有楽町帝撃通信記念館
帝撃通信局フロムお台場第十一話


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ジスイズ、サクラ大戦!
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サクラ大戦とは、太正時代を背景にしたセガエンタープライゼスのゲームである。
そこには、広い王子を総帥とするレッドカンパニーの世界が、余すところ無く広がっている。
そして帝都復興の象徴とも言えるお台場からお送りする帝撃通信局は、ラジオの前の太正時代の住人に愛と、正義と、真実と、そして、娯楽を伝えるべく作られた、ワイドショー形式のニュース番組である。
この番組はセガエンタープライゼス、BMGジャパンの提供でお送りいたします。



長曽我部:サクラ大戦
さくら:帝撃通信局
二人:フロムお台場!

長曽我部:みなさまこんばんは、帝撃通信局フロムお台場の時間がやって参りました。
     番組を運びますパーソナリティは、私、長曽我部崇、そして、
さくら:こんばんは、アシスタントの帝劇花組、真宮寺さくらです。よろしくお願いいたします。
長曽我部:さくらさんは左目だけで私を見ることが出来ますか?
さくら:左目だけでということは右目はつぶるんですか?
    こうでしょうか?
長曽我部:ああ……ありがとう……。
さくら:なんでしょう……?
長曽我部:え・・ええ。
     それでは早速今週のトピックスから参りましょう。

ニュース音楽

長曽我部:帝都内を狂犬が噛み回っており、各地でおびただしい被害が出ております
     噛まれたらすぐ注射をせよということですが……
さくら:はい、最近の帝都内における狂犬の被害は急激に増えており、
    昨日だけでも都内赤坂区を初め大森町、入荒井町とか馬込村などで報告されています。大変怖いんでが・・
長曽我部:そうなんです。何だかこんなことが以前にもあったなあと考えてみたら、そうなんです。
     黒之巣会が帝都内で騒ぎ始めたころにも暴れ回っていたときにも起こっているんです、狂犬騒ぎが。
さくら:しかも、チフスが流行し始めていると……
長曽我部:ええ、似ているんですよ、当時と。
     なにやら不穏な雰囲気が流れているようですね。
     しかも先日当番組に大川星名さんが出演されてから黒之巣会の復権を狙う動きも活発になっているとの報告を受けておりますし。
さくら:そんなことを話題にしておりました折もおり、大変な物が発見されたとのことです。


ニュース音楽


長曽我部:帝探の大河原さんが見つけられて、いまここに駆けつけております。
     早速報告していただきましょう。
     大河原さん、お願いいたします。
大河原:うむ、発見したときにはまさかこんな物が残っていようとは思いもせず、
    ただただ驚愕の一語。我が優秀なる帝探助手たちの働きや大。
    都内日本橋某所、瓦礫に埋もれて、それはあった。
さくら:それって……
長曽我部:黒之巣会に関係する物なのでしょうか。
大河原:いかにも。聞いて驚くでない。 それとは、
さくら:はい。ではまず先に宣伝通信を……
大河原:何、宣伝通信だと?そんな悠長なことを言っておる場合ではない。
さくら:で、でも……
長曽我部:はいわかりましたわかりました。宣伝通信をとばしてそれとやらを伺いましょう。
     帝探になってもあいかわらずわがままなんだから……
大河原:何?
長曽我部:いえ、何でも……何でもありません。
大河原:左様か。ならば参ろう。
    それとは、なんと、あの黒之巣会総帥、天海が生前に残した黒之巣会会員との恐るべき会話の録音盤である。
長曽我部:な、なんと!
さくら:そんな!
大河原:ふふふふふ、驚くなと言ったであろう。
長曽我部:驚くなと言われても、
さくら:驚かないわけには……
大河原:さもありなん。
長曽我部:で、その内容……
大河原:いや、実はまだ聞いておらんのだ。
    帝探助手の報告で……その、あ、では、早速聞いてみることにしようではないか。
    録音盤、スタート!

ぼちっ

ガシャガシャという足音
水音

長曽我部:ここは……
大河原:帝国華撃団花組の攻撃を受ける寸前の黒之巣会のアジト。
    そしてこの音は……、黒之巣会のカラクリ兵脇侍が歩くもの。
    あー、蒸気音と言い、まちがいあるまい。

A:うわっ!冷てえ!
B:おい、脅かすなよぉ……。それでなくても気味が悪いんだから。
C:しっ、黙れよ二人とも。

大河原:この者どもは……、
長曽我部:黒之巣会の人間じゃないような……
さくら:そうですね。誰なんでしょう?
大河原:待て。すぐに解明してみせる。
長曽我部:おお、さすが帝探。職業人だなあ

A:おいおい、大丈夫かなあ、こんな所に来て。
B:だ、大丈夫だよ、招待状ももらったんだから。
  その証拠に、恐ろしい脇侍が道案内してくれているんだぜ。
C:早く歩けよ、置いて行かれちまうぞ。
A:悪の会員になったのはいいんだけど、こんなにいつもおびえていないといけないのかなあ。
C:仕方ないだろ。黒之巣会は怖いんだから。

大河原:そうだ、解ったぞ。彼らは黒之巣会の会員なんだ。
長曽我部:誰だって解りますよ。自分でそう言っているんですから、困っちゃうなあホントに……。

A:止まった……?
B:何もないよどうなるんだよぉ、これから……。
C:何か聞こえるぞ……、これは……

ぱあああああああという音

???:ふふふふふふ…………ひゃーっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!

大河原:この声は、天海!
長曽我部:だから、誰だって解りますよ。
さくら:しー、何か聞こえますよ……

天海:ひゃーっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!

ざーという音

B:な、なんだあ!?
C:凄い煙だ……。
A:何も見えない!毒ガスじゃあないだろうな……
天海:ひゃーっひゃひゃひゃひゃひゃ!よくぞ参った!
B:あ、あなたは!
C:黒之巣会総帥、天海様!

背景音楽「我ら黒之巣会」

天海:ひゃひゃひゃひゃひゃ!まあ、座るがよかろうて。
A:は、はい。
B:ま、まさかあなた様にお会いできるとは……
C:帝国華撃団との戦いが目前だというのに……。

大河原:何だ。今頃気づいておる。鈍い連中だ。
長曽我部:何もこんなところで威張らなくても……
さくら:しーっ、……天海が、何か話しています。

天海:帝都は元来、風水に祝福された理想的な都市であった。
   それが、江戸の終焉と共に西洋文明に侵された者どもによって、
   江戸城の堀は埋め立てられ、道が広げられ、銀座は醜い煉瓦の街へと変貌させられた!
   しかも蒸気の力などと言うふざけたもので動く乗り物によって、蹂躙されておる始末である!
A:あ、あのー。あ、天海様。質問が……
天海:何じゃ!申して見よ。
A:えー、天海様は西洋文明を否定されておられますが、
  あのー、私たちを案内してくれた脇侍は、蒸気と言うふざけた力で動いておりますよね。
  あれは……西洋文明ではないのですか?
B:そう言えば、かつて占拠された通信局も、西洋文明の……
天海:ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!青いのう、青いぞ、おまえたち。
   毒を持って毒を制す、こりゃ戦いの常道じゃ!
   それにのう。儂にとっては脇侍も通信も、ただのカラクリにすぎんわ。
A:なるほど。でも天海様。
  通信を聞いておる者の中には、
  黒之巣会のやっていることは程度の低い子供だましだと言う者もおりましたが……
B:ばかっ!天海様にむかって何てことを!
天海:ひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!よいよい。
   儂は我らの攻撃が手ぬるいと言うことは否定はせん。
   じゃがこの後、わしらが帝都に仕掛ける攻撃はこれまでのような物ではないぞ。
   恐ろしく巨大で致命的なものなのじゃ。まあ、黙って見ておるがよい。
A:は、はあ……

大河原:そうか!最後のあの攻撃を仕掛ける寸前のことなんだ。
長曽我部:そうか……。あのときは、恐ろしかったなあ。

天海:よいか。我らとて、好んで悪を唱えておるわけではない。
   だがここに、帝都の民どもが皆、西洋化、西洋化と叫んでおる時代には、悪と呼べる物が必要なのじゃ!
A:なるほどぉ。高いお志で……
天海:そうじゃ。そしてこうして、叉丹、ミロクにさえ秘密でお前たちを呼んだのは他でもない。
   もっと近こう……

大河原:いよいよ本題に入るぞ。
さくら:わかってます。解ってますから静かに……

天海:よいか。他でもない。悪という言葉の裏に隠された黒之巣会の理想。
   穢れ無き自然に祝福された都市江戸を復活させるという悲願を、お前たち黒之巣会会員に達成してもらいたいからじゃ。
B:穢れ無き都市……
天海:そうじゃ!すなわち我らが目指すのは完璧なる都市と言っても良いなあ。
   鉄と蒸気で発展する今の帝都のありさまを見るがよい。
   これが人の住む場所じゃろうか。河は汚れ、木は切り倒され、空気も汚れ……、
C:確かに。最近では咳や頭痛が止まらない帝都病と呼ばれる物が流行っているらしいし……
  このままでは……
天海:さて、そろそろ時間じゃ。
   儂はこれから、帝都殲滅のための最後の闘いへと行く。
   おまえたち、今儂が申したことを必ず全国の同志たちに伝えるのだぞ。
   儂の理想を、引き継ぐのじゃ。
B:そ、そんなぁ。私たちには、荷が克ちすぎて……
天海:心配いたすな!
   お前たちの指導者たる人間は必ず現れる!ふふふふふふふ、必ずな!
   よいか、例え儂たちが倒れるようなことがあろうとも、
   この理想だけは生き残るように引き継ぐのだぞ。
A:はい、確かに。
B:天海様のご指示、決して忘れません!
天海:おうおう。頼もしいのう。
   だがよいか。いずれ現れるであろう指導者には必ず忠誠を尽くせよ!
三人:必ずや、忠誠を、誓います!
天海:うむ。では……、さらばじゃ!

しゅうしゅうという音
ぱああああああと言う音

長曽我部:大変な録音盤ですねぇ……。
大河原:まったく。良くこんな物が見つかったものだ。
さくら:感心している場合じゃありませんよ。
    黒之巣会はやっぱり密に活動を始めているんですよ。
長曽我部:そう。その通りです。この番組でも今後どういう対応と取るべきか決めなければいけませんね。
大河原:うむ、ここはやっぱり……
長曽我部:やっぱり?
大河原:宣伝通信を入れて、その間に考えよう。
長曽我部:がくっ……
さくら:……それでは、宣伝通信です。

宣伝通信「藤崎式世話要らず風呂」

長曽我部:さ、いつもより長めの宣伝通信が入りましたが……
さくら:はい。この間に、今聞いていただいた録音盤、つまり天海と黒之巣会会員のやりとりに対する考えを……
長曽我部:はい。当通信局なりの対応をまとめてみました。
さくら:はい。帝撃通信局では断固従来の方針を貫き、正義の放送を続けると、基本的な姿勢を固めました。
長曽我部:それについては、受信者の協力が欠かせない。つまり、かつての目撃情報なども強化するとのことですね。
さくら:はい。
大河原:それについては、当帝探助手もこの際増強したいと考えておる。
長曽我部:そうすると、正式に募集することに?
大河原:その可能性もあるが、当初は現在実施中の遊人塾オーディションと並行して進めたいと考えておる。
長曽我部:なるほど。ところで、大河原さん。
     このところまた強面の口調が復活してきているなあと思っていましたが……
大河原:対決姿勢を強めてきているわけである。
長曽我部:なるほど。わかりやすい。かな?

でんっ!
でんでんでんでんでんでんでんでん…………

長曽我部:な、なんです?
大河原:本日の標語!
    気を抜くな!悪の根絶やすその日まで!

ででんっ!

長曽我部:出ましたね。本日の標語。懐かしい。
大河原:懐かしがっておる場合ではないぞ、長曽我部君。
    仮初めの平穏な日々が続いているうちに、牙が抜かれたようにだらしなくなっているとの批判も多いのだ。
    帝撃通信局が占拠されたとき、あの有楽町が崩壊した日の、君の、あの凛々しい姿が見たいとの要望も多いのだ。
    ここは一番気を引き締めて……
長曽我部:は、はい。
大河原:一緒に標語を。さくらくん、君も一緒に。
さくら:は、はいっ!?

でんでんでんでんでん……

大河原:では、参る。
三人:気を抜くな、悪の根絶やすその日まで!

ででんっ

長曽我部:なんで三人で……
さくら:さ、さあ……


宣伝通信「ネコイラズ」


背景音楽「檄!帝国華撃団」ピアノインストルメンタル

長曽我部:今回は、思い出の有楽町帝撃通信局のコーナーを拡大してお送りしたようなものですねえ。
     いや、それにしても、絶えない悪の根。心が引き締まる思いがしました。
さくら:そうですね。でも悪とは断固と戦う。素敵ですよ。
長曽我部:帝撃通信局フロムお台場。そろそろお別れの時間が来ました。
     お相手は長曽我部崇と、
さくら:真宮寺さくらでした。様々なコーナーへのお便りお待ちしております。
    宛先は郵便番号一三七の八六。ニッポン放送サクラ大戦フロムお台場まで
長曽我部:それではまた来週、
二人:お耳に掛かりましょう。


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