「羅針盤」12月号 第118号
発行 日本共産党三菱電機伊丹委員会
「羅針盤」は1985年10月に創刊された日本共産党伊丹委員会の職場新聞です。
「仲間と仲間、職場と家庭を結ぶ連帯のきずな」として月刊紙として発刊されました。
創刊後13年目を迎え、今号で第118号です。

大リストラがはじまった
三菱電機の職場でいま

「2000年をターゲットに3千人」―。三菱電機は、「21世紀を勝ち抜くため」にといい、98年3月期連結決算の「赤字」を最大の理由に大リストラ計画が、労働者と家族の雇用と生活をおびやかし、冷え込んだ日本経済に拍車をかけています。

「定年まで会社で働けるものと文句も言わずに、これまでがんばってきたのにひどい やり方だ」、「派遣≠チてまるで使い捨て、私にも生活がかかっているのです」、「残業代10万円のカット、そのうえボーナスまで10万円カット、ローン組んでいるのにどうしたらいいんだ」との声がどの職場からも聞こえてきます。

◆サービス残業が大っぴらに― 十数万円の減収◆

開発・設計、管理部門などでは、9月16日から、裁量企画手当が停止され、残業規制でサービス残業がいちだんとひどくなっています。職場ではトップダウン方式で時間外規制が一方的に押しつけられ1ヶ月の残業枠の上限が12時間、15時間に設定されてきました。

その結果、9月までは60〜70時間が申請できた職場が、いまは15時間しか申請できません。「サービスが大ぴらにやられています。若い人は残業せずに帰っていますが、専任や主事、主事になる一歩手前の人たちは会社の業績が悪いから≠ニ言って仕方なくやっているという感じです。さすがに課長もつらそうですが、見て見ぬふりです」とAさんは言います。

若い人も含め、職場では毎日この問題で不満がいっぱいです。しかし、どこにはけ口をもっていっていいやら分かりません。ある人は「今月から10万円ダウンだ、ローン組んでいるのにどうしていいか分からない」、「この状態がつづけば、上司との関係が悪くなるな」と不安や心配の声さえがあがっています。

◆パート・派遣労働者―契約打ち切り◆

「社外流失費用の10%削減」で、あちこちの職場で下請・協力会社採用のパート労働者や派遣労働者への一方的な契約打ち切りが…。「会社が内作に切りかえるから」などが理由です。「会社(三菱)からみるとパートって、まるで使い捨てですね、私にも家族の生活がかかっているんですよ」とBさんは言います。

ある日突然、はっきりした理由もないまま契約を打ち切られた派遣労働者のNさんは「取ったり外したりで、三菱電機の思い通りなんですね、派遣労働者は派遣先(三菱)のやりたい放題にやられるままです。何か派遣先を規制する法律はないのでしょうか」と。

◇三菱電機の「業績改善緊急策」という大リストラ計画

2000年をめどに総人員3000人削減するほか、今年の9月から、残業20%削減と裁量企画手当の停止、社外流出費用の10%削減、会社表賞金の停止など。こうした人件費削減などで、98年3月期「連結決算赤字の1000憶円」を穴埋めにしようというものです。

とはいえ、連結決算の赤字は海外子会社などのリストラ費用や半導体事業への過剰投資の失敗など「経営の舵取りミス」からおきたものです。このリストラ計画は明らかに労働者や下請子会社に一方的に犠牲を押しつけるものです。

■内部留保を少し取り崩せば人減らしする必要はない

三菱電機の98年3月期の※内部留保(ため込み金)は6,302億円(従業員一人当たり1,330万円)にふくれあがっています。
バブル崩壊・90年代不況が始まった92年3月期の内部留保が6,050億円ですから、この不況のあいだに252億円もふやしているのです。内部留保を少し取り崩せば人減らしや賃下げなどやる必要はありません。

日本の大企業は、内部留保をため込む口実として、内部留保は、企業の発展を保障する積極的で長期的戦略にたった設備投資をおこない、競争力の基盤を強化するために必要であるといいます。

事実はどうでしょうか。
日本の大企業は、設備投資にあたっては主として内部留保を取り崩すのでなく、エクイティ・ファイナンス(新株発行を伴う資金調達)などによって、世界的にみてきわめて低金利の外部資金を調達しつづけています。

■海外子会社の利益も公表せよ

しかも、内部留保は国内の企業の利益だけのものです。海外子会社の利益の詳細は有価証券報告書で公表されていません。
三菱電機の海外従業員は96年で4万人、海外雇用比率は45.8%になっています。連結決算や海外子会社の赤字をいうならば、海外子会社の利益を具体的に公表すべきです。

◇谷口一郎社長記者会見◇

「費用構造の対策については、2000年をターゲットに固定費1000億円削減、材料費等の原価低減で500億円改善、総人員は3000人削減を目指しておりまして、あらゆる費用を洗いざらいあげまして…徹底的にやっております」
(98年10月29日)


※内部留保とは
企業内にためこんだ、かくし利益を含むさまざまなもうけのこと。退職給与引当金、長期負債性引当金、資本準備金、利益準備金、任意積立金、当期未処分利益金の合計額を内部留保としています。

アメリカではディスクロージャー(経理公開)が部分的であれすすめられ、「隠し利益」など認められなくなっています。日本では「利益隠し」の合法的手段にされている各種の「引当金」や「準備金」などは、アメリカでは認められていません。

石油精製企業東燃の大株主である国際石油資本(メジャー)エクソンとモービルが、東燃のため込んだ2,300億円の「内部留保」に目をつけて、株主配当に回せと要求し、難色を示した中原社長が事実上、解任されるという事件がおきたのも記憶に新しいところです。
東燃問題は、日本的な膨大な「内部留保」などはアメリカにはなく、日本の大企業に特異な存在であることを明らかにしました。

◆大企業434社◆
人減らしの一方でため込み利益94兆円も

全労連が発行 『検証・大企業の内部留保(99年度版)』

日本の大企業434社のため込み利益(内部留保)を明らかにした
全労連の「検証・大企業の内部留保99年度版」が好評です。あなたもどうぞ。

◆春闘勝利へ学習手引き書 (価格1,000円)
●問い合わせ先=全国労働組合総連合 東京都港区新橋6の19の23 電話03(5472)5841


読 者 の 広 場
「羅針盤」読者からの投稿

●そっくりそのまま返したい

「2年連続赤字にするわけにはいかんのでガマンしてもらいます。一丸となれば克服できる。力を出して難局を乗り切ってほしい。会社がつぶれたらもともこもない。本気でがんばってもらわんといかん」…。ボーナスマイナス理由の会社説明です。そっくりそのまま経営者に返したい。 (読者・H)

● ボーナスカットで46億円もうけ?

ボーナスカット。一般職は12%から16%のカット、CSクラスは18%から20%カット、専任クラスは30万円から40万円相当のカットとのこと。社員は4万6千人、たとえば平均10万円カットとすれば会社のフトコロに46億円がころがりこむ。腹たつなー。(読者・M)

● キャリアプランで管理職も悩み

職場で煙草休憩していたら、「おい、Kくん!」と50歳代の管理職のBさんが…。「キャリヤプラン申告って知ってるかい」、「ああ知っていますよ、首切りの自主申告みたいなもんですね、ひどい制度ですね」とこたえると。

「そうなんだよ、このまま定年までいたいんだが、そうはいかんだろうなあ…」と、本当に深刻そうな顔でした。こんな話を聞くたびに労働組合を変えないといかんと、思うばかりです。(読者・K)

◆春闘アンケートにご協力を◆

三菱電機で働く仲間でつくる「春闘を前進させる会」が春闘アンケートをはじめました。今年のアンケートは自民党の悪政と大企業のリストラ攻撃のなか、たくさんの要求と不満が渦巻いています。職場と家庭の要求を春闘に反映させるとともに、政府にせまります。多くのみなさんのご協力お願いします。 「春闘を前進させる会」


◇編集後記◇

年の瀬を迎え、景気回復のきざしは見えません。国民には消費税増税、医療費改悪をおしつけ、銀行に60兆円つぎ込む。国民一人あたり50万円、4人家族で200万円です。こんなめちゃくちゃな政治を来年こそ変えなければ。 日本共産党の躍進を!
職場の要求、関心、話題などお寄せ下さい。お待ちしております。

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日本共産党三菱電機伊丹委員会 E-Mail:melcojcp@osk3.3web.ne.jp

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