「羅針盤」6・7月合併号 第115号
発行 日本共産党三菱電機伊丹委員会


「羅針盤」は1985年10月に創刊された日本共産党伊丹委員会の職場新聞です。
「仲間と仲間、職場と家庭を結ぶ連帯のきずな」として月刊紙として発刊されました。
創刊後13年目を迎え、今号で第115号です。

■身勝手な3,000人リストラ・人減らし■

三菱電機の谷口一郎・社長は、7月2日記者会見し、「今年度から3年間で従業員を3,000人以上削減する方針を明らかにした。」と報じられています。(7月3日付 日本経済新聞)

会社は、3月期の連結決算で、赤字が1059億円に達したことから、「今年度の黒字化を最優先する」とし、3,000人削減は「自然減と新規採用の抑制で達成する計画で希望退職は考えていない」と、いっています。

■「経営責任」を認めながら労働者へ責任転嫁

会社は、業績悪化の原因を「事業の見通しや選択あるいは資源の投入やリスクマネージメントの問題」(決算報告書での社長挨拶)と、市況悪化や通貨危機に対する経営の舵取りミスの責任であると、株主には報告しています。

その会社が、株主総会後の記者会見で、他の事業施策は今後つめるとしながら「雇用政策=人員削減」だけはいち早く発表しました。

「経営責任」とみずからも認めながら、労働者への責任転嫁の大方針は変えない、こんな大企業の身勝手なリストラ・人減らしが許されるが許されるでしょうか。

「人員削減」で、過密労働・「サービス残業」が横行することは目に見えています。会社は今後「事業構造・経営改革」の名のもとで、労働者には一方的な「配転・出向」を強要し、実質的な「希望退職」に追い込む施策を狙っていることは、京都・長野工場(500人)閉鎖の時の経験から想像できます。

■ 「一方的な解雇、配転は許せない労働者の切実な思い

長野工場では「AV事業の構造改革」で半数の労働者が他場所へ配転され、応じられなかった労働者は退職(転籍退職含む)に追い込まれたといわれています。

京都から伊丹に配転されたAさんはいいます。「京都が忙しかった頃にはサービス残業も月に100時間ぐらいやってきた。土日も休まず出勤もした。

しかし、この始末だ。とくに若いものが大変だ、あちこちに配転されている、会社のやり方はいいかげんすぎる。本当に腹が立つ」と…。

北伊丹事業所では、「半導体事業構造改革」でNVLの閉鎖に伴う一方的な他場所への配転など、あいついでいます。構内配転であっても連続操業のラインで不規則労働と賃金ダウンで働かざるを得ません。自宅待機のパート労働者もでています。


■「解雇規制法」で雇用を守るルールの確立を

三菱電機では「配転における本人の同意権」が労使間のルールとして確立しておらず、会社の一方的な配転が横行しているのが実態です。そのため、泣き寝入りせざるを得ない状況があります。

同時に、日本では解雇規制の法律がないため、パート、派遣社員だからと一方的に解雇。ヨーロッパでは法律で労働者の雇用上の権利が守られています。

失業率が過去最悪の4.1%となり、25人に1人が働きたくても働くことができない状態にあります。

しかし、自民党政府の悪政で不況はさらに深刻化し、大企業の身勝手なリストラ・人減らしで雇用不安は高まるばかり。
日本共産党はこうした事態を打開するために労働基準法の改悪を許さず、企業の一方的な配転、出向、解雇をやめさせ、「解雇規制法」の制定で雇用のルールを確立させるなどの政策を示して全力をあげています。

◆ 日本共産党の政策は…◆

 1. 労働条件の不利益変更を禁止し、出向、配転などで労働条件が大幅に変更される場合 
         
     は本人の同意を義務づけます。

2,一方的な解雇をやめさせます。日本には解雇規制の法律はありませんが、最高裁判所な どの判例は、以下の「4つの条件」を満たさないと解雇は無効だとしています。

@企業の維持・存続ができないほどのさしせまった必要性があること

A解雇を回避するあらゆる努力がつくされたこと

B解雇対象の人選が合理的かつ公正であること 
   
C以上について、本人と労働組合に事前に十分な説明をして了解を求めること―など。

   企業がこの基準を守るように指導・監督の強化をはかります。

3,「解雇規制法」を制定して、企業の一方的な解雇や「希望退職」という名の退職強要をめさ
           
    せます。
企業が労働者を雇用するさいは、賃金や労働時間、就業場所などの労働条件を明示さ せ、パート・派遣労働者にたいする一方的な契約打ち切りをやめさせます。 4,「サービス残業」をなくし、労働時間の短縮で雇用を増やします。サービス残業(年間300 時間)をなくせば400万人以上、労働時間をドイツなみに短縮すれば600万人以上の雇 用を増やすことができます。

■裁量企画手当制で長時間・サービス労働 <羅針盤5月号の続き>

裁量労働制の「適用職種」といわれている研究部門ではどうでしょう。

いま、「連結決算赤字」が叫ばれ、職場では「業績改善緊急対策」の指示のもと、「いつまでに、何を、どのレベルまで」とこれまで以上の開発のスピードアップを求めています。

研究員の田中さん(仮名)はこういいます。「最近、研究テーマが次々と与えられます。頭のなかがパニックになるくらい仕事量が増えています。会社は『制度の趣旨に沿って自分の仕事の進め方に工夫せよ』といいますが、忙しくて努力の余裕もないのです」と。

20時間を超える残業は上長の許可があれば申請できるようになっていますが、実際には、申請しづらい雰囲気になっています。田中さんは、休日出勤もしており、ざっと計算すると月150時間程度はサービス残業。「こんな仕事漬けのなかで、どうして自分の裁量で研究ができるでしょうか。

裁量労働は導入すべきでない」ときっぱり言いきります。
裁量企画手当制が導入されてから、研究員として必要な学会発表も会社の利益に直結するものに。会社での仕事と学会発表が重なると頭はパニック状態です。田中さんはいいます。「11時頃家に帰り、食事して床についても仕事のことが気になり夜中に目が覚めます。夜中の2時に起きて自宅のパソコンに向かってしまう」と。

本来、部課長など管理職は、部下の仕事の負荷をコントロールしなければならないのですが、忙しくてできません。退社は毎日、夜の11時頃です。終電車が近づいてやっと帰る人もいます。

家に帰ってもまだ、1時間、2時間仕事も。「きのうの睡眠時間は3時間だった」という話もめずらしくありません。裁量企画手当制が導入されてから、研究所が管理していた研究開発費を製造現場が管理するようになったのです。

その結果、研究部門の部課長は開発費予算を捻出するため、絶えず各製造現場に出かけ開発テーマをもらうため「御用聞き」に歩き回らなければなりません。
テーマの与えられない部門は“人減らしの恐怖”がつきまとっています。

「春闘を前進させる会」の春闘アンケートでは「残業代は毎月みなし、20時間分払われていますが、実質は10?20時間ぐらいはサービス残業になっている。手続きは可能ですが、実質的には非常に難しくなっているのが原因です」(30代男性)

「仕事のノルマがきびしい。メリハリもないが『利益が出なかったら仕事がないから』とおどしもある。裁量企画手当制よりも以前の方式がよい」 (40代男性)

「残業が多く毎日帰りが午後11時過ぎです。フロア全体がそんな感じなので、規制など設けた方がよいと思います](20代男性)―などなど裁量企画手当制にたいする強い不満と改善が多数寄せられているのが特徴です。

本来、「労資の枠組みのなかで日々の勤務時間の把握をおこなう」べき制度であるにもかかわらず、「残業を150時間していても40時間の申請すれば会社の勤怠簿からは消され、40時間の記録しか残りません」 とある技術者はいいます。会社がサービス残業を隠すためです。

残業が平均月に150時間とすれば年間1800時間、所定内労働時間を合わせると年間の総労働時間は「過労死のライン3000時間」をはるかにオーバーしています。

実際の労働時間の把握をおこなうべき会社も労働組合もまったく掌握できないという危険な事態が広がっているのです。

「連合」三菱労組のアンケートにも厳しい批判の声が寄せられています。
「表に出ていない労働時間が増えている。表に現れていないため対策も講じられない状態の様に思われる。現状把握、および対策が必要ではないか」と。

日本共産党三菱電機伊丹委員会は、工場門前などで、時間外、休日・深夜労働の男女共通規制を法制化することや裁量企画手当の制度を選ぶかどうかの選択権を労働者に与え、一定の期間過ぎたら見直す権利を保障する―などの要求をかかげ、労働法制改悪阻止の共同闘争をよびかけています。

三菱電機労組が加盟する「連合」は、残業の上限時間を労基法に明記させることや、あらたな裁量労働制の導入に反対して政府の労基法「改正」案からの削除を求めています。

職場でも「連合」がすすめる「労働法制改悪阻止」の署名が取り組まれ多くの人が賛同しました。職場では、「いま連合、全労連と言っている時ではない、一致する要求ではともにたたかうことが大切だ」という声が広がっています。―要求で団結し、共同を広げる条件は広がっています。「もっと人間らしいくらしをおくりたい」(30代男性)

「夫を家庭に返してください!」(30代女性)―この要求と願いに応えたい。


◇編集後記◇

フランスで行われているワールドカップも残すところあと数日になりました。
参議院選挙の投票日もあと4日に迫まりました。
日本共産党の大きな躍進で新しい世紀を希望のある日本にしましょう。

職場の要求、関心、話題などお寄せ下さい。お待ちしております。


●バックナンバー<1998年4月号>

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日本共産党三菱電機伊丹委員会 E-Mail:melcojcp@osk3.3web.ne.jp

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