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新76ページ過去旅行記「太正浪漫堂」

  【再利用】SS『昼の部』 まいどぉ氏
  『夜の部』 まいどぉ氏
   └さて・・・と まいどぉ氏
    ├さてさて。 イカルス星人氏
    │└はてさて。 まいどぉ氏
    ├ぽて・・・と 真宮寺ろーが氏
    │└てん・・・と(準備中) まいどぉ氏
    ├楽しませていただきました。 ムラサメ氏
    ├へむへむ。 フロッグ氏
    └お疲れ様でーす しうら氏
  【再利用】SS『昼の部』 まいどぉ氏  ツリーへ
【再利用】SS『昼の部』
【再利用】SS『昼の部』

 太正浪漫堂。
 元々は舶来品である挽きたての珈琲を淹れるという店であった。赤煉瓦の壁に瀟洒な出窓、内部は壁面や梁の木材に様々な彫刻が施されている店である。
 いつしかここには帝国歌劇団に関係のある若い歴史家や文士、研究者、芸術家といった人々が多く集い、一種のサロンを形成するようになっていた・・・。

 帝都のとある街角で、祖父から受け継いだ古道具屋兼雑貨屋を経営する舞堂。
 彼もまた、ここの空気に魅せられた者の一人である・・・。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「最終回見逃したぁっ!!」

 遅い昼食を食べようと浪漫堂の扉を開いた俺の耳に、悲痛な叫びが飛び込んでくる。
 何事かと目をやると、そこではまきやん氏がテーブルに突っ伏して頭を抱えていた。どうやら先日まで連日行われていた、花組の無料公演の最終日を見損なったらしい。

(相変わらず賑やかだな、ここは。)

 些か不謹慎ではあるが、その姿に苦笑しながら扉を閉める。
 入ってすぐのテーブルでは、リンク氏を中心に帝都を守って戦う謎の組織、帝国華撃団に関する論議が行われている。

「思うに、それは『対降魔迎撃部隊』だからでは?」
「まてまて、自分の考えではそれは・・・。」
「恐縮ですが私としましては・・・。」

 次々と飛び出す多彩な意見。中には国の行く末を真剣に案じる者もおり、端で聞いていてもなかなかに興味深い。

「すみません、少し質問があるのですが。」

 遠慮がちな声に振り向くと、学生風の青年が扉を閉じるところだった。
 素早くSpark.Q氏が反応し、青年を手近なテーブルへ座らせる。

「私はSpark.Q、失礼だが君は?」
「私は・・・『たっくん』と呼んで下さい。」

 ここでは雅号で呼び合うのが粋とされている為、殆どの者は本名とは別の名を名乗る。この青年もそれに倣ったらしい。

「で、質問とは何かな、私で良ければ力になるが?」
「実は、花組の皆さんとファンの交流会があると聞いてやってきたのですが・・・肝心の時間を知らなくて。」
「ああ・・・。それなら7時からだよ。」
「そうですか、ありがとうございます!!」

 簡単に礼を言いつつ頭を下げると、青年は扉を蹴破らんばかりの勢いで外へ飛び出していった。Spark.Q氏以外にも彼に声を掛けようとした者はいたのだが、どうも気付かなかったようだ。
 窓際の席では快速東葉勝田台行き氏が、まきやん氏の見損なった、花組無料公演の感想を述べている。
 この全25回の公演は、花組の演目としては今までに類を見ない変わった形態のものだった。
 毎週一回新作を無料公開した事もさることながら、30分程度の短い公演が連なって、大きなひとつの物語を形作っていた。
 まるで連続小説のようなその技法が、ファンのみならず世の劇評家にも多大な興味と期待を持って鑑賞され、新作が公開される度にここをはじめとする各所で賛否両論の論議を巻き起こしたものだ。
 その熱気は閉幕から一夜明けた今日になっても冷めていない・・・のだろうが、生憎ほとんどの者は、千秋楽の幕が降りた昨夜の内に思うところを語り尽くしており、今日もつき合おうとする者は残念ながら僅かなようだ。
 かく言う俺も昨夜の打ち上げに参加し、全作観終わった感想を語った一人だ。
 もっとも、酒の勢いもあって、思い返すと少々辛口な内容になってしまったが・・・。

『わははははははははははははははははっ!!』

 突然、店内が爆笑に包まれる。
 浪漫堂の一角には小さな舞台が設けられており、普段はディナーショウ等の、店が主催する催しに使われているのだが、ここに集まる多彩多芸な人々の作品発表の場としても広く利用されていた。
 その周囲に大きな人垣ができている。
 一段高くなった舞台の上には、えんかいくん零式氏の姿があった。
 どうやらこれから氏の新作が発表されるらしく、その前説が行われているところだ。
 これは見逃す手はあるまい。
 今回の氏の演目はアイリス嬢愛用のぬいぐるみ『ジャンポール』と、大神一郎氏が主演のコメディだ。
 カフカの『変身』を思わせる怪異譚でありながら、思わず笑わずにはいられないその軽妙かつ巧みな展開に、しばし我を忘れ見入ってしまう。
 その素晴らしい内容に、ひとことだけでも感想を述べようとした瞬間。

 くぅぅ・・・・

 小さく腹の虫が鳴く。
 ・・・昼食がまだなのをすっかり忘れていた。
 開いた席はないかと慌てて周囲を見渡す。

 おや、何だろう?
 sell氏を囲んで何事か討論が交わされている。
 どうやら、この春仏蘭西に渡航した帝劇庶務課の大神一郎氏が、次はどこに派遣されるかで盛り上がっているようだ。
 巷の噂では、大神氏の渡航は軍の留学ではなく、巴里に新しく創立される劇場と帝劇の業務提携の為らしい。
 彼の有能さは彼を知る誰もが認めるところだ。「上海だ。」「いや、紐育だ。」と人々の議論が弾むのも無理はない。

「うんうん、いいっすねぇ。」

 その呟きの主は脇侍・改氏だ。
 手には二つに折った新聞を持っている。
 ああ、そういえば今日の帝都日報の一面には、巴里の防衛組織に配備予定の、新型霊子甲胄が載っていたんだった。
 これは神崎の光武シリーズを欧州仕様に改装した機体で、かの名機『光武・改』に勝るとも劣らない高性能機だともっぱらの噂だ。
 帝都を脅かした『脇侍』の名を、あえて雅号に選んだ彼のこと、新たな霊子甲胄に並々ならぬ関心を・・・

「花火ちゃ〜ん!!・・・・・・ぽっ。」

 違った。
 三面の巴里歌劇団の団員紹介が本命のようだ。
 帝劇花組に勝るとも劣らない美少女達に、巴里渡航を決意している者も多いと聞く。彼が相好を崩すのも無理はない、か。
 その同じ新聞を見ながらおかる氏が、紹介されている団員のひとり、グリシーヌ=ブルーメール嬢をどこかで見たような気がするとしきりと首を捻っている。
 キト、なや両氏が声を掛けたが返事がない。どうも、あまりに悩みすぎて気付いていないようだ。
 噛み合わないやり取りに苦笑しつつ奥へと進む。

「はじめまして、猫背にゃーです。」

 はじめて来店した時の挨拶は、この店の、と言うよりこの店の客の名物行事だ。
 ここは常連客は多いが、会員制のサロンなどではない。
 だから、本来なら初めて来たからと言って挨拶などする必要はないのだが、ここに集った同好の士の交流の一貫として、広く認知されている。
 この挨拶をする者は、幾つかのタイプに分けられる。
 簡単な挨拶のみで終わる者。自分が花組の誰のファンなのかを述べる者。帝劇の舞台のどこに惹かれたかを語る者。
 彼の場合は挨拶と併せて質問するタイプのようだ。
 質問の内容は・・・やはり今日の帝都日報かららしい。

「巴里に創設される『華撃団』も、『勝利のポーズ』をすると思いますか?」

 なるほど。それは確かに気になる。
 帝国華撃団には敵を倒した後に『勝利のポーズを決める』という、秘密部隊らしからぬ奇妙な習慣がある。
 同じ『華撃団』である巴里華撃団が、それを踏襲する可能性は高いだろう。
 そう思っているのは俺だけではないようだ。
 挨拶に答える代わりに、『勝利のポーズ』に関する見解を述べる者が多い。

「答えて下さってありがとうございます。」

 嬉しそうに礼を言う彼の姿に、ここに初めて来た頃の自分を思い出し、微笑ましく思っていると・・・

「お誕生日おめでとう〜!!」

 突然、早乙女太子嬢の弾んだ歓声が聞こえてきた。
 どうも帝劇関係のある女優の誕生祝いらしく、高々と掲げたグラスを仲間と打ち合わせている。
 当事者の女優こそいないが、ファンが集まりその誕生を祝う姿は、はじめての挨拶と並ぶここの名物だ。

「納得・・・いきません、ね。」

 昼時には似合わない苦々しい声が聞こえる。
 それは、カトマンズ氏と差し向かいでテーブルに着いたKoryuU氏のものだ。

「あやめさんの死が、『平和の為の犠牲』だなんて美化されてるのは、どう考えてもおかしいですよ。
 あの戦いはそんなもんじゃなかった筈でしょう?」
「確かに私も同感だ。
 だが、あの一連の事件であやめさんが果たした役割は大きい。
 それを汲んだ言葉だ、と好意的に解釈しても良いのではないかな?」
「・・・・・・・・そうですね。」

 真に人が『死ぬ』のは、『命を失った』時ではなく『忘れ去られた』時だと言う言葉もある。だから彼女の事を誰かが覚えている限り、彼女は決して『死ぬ』事はない。
 この街を、そこに暮らす人々を、見守っている筈だ。
 今でも・・・。

 おっと。
 しんみりしてる場合じゃない。早く席を見つけないとランチタイムが終わってしまう。
 しかし、今日は来るのが遅かった為、既にカウンターまで一杯だ。早く食事を済ませて帰らないと、店番をしている連中に怒られる。
 内心焦りを感じつつ、テーブルの間を縫って進んでいると、魅月嬢の嬉しそうな姿が目に入った。

「さくらさんってやっぱり素敵ですよね。
 何度観てもうっとりしちゃいます。」

 片手を頬にあて、どこか遠くを見つめる魅月嬢の前には、先日再演された『夢の続き』のパンフレットが置いてある。
 なるほど、あそこはそれを観た者の集まりか。

「同感です、やはり帝劇の舞台は素晴らしい。」
「しかしだね、花組の今の技量からすれば、もう一つ上を目指しても良かった。
 そうは思わんかね?」
「まぁまぁ。野暮は言いっこなしですよ。」

 生憎観劇の都合がつかず俺は観ていないが、再演であるにも関わらず少なからぬ観客を集めているのは、『流石は帝劇花組』と言う他ないだろう。
 おや?その隣のテーブルで辞書を引いているのはACT氏じゃないか。他にも数人がかりで何事か調べているようだ。

「『エリカ』と『グリシーヌ』は見つけました。
 そちらの進展状況はどうですか?」
「『花火』はおそらく『花火草』でしょう。」
「『コクリコ』は『ひなげし』の仏語ではないかと。」
「確か『ロベリア』はラテン語にそんな名前があったような。」
「なるほど・・・各国入り乱れているようですね。」

 ここでも今日の帝都日報が主役のようだ。
 紹介された巴里花組の名前が、帝劇花組と同じく花の名前に関連があるのではないか、と言うことらしい。

 ・・・参った、空いたテーブルがひとつもない。
 俺は中の席を諦め、中庭に面したテラスへと移動した。

 多種多様な草木の植えられた浪漫堂の中庭は、季節の移り変わりに応じた様々な顔で、訪れた者を歓迎してくれる。
 そこにも幾つかのテーブルがあるのだが、木陰や芝生の上に直接腰を下ろして、ちょっとしたピクニック気分を味わう事もできる。
 その一角で、また新たな歓迎会が催されていた。
 ブレイドと名乗るその青年は、『夢の続き』の再演を観て帝劇の魅力に気付いたらしい。

「神崎すみれさんですね、やはり。」
「うんうん、そうだろう。君はなかなか目の付け所がいい。」

 『花組で誰のファンか?』と問われ、やや照れながら返した答に、すみれ嬢ファンクラブ『紫美麗』会員の神崎ハル氏が嬉しそうに反応する。
 さらにその脇では、AIM氏とスクドラ氏が珈琲の入ったカップを手に、池袋に出来た帝劇関連商品の出張販売店の感想を語り合っている。
 楡の木の下では、loveiris氏を中心に人の輪が出来ていた。
 近年発達した電話回線を利用して、地方のファンとの交流が計れないものかとの論議が、浪漫堂特製のサンドイッチを片手に展開されている。
 なかなか興味深い内容だが、すきっ腹を抱えた今の俺にとっては、交流よりもサンドイッチの方が魅力的だ。

(とにかく、空いたテーブルをどこかに見つけないと・・・。)

 先にサンドイッチなり握り飯なりを注文して、どこか適当な場所で食べても良さそうなものだが、ここのランチセットを食べる為、無理に時間を作ってやって来たのだ。
 今更妥協する訳にもいくまい。
 ・・・と、その時。

「では。」
「では。」

 テラスに並んだテーブルのひとつから、くまはち氏とN2氏が揃って席を立つのが見えた。
 つい今まで何事かを話していたのだが、それも終わり立ち去るところらしい。
 この機を逃さず素早く席に着き、テーブルを片付けにきたウェイトレスにランチセットを注文する。

「今日の洋風セットはナン付き特製カレー、和風セットは秋刀魚の塩焼き定食。
 どちらも食後に珈琲か紅茶、もしくは緑茶が付いています。」
「じゃあカレーセットで紅茶を。」
「かしこまりました。」

 片付けた食器を抱え立ち去る後ろ姿を見送りつつ、ほっと安堵の息を吐くと、上着の懐から懐中時計を取り出し、文字盤を覗き込み時間を確認する。
 食事をするには十分だ。
 ふと視線を上げると、そこには澄み切った秋の空が広がっていた。まだまだ昼間は暖かいが、風にはどことなく冬の気配が潜んでいる。

「もう、今年もあと僅かか・・・。」

 柄にもなく感慨に浸りつつ、改めて中庭を見回す。
 ん、あれは・・・どなどナ2氏か?
 帝撃が敵と戦う時、たまに隊長らしき者と隊員の一人が、霊力の融合現象を起こす事がある。
 それが何故起こるのかについて検討しているようだ。
 別なテーブルでは、タイソン氏が熱海で起こったと噂されるとある事件について、安部准尉氏から事情を聞いている。
 更にその隣では三本松芽生氏が、最近公開された帝撃の戦闘記録について疑問を呈している。どうやら彼には閲覧出来なかった資料があったらしい。

「どうにも違和感が拭えない。そうは思いませんか、諸君?」

 同じ資料に疑問を抱いたのは、三本松氏だけではなかったようだ。ティーカップを傾けながら、インディマイオス氏が周囲に問いかける。

「同感ですね。
 光武のエンジン音の差し替えといい、軍はまだ何か隠している。」

 それに答えたのはふるふる氏だ。
 目の奥に常にない鋭い輝きがある。
 公開された資料には、かつてない程鮮明な画像、音声で黒鬼会との戦いが記録されていたのだが、各所に明らかにそれと分かる修正が加えられていた。
 だが・・・理由は分からなくもない。
 帝撃の霊子甲胄シリーズは、帝国が世界に誇る最新技術の結晶だ。その動き、稼働音、外見。
 どれをとっても国家の最高機密に属する。
 そんなものを下手に深追いすると、火傷では済まなくなるのだが・・・。

 丁度そこで料理が来た。
 『ナン』という普段食べ慣れない品の扱いに苦戦しながらも、スパイスの効いた浪漫堂特製カレーの豊潤な味わいに、暫し我を忘れ没頭する。
 料理に舌鼓を打っていると、いつの間にやら辺りが騒がしくなっている。
 騒ぎの元は・・・イカルス星人氏だ。
 中庭の真ん中に植わった桜の木の下で、集まった聴衆に向かい何事か語り掛けている。

「巴里といえばフレンチカンカン!!
 巴里花組の乙女達がかような衣装で踊る姿を想像してみたまえ。」

 と言いつつ、この為に持参したらしき写真を掲げて見せる。

『おおおおおおおおおおおおっ!!』

 ぶっ!!

 目に飛び込んできた写真の内容に、思わず口の中のものを吹きそうになる。
 そこに写し出されていたのは、刺激的な衣装の女性。
 横目で見ていた俺ですら驚いたのだ、直視した者達が激しく動揺するのも無理はない。
 が、その中にあって、何事か行動を開始した者達もいた。

『するとそれは、こんな姿ですねっ!!』

 高村とも嬢、えんかいくん零式氏、そしてごぢうり嬢の三人が、綺麗に声をハモらせながら、まったく同時に絵をかざす。
 そこに描かれているのは、カンカンの衣装を纏った巴里花組の少女の想像図。
 流石は浪漫堂でも一、二を争う絵師達。
 即興で描いたとはとても思えない見事な絵に、周囲の熱気がさらに増幅される。
 しかし、騒ぎはそれだけでは収まらない。

「それでしたら、これと、これと、これと・・・・

 (中略)

 ・・・・・・・これと、これが、参考になりますよ。」

 と、どこからともなく現れた美咲 緑嬢が、話題に関係ありそうな本を次々と手近なテーブルの上に積み上げてゆく。
 裏の通り名に恥じぬ恐るべき行動力に、さしものイカルス星人氏ですら圧倒されているようだ。

「素晴らしい。
 貴女に花男会蘊蓄担当の称号を授けましょう!!」
「遠慮させて頂きます。」

 あ、にこやかに断られてる。

 その姿に思わず見入っている内に、気が付くと時計の針が大きく進んでいた。
 ここに居られる時間も残り少ない。
 残った料理を急いで飲み込みつつ、折り良く通り掛かったウェイターに、食後の紅茶を先に持って来るよう頼む。
 間を置かず届いた紅茶をひと息に流し込み伝票を掴むと、手早く精算を済ませ店を出る。
 自宅を兼ねた店へと愛車を走らせながら

(やっぱり、仕事の合間に来るもんじゃないな。)

 しみじみそう思ったものだ。


 ー『夜の部』へつづくー
まいどぉ氏
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Re: 【再利用】SS『昼の部』
『夜の部』

 冬の澄みきった夜空に掛かった月が、浪漫堂を訪れる人々を優しく照らし出す。
 今日の仕事を終えた後、俺は再びここを訪れていた。
 ランプの灯の創り出す微妙な陰影に身を浸し、豊潤な珈琲の香りを楽しみながら、カウンターの片隅に陣取り店内を満たすざわめきに耳を傾けるのが俺の日課だ。
 だが、今夜ここに来た理由は、いつもと少しだけ違う。

「もうお聞きになられましたか、今度のさくら嬢の新曲。
 僕は『さくら』以来の名曲だと思うのですが。」

 感極まった様子のキートン氏が、暫く前に発表された真宮寺さくら嬢の新曲の感想を、同席したしろまる氏達と語り合っている。
 だが、しろまる氏達にとっては、それと同時に公開されたさくら嬢の父上、真宮寺一馬氏の、対降魔部隊時代の記録の方により強い興味があるらしく、主にそちらの話題が盛り上がっているようだ。
 暖炉の脇へと注意を移すと、そこではツカサ氏を中心に『夢のつづき』の再演を絶賛していた。

「『今年の新作です。』って言われても、十分通用しますよ。」
「同感です。この完成度は他に類を見ない。」

 初演とほぼ同じ内容に、色々不満の声も聞かれた演目ではあるが、良いものは良いと素直に感じる事も大切なのだろう。
 窓際の席ではこ〜じ氏が帝劇の商品リストを手に、何事か質問をしている。泰武氏がそれに答えたようだが・・・どういう内容なのかよく聞こえない。

(感度を調節した方が良いかな?)

 俺は今、いつもの物と違う古びた眼鏡を掛けている。
 数日前に『裏』の商いで欧州の同業者から手に入れたそれは、とある人物の先祖が妖精を助けた礼に贈られた品・・・だそうだ。
 それが本当か嘘かは定かではない。
 が、この眼鏡の枠には小型の集音装置らしきものが組み込まれており、目盛りを調節する事で周囲の任意の音を増幅して聞くことができる。
 それだけは紛れもない事実だ。
 今夜ここに来た理由のひとつは、大勢の人声が満ちるこの店で、実際の機能を自ら試すことだ。

 眼鏡を拭くふりをしながら、何気なく機能を調節し直す。
 大体・・・こんなものかな?

「第一回、巴里歌劇団人気投票〜〜〜ッ!!」
「おぉぉぉ〜〜〜〜〜〜っ!!」


「うぉわぁっ!?」

 眼鏡を掛け直した瞬間、全一氏達の絶叫が頭に響く。
 感度を上げ過ぎて、すぐ近くの音を大音量で聞いてしまった。
 慌てて設定を変更するが、そのお蔭でふるふる氏の話を聞き損なった。ARION氏との会話から大体のところは推察できたが、元となる意見を聞けな・・・・・・。
 なんだか周囲の視線が痛いな。

「いや、お騒がせして申し訳ない。」

 笑って誤魔化しつつ珈琲の代金をカウンターに置くと、とりあえずそこから立ち去り、テーブルの間を縫って中庭に面した一角へ向かう。
 と、不意に誰かの話し声が聞こえてきた。

「・・・・・・ですよ。」
「ああ、なるほど・・・・・気がつきませんでした。」

 ん、これは・・・脇侍・改氏とAi氏か?
 なにやら小道具の応用の仕方を教えているらしい。
 次に飛び込んできたのは、Kimi嬢とよっしぃ氏の声だ。
光武が普段どこに格納されているのかを二人で話し合っている。
 と、正面の扉が開く音がする。
 足早に入ってきたのは、分厚い雑誌を小脇に抱えたひのまる氏だ。
 帝劇の舞台衣装を手掛ける、藤島康介先生の連載を持つその雑誌は、帝劇ファンにも愛読者が多い。

「帝劇から巴里へ、誰か行くんじゃないでしょうか?」

 ここを初めて訪れたらしいMSZ-006氏を囲み、ちょっとした歓迎会が催されている。挨拶替わりに彼が披露した、巴里歌劇団の人数の少なさからの推察に、同席した人々からも意見が返される。
 が、その声は不自然に篭って聞こえた。

(そろそろ限界かな?)

 集めた音を振動として直接鼓膜に伝えるこの装置には、あまり多用すると耳に悪い、との但し書きが添えられていた。
 耳の奥に微妙な違和感を感じたのを機に、いつも掛けている普通の眼鏡と交換し、窓際の空席に腰を下ろす。

「ふう・・・。」

 耳の奥に残る不快感に思わず顔をしかめた時、突然の澄んだ響きが鼓膜を震わせた。

 すすき穂の 間からかすかに 見ゆる月
 あなたなしでは 輝きもせじ

 美声の主ははづき嬢だ。
 丁度今夜は、彼女が主催する月に一度の歌会らしく、数人の同好の士と共に中庭に集い、中天に輝く月を見つめ一首詠んでいる。
 そこから漂う風雅極まりない空気に触れ、中庭のみならず建物全体の空気が和らいだように感じる。
 室内を照らすランプの光も、心なしか優しくなったような気分だ。

(やはりこうでなくてはな。浪漫堂の夜は。)

 さっきまで自分のしていた事はとりあえず棚にあげて、暫しその雅な光景を楽しむ。

「あ、うれし〜っ。椿ちゃんだ♪
 さくらさんやアイリスちゃんばっかりだったから、入ってないかと思ってた。」

 弾んだ声に何事かと振り向くと、手に持った小さなカードを見つめ喜ぶKimi嬢の姿があった。
 この春、駄菓子屋を中心に売り出された帝劇ブロマイドは、ひと袋5銭という安さと、何が入っているか分からないギャンブル性、画質では帝劇で売っている物に大きく劣るが、それにはない多種多用な内容から、熱心に収集する者は多い。
 実はうちの店の『表』の主力商品なのだが・・・。
 子供の捨てる外袋の掃除が大変なんだよな〜、あれ。

 カン・コーン・・・

 などと考えていると、厨房入り口の脇に掛かった柱時計が時を告げた。
 今夜ここで行う、もうひとつの用件に取り掛からなければならない刻限だ。
 席を立ち足早に店内を横切り、別館へと続く渡り廊下を目指す。
 その間にも多くの人々の話し声が、否応なく飛び込んでくる。

 ミギー氏が周りの人に聞いているのは、近々発売される帝劇公演の解説本の正式な名称だ。場合によっては通信販売という手段も選び得る、とのことで、その受け付け方法も含めた質問のようだ。

「俺はどうしても一言いいたい!!」

 タカ氏が突然、椅子を倒さんばかりの勢いで立ち上がった。すっかり出来上がっているらしく、完全に目が座っている。

「すみれさん、サイコーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

 ・・・ホンとに一言だった。
 が、そこには余計な言葉を必要としない程、深い想いが込められているように感じたのは、俺の気のせいだろうか?
 ん、なにやら険悪な雰囲気の漂う一角があるな?

「つぼみちゃんって・・・以前よりはマシかも知れませんが。
 ・・・下手ですね・・・やっぱり。」

 tusa氏の意見に同席した数人がそろって頷く。
 『夢のつづき』リバイバル公演の時、売店の助っ人として野々村つぼみ嬢がやって来たのだが、そそっかしいところは相変わらずだったようで、評判はあまり良くなかった。

(そういやお釣り間違って渡された事があったっけ。)

 自分も彼女の失敗を体験したこともあって、tusa氏達の言う事も分からないでもないのだが・・・。
 多少失敗しても前向きに精一杯頑張る姿こそ、彼女の最大の長所だと俺は思う。
 もっとも、『経営者』としてはまた別な話だが。

 まぁ、それはいいとして・・・。
 急がないと約束の時間に遅れてしまう。

 全員分のサインを手に入れたと、嬉しそうに話すタカ氏の脇を抜け、何事か独りごちているなや氏の前を横切る。
 sell氏を中心に、ラジオ等で流れた帝劇の舞台予告に対する想いを熱く語る集団を横目に、『奇跡の鐘』の音楽に関するちんじゃおろ〜す氏の質問に、紀州人氏が答えている後ろを、殆ど駆け抜けるような勢いで通る。

「袋に入っていない仕様のようです。」
「そうですか、仕様ですか。」

 耳に入った『仕様』という単語に興味をそそられ、思わず足が止まる。
 どうやら、かんちゃんと名乗る若者が、『夢のつづき』の前に再演の行われた『花咲く乙女』の初回チケットのおまけについて、エインセル氏から説明してもらっているようだった。
 商売のネタに出来ないかと一瞬期待した自分に苦笑しつつ、その場を立ち去る。

「10万!? それは凄い。」

 渡り廊下の入り口に近付くと、そちらから海軍飛行隊長氏の大声が聞こえてきた。
 どうやら以前発売された李 紅蘭嬢制作の射的ゲームで、loveiris氏が出した高得点を聞いて驚いたようだ。

「慣れればこの位はできますよ。」
「分かりました、頑張ってみます。」

 意気投合したのか、がっちりと互いの手を握り会う二人。
 そのすぐ隣では、たいち氏が何やら質問をしていたが、店の他の場所で同じ内容の質問が既にされていたらしく、そちらで聞いてみるよう諭されていた。

 そんな相変わらずの騒がしさも、別館へと続く扉を潜るまでだ。扉を閉じ浪漫堂の外へ出ると、まるで別世界に迷い込んだような静寂に包まれる。
 そこに『太正浪漫堂・別館』はあった。

 太正浪漫堂別館は一昨年横の洋館を買い取り改装された建物だ。肩の凝らないパーティーやレセプションによく使われ、使用料金も格安なことから好評を得ていた。
 狭いながら甲州種の葡萄棚もあり、秋には収穫された葡萄から葡萄酒もつくられている。
 帝国歌劇団や帝都交響楽団の公演打ち上げにも利用されるほか、横の浪漫堂本館と合わせファン感謝パーティの形態になることもある。
 内装は元の所有者の手入れもよく、行き届いた調度が雰囲気を醸し出している。地下はワインクーラーや食材の保管庫、冷凍冷蔵庫となっているが、1階はレセプション会場で豪華な内装、一方2・3階は質素で暖かい家族的な造りとなっており、それぞれ人気が高い。

 今夜ここを使っているのは、俺の他にもうひと組あるようだ。予約した三階の一室へと向かう途中、その部屋から洩れたざわめきが耳に入る。

『緒方星也さん、誕生日おめでとうございます!!』

 海道賢申氏の名前で取られた部屋から、誰かの誕生祝いらしき声が聞こえる。
 『緒方星也』という名前、どこかで聞いたような気が・・・・・ああ、そうか。
 ソレッタ・織姫嬢の父君の名だ。
 風景画、特に下町の風景を得意とする、現在売出中の画家の名に思い当たったと同時に・・・。

『パパ、お誕生日おめでとうで〜す!』

 若い女性の声、これは・・・。
 まさか織姫嬢も来ているのか?

(本館の連中に知られたら大騒ぎになるぞ。)

 確実に巻き起こるであろう騒ぎを想像し、思わず人の悪い笑みをこぼすと、続いて聞き覚えのある別の声が響いてきた。

『実は私も今日が誕生日なんですよ。』
『おお、それはめでたい!!』

 ・・・MOSさん。
 便乗して祝ってもらうつもりなんじゃ。

 思わず乱入しそうになったが、今は仕事が先だ。
 そう自分に言い聞かせて扉の前から立ち去り、階段をもう一階分駆け登ると、『舞堂』の名で予約された部屋へと入る。
 さほど広くはないが、落ち着いた内装の施された室内を、電灯の黄色い明かりが柔らかに照らし出している。
 元は客間のひとつだったのだろうか?
 明冶期のものにしては落ち着いた風情の部屋が、元の持ち主の趣味の良さを感じさせる。
 そこには既に先客がいた。

「お待たせして申し訳ありません。」
「いえ、わたしも今来たところですから。」

 笑ってしまいそうなほど型通りの社交辞令を交わした相手は、やや茶色がかった髪を赤いリボンでポニーティルに纏めた美女だった。
 いや、俺に向かってにっこりと微笑むその表情からは、『美女』という言葉に付きものの硬質なイメージではなく、『美少女』と呼んだ方が相応しいあどけなさが感じられた。
 ありきたりなメイド服を上品に着こなす落ち着いた物腰から想像した年齢よりも、実際はもうひとつふたつは若いのかも知れない。
 ここで彼女に会うのが、いや、正確には彼女から彼女の主の伝言を受け取るのが、今夜俺がここに来たもう一つの用件だ。

「早速で恐縮ですが、本題に入りましょう。」
「はい。どうぞこれをご覧下さい。」

 彼女が俺に差し出したのは、一通の白い封筒だった。
 独逸のとある貴族の血を引くのではないかと、浪漫堂内でまことしやかに囁かれている噂を肯定するかのように、その封筒には赤い蝋で封印が施されていた。
 それを受け取った俺は、懐から取り出したナイフで封を切り、三つに畳まれ中に納められていた便箋を取り出す。
 そこにはただ一字、『諾』の文字が流麗かつ力強い筆致で記されていた。

「・・・・・確かに。
 では、これが約束の品です。」

 依頼した仕事を承諾してくれた事に安堵しつつ、俺は上着のポケットから取り出した小さな缶をテーブルに置き、彼女に向けて押し出した。

「これが・・・ですか?」

 彼女は品物の名前を言葉にせず、ただ唇の動きだけで問うてきた。
 『ソーマ』と。
 インド神話に出てくる、神々の食物と同じ名を持つそれは、ヴィシュヌ神を祭るとある寺院で造られる紅茶の銘柄だ。
 生産量が少ない事と、製法を門外不出の秘伝としている為、寺院の外部には殆ど流出しておらず、紅茶を愛好する者の間では伝説の逸品として語り伝えられている。

「ええ、生憎それだけしか手に入らなかったのですが。」
「これだけあれば十分ですよ。
 ご主人様もあの子も喜びます。」
「そう言って頂けると助かります。」

 再び型通りの挨拶が交わされる。
 彼女は主人の伝言を俺に伝え、俺は依頼した仕事の報酬を渡した。
 それでこの短い会談は終わり・・・だ。
 彼女が立ち去った後一人部屋に残った俺は、テーブルの上に置かれた燭台の炎に、封筒ごと返事の書かれた便箋をかざした。
 火の着いた封筒を灰皿に乗せ、完全に燃え尽きたその灰を丹念に指で擦り潰し、万が一にも内容を余人に知られる事のないよう処理を施す。
 とりあえずはこれで良し。
 見られたところでどうと言う事もない内容だが、接触した相手の痕跡を消しておくのも、『裏』の仕事のルールの内だ。
 ・・・と、祖父の代から店に努めている店員が言っていた。
 単に雰囲気を作っているだけだと思うがね。

 さて、これでようやく寛げる。
 本館へ戻ろうか。

 別館へ向かった時より、遥かに軽い足取りで本館へと戻ると、店全体を巻き込んで何やら騒ぎが起こっていた。
 その中心では、高村 椿嬢のファンとしてその名を知られたAi氏が、何やら大き目の箱を抱えて立っていた。
 どうやらあれは投票箱で、これから帝劇創立4周年記念の人気投票を始めるらしい。

「・・・尚、今回は一人一票とさせて頂きます!!」

 どおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!

 Ai氏の告げたルールに、人々の間から大きな驚きの声があがる。
 このテの企画の第一人者としても知られたAi氏は、毎回異なる趣向を凝らした投票方式を用いるのだが、まさかこれほどシンプルな、原点回帰とも言える方法を持ち出すとは予想外だった。

「では、開催者特権行使で、まず私の一票から。
 大帝国劇場の看板娘!
 高村椿ちゃんに一票!!


 高らかに宣言しつつAi氏が最初の一票を投じると同時に、そこに詰めかけた人々が我先にと投票箱に押し寄せる。
 これではとても投票出来るような状態ではない。

「こっちでも受け付けま〜す。」

 との声に目をやると、隣のテーブルに千紗都嬢がもうひとつ投票箱を準備していた。
 が、そちらも瞬く間に人混みに埋もれてしまう。

(相変わらず賑やかだな、ここは。)

 その騒々しい様子に思わず苦笑が洩れる。
 だが・・・悪い気分ではない。

 店内を満たす暖かな空気を全身に感じながら、俺はその人の輪に向かって一歩、足を踏み出した。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 太正浪漫堂。
 元々は舶来品である挽きたての珈琲を淹れるという店であった。赤煉瓦の壁に瀟洒な出窓、内部は壁面や梁の木材に様々な彫刻が施されている店である。

 時代が移り、人が変わっても。
 浪漫堂の灯が消えることは決してないだろう。
 人々の胸の奥に
 浪漫のひと欠片を求める心のある限り。

 『76P過去旅行記』(完)
まいどぉ氏
   └さて・・・と まいどぉ氏 ツリーへ
Re: 『夜の部』
さて・・・と

あとがき

 だからさ・・・根本的に『芸風』が違うんだから無理するんじゃないって。(爆)<いきなりそれかい!!

 実は過去旅行記を担当するのは今回で二度目なんですが、前回はざっと書き込みを紹介しただけだったので、次に機会があるならもっと凝ったものを書きたいと秘かに思ってました。
 で、折り良くジュンさんから依頼があったので、全ツリーネタ化を目指して書いている内に、なんとなくひでじいさんの『浪漫堂シリーズ』モドキになってきたので、せっかくだからそのまま突っ走ってしまおう!!・・・と言うわけで、冒頭の浪漫堂の紹介文、ひでじいさんに引用願いを出してます。(笑)
 でも、別館の紹介文は無断引用です。<ヲイ

 つ〜か、茨の道に突進したような気が。(^^;

 さて、20世紀も残すところあと1日。
 31日中にページが更新すれば、これが20世紀最後の過去旅行記に、年を越してから更新すれば、21世紀最初の過去旅行記になります。
 「それは違う」と仰る方も居るかも知れませんが、こういう事は「言った者の勝ち」です。(爆)
 異論、反論は一切受け付けません。(核爆)

 さて次回、77Pの担当者は・・・もう出来てるッ!?
 しかも、ネタ被ってるッ!?Σ( ̄□ ̄;;

 予告に当たる部分は本文中に組み込んであるので、次のページを見る前にちょっと予想して見て下さい。(苦笑)

 最後になりましたが今回の過去旅行記は・・・

原作
 ひでじい様著『太正浪漫堂シリーズ』
  (夢織時代様主催HP『夢織時代への扉』内、サクラ大戦コーナーに収録)

原案

 ▼最終回見忘れた!! まきやん様
 ▼もの凄いあほらしい質問(つぶやきですので、見たくない人は見ないで(笑) リンク様
 ▼DC版サクラ2のミニゲームについて質問です。 たっくん様
 ▼TV版サクラ大戦終了! 快速東葉勝田台行き様
 ▼ジャンポール症候群【書き逃げギャグSS】 えんかいくん零式様
 ▼サクラ大戦4予想(爆) sell様
 ▼私もつぶやこう・・・(バレか?バレなのか!?) 脇侍・改様
 ▼グリシーヌって おかる様
 ▼勝利のポーズで、気になりました 猫背にゃー様
 ▼本日は井上喜久子さんのお誕生日です! 早乙女太子様
 ▼「何を今さら」な発言ですが(1と2のバレ) KoryuU様
 ▼サクラ2クリア 魅月様
 ▼サクラ大戦2の花の名前・・・? ACT様
 ▼みなさん、はじめまして ブレイド様
 ▼大正狼漫堂にいきました AIM様
 ▼3のミニゲーム、どうなるでしょう loveiris様
 ▼DELETED くまはち様
 ▼合体攻撃が・・・ どなどナ2様
 ▼サクラ2:嬉し恥ずかし夏休みについて質問(バレ) タイソン様
 ▼図鑑で全体攻撃は見れるのか?(バレ) 三本松芽生様
 ▼DC版サクラ2の戦闘画面、ちょっとおかしくない? インディマイオス様
 ▼カンカンとジャンポールについて(バレ) イカルス星人様
 ▼OVA第五巻を見て。(ばれ無し) キートン様
 ▼サクラ2の感想とDC版サクラへの私見。 ツカサ様
 ▼サクラ大戦2の帝劇の長い一日で(ネタバレ) こ〜じ様
 ▼裏表連動企画!「第一回 巴里華撃団人気投票」 全一様
 ▼DELETED ふるふる様
 ▼新規発言もうしわけないですが・・・ 脇侍・改様
 ▼『大神一郎奮闘記』でちと教えてください(^-^; Kimi様
 ▼アフタヌーン11月号(雑誌バレ) ひのまる様
 ▼6人目!? MSZ-006様
 ▼祝!300首突破!!第10回『詠んでみましょう!サクラな短歌』 はづき様
 ▼ちっとうれしかったひとりごと。 Kimi様
 ▼続、攻略本は? ミギー様
 ▼一言 タカ様
 ▼2のつぼみちゃん(少し愚痴) tusa様
 ▼サクラ2のミニゲーム タカ様
 ▼プレビュウの……(ばれじゃないだろうけどくだらない) なや様
 ▼あなたの好きな予告は?&3の予告について sell様
 ▼奇跡の鐘。について質問。(バレ、かな?) ちんじゃおろ〜す。様
 ▼DCサクラ大戦初回版付属VMで? かんちゃん様
 ▼2の紅蘭のミニゲームについての質問です。海軍飛行隊長様
 ▼質問なんですが たいち様
 ▼緒方パパ、お誕生日おめでとうで〜す! 海道賢申様
 ▼サクラ大戦発売四周年記念! Only You! 人気投票開催 Ai様
 ▼DELETED 勝様
  └Ai様の『OnlyYou!』人気投票追加ツリー 千紗都様

 ・・・以上、セガ・サクラ大戦BBS76P、全46ツリーを元に作成しました。
 なお、はづきさんの詠んでいる短歌は、この後のページで発表されたご本人の詠を引用させて頂きました。
 気になる方は検索して探して下さい。(笑)

 では、21世紀にまたお会いしましょう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

追記(2000.12.31)

ふはははは、ページが変わった〜っ!!
20世紀最後の過去旅行記の座は頂いてゆくぞっ!!

ではでは。(笑)
まいどぉ氏
    ├さてさて。 イカルス星人氏 ツリーへ
Re: さて・・・と
(掲載許可を戴いておりません)
イカルス星人氏
    │└はてさて。 まいどぉ氏 ツリーへ
Re: さてさて。
はてさて。

「品物に染み着いた前の持ち主の想い・・・みたいなものですか?
 古道具を扱う商売をしていると、それをよく感じる事があるんですよ。」

 照れ笑いを浮かべながら舞堂が返した答は、イカルスにも馴染みのあるものだった。

「前の持ち主の想い・・・か。
 なんとなく分かる気がするよ。
 考古学者として史跡を回っていると、そういった感覚を覚えることがままあるからな。」
「なるほど。
 古い物品も遺跡も『歳月を経た存在』という点では、よく似ているのかも知れませんね。」
「それに、人の想いの染み込んだものなら、ここにもあるからな・・・。」

 と、言いつつイカルスは、右手のカップを軽く掲げる。
 その仕草は、舞堂ではなくその背後の誰かに挨拶を送っているようだった。何事かと振り向いた舞堂は、イカルスの仕草に込められた想いを瞬時に理解した。
 そこはかつて彼らの友人が愛用していた席。
 共に太正の世の浪漫を、帝国歌劇団の紡ぐ夢を語り合った席。
 今は姿を見ることのないその人がいつか帰ってくることを、彼らだけではなく、その人を知る全ての者が願っている。

「誰かが覚えている限り、姿はなくとも想いは残るからな。」
「そうですね・・・その通りです。」

 過ぎ去った日々を懐かしむようなイカルスの声に答えながら、舞堂もまたカップを掲げ、その席へと挨拶を送った。
 再びここで語り合える日が来ることを祈りながら。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

古人曰く・・・「毒を食らわば皿まで」(爆)<ヲイ;;

イカルス星人さん、こんばんは。
どうしようか一瞬悩んだんですが、やっぱり「浪漫堂シリーズ」をなぞるならこれだろう、と言う訳でさらに茨の道に踏み込んでしまいました。(^^;

で、今回の旅行記。
自分のキャラは、「昼の部」が表の浪漫堂、「夜の部」が裏の浪漫堂のキャラなんですよ。
シリーズが続いていたら、こういう感じで参加したかった、という。
だから、この間の旅行記でイカルスさんがやったように、
「続き書いてくれないなら自分でやっちゃうぞ。」
な、話しな訳です。(笑)

今「浪漫堂」みたいなものをやるとして、一番のネックになってくるのは「HNの使用」だと思うんです。
これは「若草」のように事前に参加者を募集しておくか、或いは他人の名前を出さずに1話目を書いて、レス返しの時に承諾を得て2回目からはその人達を出すようにすれば大丈夫なんじゃないか、と。(思うんですけど・・・どうでしょう?)

それ以上に難しいのは、「SS書き」としての能力の他に、テーブルトークRPGの「ゲームマスター」のような才能が必要とされる点ではないでしょうか。
主催者の書いたものに対して、参加者それぞれのイメージで書かれたものを、ひとつの作品に纏める能力。(というと、大神の「触媒の力」みたいですが。)
自分の場合、協調性に欠けるものでちょっと難しいかな〜と。(^^;
それにやっぱりあの雰囲気は、ひでじいさんの個性から来るものですし。
もしイカルスさんが動くなら、事前にひと声かけて下されば協力は惜しみませんので。(笑)

ではまた。
まいどぉ氏
    ├ぽて・・・と 真宮寺ろーが氏 ツリーへ
Re: さて・・・と
(掲載許可を戴いておりません)
真宮寺ろーが氏
    │└てん・・・と(準備中) まいどぉ氏 ツリーへ
Re: ぽて・・・と
てん・・・と(準備中)
↑いくらなんでも意味不明だぞ。(爆)

ろーがさん、こんばんは。
まだ途中ということですので、とりあえず場所だけ。(笑)

では。
まいどぉ氏
    ├楽しませていただきました。 ムラサメ氏 ツリーへ
Re: さて・・・と
(掲載許可を戴いておりません)
ムラサメ氏
    ├へむへむ。 フロッグ氏  ツリーへ
Re: さて・・・と
(掲載許可を戴いておりません)
フロッグ氏
    └お疲れ様でーす しうら氏 ツリーへ
Re: さて・・・と
(掲載許可を戴いておりません)
しうら氏

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