宇宙は減速膨張から加速膨張へ?(定常宇宙モデルは観測データを再現する!)
(http://www.aa.alpha-net.ne.jp/t2366/宇宙の膨張--減速膨張から加速膨張へ.htm 参照)

 私はこのホームページにおいて大きな失敗をしてしまったようです。宇宙は加速膨張しているように観測されるであろう(実際は定常なのだが観測結果の解釈上)と1997年に予測していたのが的中してしまい、もう決着は付いたとそれ以降の思考を停止させていました。その後遠い過去においては逆に減速膨張しているという観測結果が出ていることも知らず放置していたのです。つい最近になりそのようなことを知りました。これは困った事だと一瞬思ったのだですが、しばらくすると実はそのような結果を私の定常宇宙モデルは事前に予測することが可能であったのに、その機会を逃してしまっていた事に気が付いたのです。

 私の宇宙モデルでは距離と赤方偏移の関係は確かに図1のグラフに示すようになります(z=e^(x/R)−1 ・・・ eは自然対数の底、xは天体までの距離、Rは宇宙の曲率半径で現時点では137億光年ぐらい 詳しくは「相対性理論の修正」をご覧ください)。このグラフからは宇宙が加速膨張しているように解釈されるであろう、という結論しかえられません。しかしIa型超新星(絶対光度が一定であるとされている)の見かけの明るさからその天体までの距離を算出する方法では、私の宇宙モデルの距離とは一致しないのです。見かけの明るさから距離を算出するという方法を私の宇宙モデルに適用した場合を考えないといけなかったのです。
 それではどのようにして、私の宇宙モデルが遠い過去においては減速膨張、最近では加速膨張というように見えるのかを説明します。
 まず空間では考えにくいので、平面上で考えます。広い平らな平面にあなたが立っているとします。あなたの立っている位置を中心として放射状に直線を四方八方に同じ間隔で書きます。遠くに行くほど各直線間の距離は広くなります。同じ光源を使い平面上のいろいろな距離からあなたに届く光の明るさを調べると光源の付近にある直線間の距離と光の明るさは反比例することになります。ここでは2次元で考えたのですが。3次元であれば放射状の直線の広がりの程度の二乗に反比例します(これはきわめて常識的なことです)。ここまでは平面で考えたのですが、次は曲がった世界のことを考えます。地球の北極点にあなたは立っているとします。放射状の直線は経線と考えればよいでしょう。北極点に立つあなたは自分から遠ざかるにつれその経線間の距離も広がることを観測できます。それは平面で立っているのとほとんど変わりません。しかし、もっと大きな世界で考えると、赤道で経線間の距離が最も広くなりますが。その時は平行ですから経線間が最も広がっているときにその距離はほとんど変化しないようになります。それより遠ざかると逆に徐々にその距離は狭くなります。地球の表面に沿って2次元的に光が進行すると考えると、経線間の広がりと光源からの明るさの関係から、北極点近くでは平面上とほとんど変わらず明るさは距離に反比例します。赤道近くになるにつれ距離が遠ざかるほどには光は弱くなりません。赤道付近では明るさは一番暗くなりますが、その変化はほとんどなくなり、赤道を越えしばらくすると逆に明るくなります。
 これを有限で閉じた膨張も収縮もしない定常宇宙にあてはめると、私たちの近傍に存在する銀河の明るさは普通に距離の二乗に反比例します。しかし地球の赤道の位置に相当する宇宙を1/4周したπR/2の位置(私の主張する宇宙モデルでの宇宙の曲率半径Rは膨張速度一定のビッグバンモデルの宇宙の地平線までの距離に一致し、Rは137億光年になる。)から発する光が最も暗いのですが、この付近では距離の変化ほど光の明るさは暗くはなりません。つまり充分遠い銀河では明るさから予想される距離は実際の距離(赤方偏移から予想される距離)より近くに感じられることになります。
 地球の近傍において、私が提唱する宇宙モデルではビッグバンモデルでの赤方偏移から予想する距離より暗く銀河が観測されます。それは宇宙の膨張が加速していると一般的には解釈されることになります。ところが充分遠くなると、先に説明した理由により天体の明るさは実際の距離から予想されるより明るく観測されます。地球からπR/2の距離の天体(赤方偏移はおよそ3.8)の明るさからはその天体は宇宙の地平線までの距離Rと同じ距離にあると予想されることになります。この予想をビッグバン理論にあてはめると地球から近くでは宇宙は加速膨張(赤方偏移から予想されるより暗く観測される)しているように、おそらくR/2を超えるような遠くでは減速膨張(赤方偏移から予想されるより明るく観測される)しているように解釈されることになります。
 充分に理解された皆さんならひとつ疑問に思われることがあるかもしれません。それは私の宇宙モデルでπR/2を超える距離にある天体は実際にはどのように観測されるのかということです。距離πR/2を超えると(赤方偏移3.8を超えると)今までの説明では逆に明るく大きくなるはずです(赤方偏移は増加し続けますが)。こんな事は、決して観測されていません。私が考えた理由は、それら非常に遠方に存在する天体の前方にある宇宙の大規模構造の重力レンズの働きにより、それら天体の像が影響を受けるというものです。銀河や銀河団の真後ろや見える方向が極めて近いものは重力レンズ作用により乱されてほぼ見えなくなってしまいます。見える方向が手前の銀河・銀河団や宇宙の大規模構造から離れた場所(ボイド部分)では、非常に長いおそらく数千億光年から数兆光年程度の焦点距離の凹レンズ様の重力レンズ作用をあらわすと私は考えています。これにより本物より極わずかに小さく暗い虚像をつくり、さらにこのボイド部分の重力レンズ作用が幾重にも重なることによりπR/2を超えるような非常に遠方の天体では充分に小さく暗い虚像をつくります。πR/2以内でも非常にわずかにこの重力の凹レンズ様作用はありますので、宇宙が有限で閉じている事と、宇宙の大規模構造による重力レンズ効果の両方を実際には考えないといけません。少しややこしくなりますが、私の試算では、観測されているような宇宙の状況がほぼ再現されると考えています。
 ここまでに説明したような宇宙モデルが成立する条件をまとめておきます。
@ 宇宙は有限で閉じていて膨張も収縮もせず定常である(宇宙の曲率半径はRとする)。
A 宇宙には背景放射という絶対静止系があり、これに対して速度Vで運動する物質の加速度はV^2/Rである。
B 宇宙よりこの運動する物質に対してAで考えた加速度とその物質の慣性質量をかけ合わせた力が絶対静止系(背景放射の系)にとどまらせようとする方向に働く。
C Bの力は光に対しても働きそれによって赤方偏移が生じる。
D 宇宙の大規模構造による重力の凹レンズ様作用により非常に遠くの天体は小さく見える。
 たったこれだけの仮定によって、わけの分からないダーク・エネルギーやパラメーターを何一つ持ち出さなくとも、遠い過去では減速膨張、最近になり加速膨張するように一見観測されることを高校程度の物理学や数学の知識で説明できるのはおもしろいことです。もし偶然の一致であれば奇跡に近いのではなかろうかと思われます。私も自分の説に対して今まで半信半疑ではありましたが、もしかしたら本当かもしれないと思うようになってしまいました。第12章の「定常宇宙の勝利宣言」に、光がそのエネルギーに比例した力で絶対静止系にとどめられようとするなら、それが宇宙の湾曲に沿った加速度運動に対する反作用以外の原因であっても同様のデータが得られると書きましたが、減速膨張から加速膨張へというように都合よく観測されるには、宇宙の湾曲に沿った加速度運動に対する反作用による赤方偏移でしかうまく説明できないことになります。
 できることなら、Ia型超新星から最近得られた赤方偏移と明るさの関係のデータと正確に一致するのかどうかを検討し提示したいのですが、膨張宇宙の宇宙モデルのパラメーターがいろいろあり過ぎていったいどれを基準として加速膨張や減速膨張をしていると考えているのかがよくわかりません。今までこのような膨張宇宙モデルの赤方偏移と明るさの関係のいろいろについてあまり見ていなかったものですから、あまりの複雑さにびっくりしました。場合分けしたモデルを多数用意した宇宙モデルではどんな観測データが得られようと対応できてしまいます。これで膨張宇宙の正当性をよく主張しているものだとあらためて思いました。
 私は決して私の提唱している定常宇宙モデルが絶対的に正しいと主張はしません。ただあまりにも非論理的なビッグバン宇宙に対抗するための案をたった一人でつくるしかなかったのです。現在の観測データを全て説明する定常宇宙モデルが存在しうることを理解していただければ私は満足です。しかし、もし私の主張を正しく理解していただいて検討されたなら、観測データにあまりにも一致するのに驚くことになるかもしれません。完全に一致すれば、宇宙論にとってどれほど重大であるかは、宇宙論についてある程度の知識がありかつ聡明な方には理解できるはずです。私の宇宙モデルについてのすべてがこのホームページに書いてあります。これを理解すれば、天体の赤方偏移や明るさについて検討し実際の観測データと比較することができます(重力レンズの効果がややこしくすると思われますが)。希望があれば、私の承諾なしにどなたでもどこへでもその結果を発表されて結構です。もしかしたら宇宙論にコペルニクス的転回をもたらした画期的な報告として永遠に語り継がれるかもしれません。またはおかしな人として相手にされないかもしれません。恥は一時ですが、そのリスクを乗り越えたならば得られる名誉は永遠です。一生懸命検討したあげくもしデータがうまく一致しなかったとしても怒らないでください。ビッグバン論者が今までに無駄に費やした膨大な労力に比べれば微々たるものですから。

2005/7/19 追加
皆さんの手助けになるよう定常宇宙モデルでの改定後の赤方偏移の式を追加します。
z=e^[asin(x/R)}-1
ただしこの距離xは天体の明るさから得られる見かけの距離です。
xがRと等しくなるところまでしか使えません。
重力レンズ効果は考慮に入れていません。

2005/8/13 追加
この章を書いた段階では超新星のデータに合致するかどうか確かめていなかったのですが、その後超新星のデータと比べてみました。残念ながら  z=e^[asin(x/R)}-1  の式では全くデータに合致しません。一度挫折しかけましたが、その後第16章で述べた、はるか過去(はるか遠く)では時間の進み方が遅いという考え方を導入し修正すれば予想通りの一致を得られることがわかりました。第17章として近いうちに詳細を報告する予定です。

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