要になります。それを落下する粒子の固有時間は有限であるからと粒子の固有時間の経過でブラックホールが形成されると考えて良いわけがありません。それは例えば光の速さに近いスピードで飛ぶロケットに乗り遠い星まで行って帰ってきた人の事を考えればわかります。その人が「その旅行は一瞬であった」と言ったのを聞いた地球にいる人が、実はそれが何千年もかかっているのに、その言葉によってその旅行者が出発したのはつい先ほどのことであったと考えるようなものです。
ここで物理学者が犯した間違いをまとめますと、
1)バーコフの定理を拡大解釈し、既に特異点が存在しているように取り扱った。
2)その特異点の形成を正当化するために落下する粒子の固有時間を正しい時間経過と考え時間経過に関する取り扱い方を歪めてしまい、有限時間内に特異点が形成されると考えてしまった。
3)更にこれを数学的にごまかすために、自分たちに都合の良いように座標変換してしまった。
この過程に於いて常に物理学者はブラックホール(=特異点)が存在することを既成事実として考えています。そのためにこれが存在するということが正しいのかどうか、という検討がいつも欠如しているのです。BACKMENUHOME

特異点定理について再び
以前に特異点定理についてはおかしい定理であることは書きましたが、まず特異点定理について日本の一般相対性理論の権威者である佐藤文隆氏の文献を引用します。
「PenroseとHawkingにより証明された特異点定理はある段階まで重力収縮すればその先に必ず特異点があらわれるという、動的過程の時間的発展に関するものである。ある段階とはtrapped surfaceができることで、球対称の場合にはSchwarzshild面に星が入ることである。この定理は入ったら途中で止まることなく一点まで収縮すると主張する。」(佐藤文隆: 5.重力崩壊とブラック・ホールの物理学. 宇宙論と統一理論の展開 佐藤文隆編 岩波出版 P19−26)
これを読みますと、実は特異点定理では無制限に特異点が必ず出現すると言っているのではない事がわかります。
事象の地平線が出現すると必ず特異点が出現するというのが特異点定理です。 事象の地平線の出現をもってブラックホールの誕生とするなら、特異点定理というのは、言い換えるとブラックホールがもし存在するなら必ず特異点が存在するという内容になります。少なくとも一部の人達の間では、それがいつのまにか特異点定理がブラックホールが存在することの根拠と見なされているように思われます。元々話は逆のはずです。 特異点が数学的に存在すべきでは無いことから考えれば、始めのブラックホールが存在するという仮定に既に間違いがあることが直ぐにわかりますし、見方を変え背理法の考えを用いるなら、特異点定理によりブラックホールは存在しないことが証明されたことになります。 特異点定理をブラックホールの存在の根拠とすることはできないことをここではっきりと認識しておかなければなりません。BACKMENUHOME

特異点と宇宙検閲仮説
ブラックホールを信じている人達の説によれば、事象の地平線の中ではあらゆる運動は必ず中心に向かい、いったんブラックホールの中に入ってしまった物質は必ず中心の1点に収縮してしまう。そしてr=0で質量の密度は無限大となり時空の曲率も無限大となり特異点を形成するといいます。 しかし、特異点とはあらゆる物理法則が適用不能な部分であり、物理学的に扱うことができません。そのために、特異点定理を導いた一人であるペンローズは裸の特異点は存在せず、必ず特異点は事象の地平線に取り囲まれて我々は観測できないので、特異点をどのように取り扱えばよいかを知る必要はないと考えました、これが宇宙検閲仮説です。 この考え方は実に矛盾だらけの考え方です。私の考えついた矛盾点をここに示すこととにします。
1)同じ一般相対性理論から導かれた解の中でどうして事象の地平線に取り囲まれた特異点のみを存在可能と考えるのでしょうか。このような考え方ではいったい特異点は存在するのか存在しないのか、どう考えているのかが全く不明です。このようないい加減な矛盾だらけの仮説は到底受け入れることができません。
2)特異点の存在は物理学的に扱うことができないので、その存在を事象の地平線で隠すことにより特異点を扱う必要がないとしていますが、物理学的に扱うことができない物がどうして本当に存在するように外部に対して影響を与えるでしょうか。また別の人(私の議論の相手)は、特異点の出現は数式を解いていけば出てくるものであり、数学的に確かに存在しているがその特異点は量子力学的効果によって消え去るので問題ないとしてるようです。これは明らかに問題のすり替えです。一般相対性理論で特異点を伴うブラックホールという概念が正しいかどうかという議論をしているときにその議論を放り出し自分に都合の良い結論だけを採用し、その根拠を曖昧にすると言う態度は到底科学的とは言えません。これは例えて言えば、ボクシングの試合で突然刀で切りつけ、何をしてもとにかく勝てばよいのだと言うようなものです。いずれにせよ特異点は一般相対性理論を取り扱うことにより生じた問題であるはずなのに、その特異点を取り扱う必要がないというのでは、その問題の生じた原因(特異点)を取り除き結果(ブラックホール)だけは存在するという誠にわけの分からない理屈になります。ブラックホールの本質は特異点でありその特異点によりブラックホールが存在すると言ってもよいぐらいなのに、その特異点を物理学的に取り扱う必要がないようにするということは全くの矛盾です。
3)一般相対性理論の専門家でブラックホールの存在を信じている人の中には宇宙検閲仮説に同意していない人がいます。この人達は特異点が物理学的に確かに存在していると信じているようです。一般相対性理論を専門としブラックホールの存在を信じている人達の中にも特異点の取り扱いについては一定の見解が得られていないことがわかります。このようなブラックホールの存在の有無に関する基礎的な問題に関して互いに矛盾した見解が存在するというのは、ブラックホールが存在すると考えること自体が根本的矛盾を持っているからです。BACKMENUHOME

まとめ
一般相対性理論から数学的に導かれたとされるブラックホールには質量密度無限大の特異点が必ず存在しブラックホール内の全質量がその一点に集中しています。 この特異点は一般相対性理論だけでなくあらゆる物理学の法則が成立しません。 この物理学の法則が成立しない一点に集中した質量がブラックホールの本質です。 これではあまりにも矛盾があるので、宇宙検閲仮説により、事象の地平線に特異点は囲まれており外部に影響を与えないとしています。
また別の人は、特異点の出現は数学的に正しいことであるが、量子力学的効果によって特異点は消え去るので問題ないとしています。 こんな話を本気で信じる人がいるという事が不思議でしようがありません。 数学的にはある仮定から出発しその仮定が成立しない結果が一つでも得られた場合その仮定が間違いであるか、もしくはその結果を得るまでの過程に間違いがあることになります(背理法)。それに従えば一般相対性理論により宇宙の空間や重力の状態を正しく説明することができるとする仮定から出発した結果、その一般相対性理論が成立しない特異点が生じるのであるなる(ただ生じるだけでなく、それこそが宇宙に重要な影響を及ぼすブラックホールそのものなのです)、一般相対性理論が正しくないか、もしくは特異点の形成を導くまでの過程に必ず間違いがあるはずなのです。
そこで、物理学者が一般相対性理論からブラックホールが導かれるとした、その論理的過程を検討すると、ブラックホールを導く上での数学的手法としては、特異点(=ブラックホール)が既に存在することを仮定した上での検討であり、決して特異点が本当に存在するのかどうかについては検討していなことがわかりました。
小学校や中学校の先生でも数学(算数)の問題を解くときに、ただ単に数式を解いてそれを直ぐに答えとして書いてはいけない、必ずその問題の答えとして矛盾がないかどうかを検討しなさい、と教えています。残念ながら今の物理学者は数式の重要性を主張するものの、このような検討を全く省いているようです。専門家でなければ理解できないような難しい数式を振り回して煙に巻いたところで、初歩的な矛盾を放置しているようでは到底理論としての正当性などありません。
私としては、ブラックホールが存在しないということに更に確信を持つことができました。私に反論するならその前にまずブラックホールが存在すると信じる人達の間でもっと統一した矛盾のない見解を示すべきです。 BACKMENUHOME