わさび通信第64号  (98年7月15日)



 6月議会は、6月15日から30日まで16日間開かれ、冒頭、全会一致でインド・パキスタンの核実験に抗議し核兵器廃絶を求める決議をあげ、人事案件、条例案件など、18議案の審議し、閉会しました。教育長の商品券を配布事件については、共産党議員団が事実関係など詳しい調査を求める動議を出されましたが、賛成したのは私を含め11人で、少数賛成で、動議は否決されました。



地下水汚染問題
早急に広範囲な汚染実態の再調査が必要

 郡家本町にある松下電子応用機器株式会社内で、地下水が発ガン性の疑いがある塩素系有機溶剤テトラクロロエチレンで汚染されていることが、6月22日の建設環境委員会協議会で明らかになりました。環境基準の9400倍もの高濃度汚染です。
 高槻市では、大冠浄水場の井戸からも水道水を取水しており、80年に環境庁の委託で市内の地下水の汚染調査を行なったところ、トリクロロエチレンによる高濃度汚染地区が発見されました。以後今日まで、企業の協力を得ながら、浄化作業に取り組んでおり、地下水汚染の取り組みでは「先進市」といわれています。ところが、再び新たな地点での高濃度汚染が明らかになったため、私は一般質問でこの問題を重点的に取り上げました。
 まず、今重要なのは、原因究明、汚染の実態把握、真の浄化対策、再発防止対策だと指摘したうえ、松下から市への報告が遅れた事に対する市の見解、その原因は何か、もっと広範囲で汚染調査をすべきではないか、過去の地下水汚染の経験を踏まえ、事業者に対する指導の内容等を問いただしました。
 報告の遅れについては、今後このようなことがないようにしたい、原因については、テトラクロロエチレンは66年より96年まで計524トン使用したが、ブラウン管の後ろについているシャドウマスクの洗浄施設での使用方法に問題があった推測している、事業者への指導は適切であった、周辺井戸16本からは検出されていないため、汚染調査を拡大する必要はないと判断しているとの答弁でした。
 しかし、過去に市がどのような指導をしたのか具体的説明は一切ありませんでした。また、周辺井戸から検出されなかったといっても地下水の下流域の井戸は16本中わずか2本であり、敷地内調査と周辺井戸の調査だけでよいとする市の対応では不十分です。表1にもあるように、敷地境界の地点(M地点)の汚染は確認されており、敷地南側にもテトラクロロエチレンが流れ出ていることは十分あり得るます。
 私は範囲を広げた再調査の必要性を訴えるととともに、幸町周辺の井戸からも80年代より環境基準を越えている井戸があるため、そこでの早急な汚染実態調査を強く要望しました。
 市の答弁の最後に、谷知助役は、今までの市の指導は適切かつ先進的な指導をしてきたと自負していると締めくくりましたが、それならなぜ「松下」の汚染を防げなかったのでしょうか。

 <資料>松下電子応用機器轄rホ工場の観測井の調査結果
 <資料>高槻市に対して、高槻・市民自主講座の申し入れ 
 <資料>松下電子応用機器鰍ノ対して、高槻・市民自主講座の申し入れ



場当たり的文部行政
「心の教室相談員」は学校現場に必要か?
 6月19日の文教経済委員会協議会で、市教委より、「心の教室相談員」を本年10月より来年3月までの半年間、各中学校に配置するとの報告がありました。資格は問わず、意欲ある人を1校当たり42万円(4千円×90回+運営費6万円)という予算です。
 いじめや不登校など悩んでいる子どもへの対応は、今や専門的知識がなければできないため、文部省は96年度から専門職のスクールカウンセラー(臨床心理士)をモデル校に配置し、2年間の試行を行ってきました。高槻では第十中学校に配置し、下のような実績が報告されています。
 しかし、この「心の教室相談員」は、スクールカウンセラーとは異なり、専門職ではありません。しかも年度途中からのわずか半年で、悩んでいる子どもたちが本当に心を開くことができるのか、また、今の中学校が抱える問題の解決に少しでも役立てることができるのか、大いに疑問です。そもそも、この制度は、景気刺激策の一環として、この6月の国会の補正予算でできたもので、文部省の場当たり的な施策の典型です。
 私は拒否すべきだと考えていますが、既に各学校では人選に入っている以上、子どもたちのプライバシーを守ること、保護者との信頼関係をきちんと築き上げること、先生方との連携など運用面での要望を強く求めました。

第十中学校の教育相談実績 (件数)









96年

97年
延べ件数
児童生徒

34

65

99
保護者

21

28

49
児童+保護者

0

2

2
教員

23

62

85
その他

1

1

2
 
<編集後記>

◎7月より、公的介護保険についての実態調査が始まっています。必要なサービス
 量を把握するための一番重要な調査で、市職員による訪問調査と郵送による調査
 があります。稲城市(東京)では回収率が92%を越えたとのこと、回収率が高
 いほど精度の高い計画がつくれます。市から調査票がくれば、ぜひ御協力下さい。

◎地下水汚染を知ったのが22日、その日の内に「松下」が市に提出した報告書の
 公開を求めましたが、相手方に確認してからと、公開は質問を終えた翌日の7月
 1日でした。報告書をもとに質問できていたらと悔やまれます。

◎一般質問は45分、質問は3回までと制限付き。急遽地下水汚染問題に集中させ
 たため、準備していた他の質問は次議会に回すことにしました。

◎ 次号は8月下旬の予定です。いよいよ暑さ本番、お体にはご自愛下さい。