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エネルギーについて                   
相対性理論をエネルギー保存則から導く   
宇宙の構造と慣性質量              

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 エネルギーにはいろいろな種類があります。運動エネルギー・熱エネルギー・位置エネルギー等が一般的にはよく知られています。
 熱エネルギーは多数の粒子が、各々ばらばらの運動をしているときにその平均的な運動のエネルギーを示すものですから、もともとは運動エネルギーと同じものであることはすぐにわかります。また位置エネルギーは高くまっすぐに打ち上げられた野球ボールの運動から想像できます。野球ボールはその一番高い位置で、その運動が止まったように見えてから再びその運動を下向きに増していきます。高い位置では、運動エネルギーがなくなりますが、潜在的にまた運動エネルギーを増やすことができます。その潜在的な運動エネルギーを位置エネルギーとして表しているのです。ですから、やはり運動エネルギーを基準にしています。
 このようにエネルギーというものは常に運動エネルギーが基準となっています。そして、物理学では、このエネルギーの保存が、重要な大原則となっているのです。違った形に姿を変えても常に総量としてのエネルギーは保存していると考えるのです。実際にさまざまな実験が行われ、この法則が正しいことが確認されています。
 物理学においてはこのエネルギー保存則というものが非常に重要視されています。物理学で重要であるという事はすなわち、宇宙というものが、このエネルギーを重要な一つの基準として形成されているということになります。
 宇宙に何か保存されるものがなければ、過去の宇宙と現在の宇宙、そして未来の宇宙とは何の関連性もなくなってしまいます。この関連性を保つ土台となるのが、エネルギーの保存です。この保存により宇宙がたとえ時間的に経過しても、一貫性というものが確立されるのです。
 時間経過により宇宙が変化して行くのは、エネルギーは保存されるものの、その形態の変化が可能であるからです。
 このようにエネルギーの保存というのは、現代の物理学において一番重要な概念であり、色々な物理学の理論を考える上で、このエネルギーの保存は、第一に念頭に置かなければなりません。

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 さてここで、思考実験を行ってみましょう。まず質量Mの粒子Aを考えてみます。この粒子は静止しており、運動エネルギーをもっていないと考えます。
 この粒子Aが、質量ゼロの殻をもち、内部に更に静止質量M/nのn個の小粒子aがあると考えてみます。全体としては質量は、当たり前ですが(M/n)×n=Mです。内部に含まれる小粒子は自由に運動しています。ただし粒子Aの殻によって運動エネルギーを失う事なく跳ね返され外へはでられないと考えます。普通に考えれば、外から見る限りこの粒子Aは質量Mであり運動エネルギーはゼロです。しかし質量ゼロの殻をはずせばどうなるでしょうか? 中で運動していた、n個の小粒子は外界に飛び去って行きます。このとき全体の運動エネルギーはゼロではない値をもち、また質量を足し合わせばMとなります。n個の小粒子aはいくらでも大きな運動エネルギーの値を持つことが可能です。
 こう考えれば、質量Mの粒子Aはその質量を減らさずに、無限のエネルギーを生み出す可能性があることになります。これは、エネルギー保存という物理学の大原則に反することになります。
 今までの、考え方のどこかに改めるべき所があることになります。さて矛盾のないように是正するためにはどうすればよいのでしょうか。その方法はただ1つです。運動エネルギーと質量は等価のものと考えればよいのです。実は最初粒子Aの質量はMですが、その中に存在するn個の小粒子aの各々の質量をmaとするとmaはM/nの質量をもつというのが間違いであったのです。
 実際のn個の小粒子aの静止質量ma<(M/n)とすればよいのです。そうすれば、小粒子が解放されて増えた運動エネルギーは、M−(n×ma)の質量が形を変えた物と考えればよいのです。つまりエネルギーはただその姿を変化させているだけであるということになり、無限の運動エネルギーなどは取り出せないことになります。
 「質量=エネルギー」という式が成立すれば、矛盾は解消されエネルギー保存則は放棄せずに済むことになります。
 ここでおこなった思考実験は、実はまさしく核分裂と同じものです。アインシュタインは核分裂によって莫大なエネルギーが開放されることを相対性理論より予言したのですが、実はこれはエネルギー保存則からも導かれうる現象なのです。
 このように、エネルギー保存則から質量とエネルギーが等価であることが導かれますが、しかしこのままでは単位も違うわけですから、何らかの変換のための定数が必要です。これをここでは、Kとおくことにします。すると、「E=mK」という式が成立することになります。
 物質が運動すると、運動エネルギーが増加します。このエネルギーを質量に換算して考えると、この物質の質量は増加することになります。この増加した質量をさらに加速すると運動エネルギーつまり質量がさらに増加することになります。このようにして次第に質量は蓄積され雪ダルマ式に増加する事になります。簡単な数学的技巧を必要とするものの、E=mKという関係を用いてこの問題を解いてみると、物質は速度がKの平方根となるときに、質量が無限大になります。これが、実は究極の速度としての光速度Cということになります。つまり、C=√Kです。
 アインシュタインの特殊相対性理論をよくご存じの方であれば、この論法が特殊相対性理論の逆をなぞっていることに気づかれるでしょう。特殊相対性理論では、光がどのような慣性系から見ても一定の速度であることより、「質量=エネルギー」を導いたのですが、ここでは、エネルギー保存則より出発し、「質量=エネルギー」と考え、光速度Cを導いています。
 アインシュタインの理論では、どうして宇宙には越えられない速度Cが存在するのか、ということには答えられず、それを事実として受け入れたところから、出発したのです。
 しかしエネルギー保存則という、より一般的な物理学的概念から出発し、このように越えられない速度Cが存在することを説明する方がより普遍的な論理の筋道であると思われます。つまり、アインシュタインこそが、論理の逆をたどっていたのです。
 この考え方に従えば、越えられない速度としてのCの意味がよくわかります。その空間の性質に関係することや、運動エネルギーが無限大に必要になってしまうためにその速度を越えられないことなどです。Cという値が秒速30万キロメートルであるということなどあまり大きな問題ではなくなります。その空間の性質が変わればもしかしたらその値も変わるかも知れません。なにしろその空間での質量と運動エネルギーの換算の定数の平方根なのですから。
 光速度Cにあまり固執するととんでもない考えにとらわれてしまいます。例えば以前にも書いたブラックホールという概念などです。光速度Cの持つ意味をはっきり認識すればこのような馬鹿な考えはすぐに間違いであることがわかります。

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 さてこのようにして、「質量=エネルギー」から出発すると、光速度Cというものが質量が無限大に増加してしまいそれ以上の速度が出せない速度であるということがわかります。 そしてこの速度は、その空間における質量とエネルギーの換算の定数の平方根であることもわかったわけです。この考え方は、説明の方法としては、一般の物理学の書物とは全く異なるものの、数式的な結論としては、物理学の世界では既に受け入れられている内容です。
 ここで、エネルギーについてもう一度考えてみましょう。エネルギーはすべて、運動エネルギーを基準として考えることができるということを既に述べました。運動エネルギーはニュートン力学ではmv2)/2であらわされます。つまりは、動かされにくいという慣性質量の性質をもった物質が動かされることにより得られるものです。エネルギーは動かされにくいという、慣性質量の性質に源があることがわかります。
 ところでこの慣性質量の性質とはいったい何に起因するのでしょうか。 物質の運動というのは、すべて他の物質との相対的なものです。他の物質との相対的な位置の変化を観測しなければ運動というものは観測できません。では加速度運動と慣性運動は他の物質との関係なしで区別することができるでしょうか。宇宙船に窓がなくて外を見ることができずともその宇宙船が加速度運動をしているか慣性運動をしているかを知ることができるから、他の物質との関係なしで区別は可能であるように思われています。しかし決してそのようなことはありません。窓がないということは、光という通信手段を遮断するだけの意味しかありません。例えば、重力の作用は窓がないというだけでは遮断することはできません。重力という手段を通じて、他の物質との間の相対運動を計測することも可能なはずです。そう考えれば、慣性系にあるというのも他の物質との相対的なもの、ただしこの場合は宇宙全体の物質の分布との相対的な運動であると私は考えます。
 ある物質が慣性系にある場合、この物質を動かす力が働かない限りその系にとどまろうとします。これを、他の物質との相対的関係であると考える限り、宇宙全体に分布する物質と慣性系にある物質との間に相互的作用があると考えなければなりません。
 重力質量と慣性質量が等価であるというアインシュタインの主張が正しければ、当然この慣性系にとどめようとするために働く力の源は、宇宙全体の物質と作用し合う重力でなければならないのです。
  そして、これが慣性質量として観測されるのです。この慣性系にとどめようとする力が宇宙全体よりの重力の作用であるならば、宇宙の質量密度が高いほどその作用は大きくなると考えられます。慣性質量と宇宙の質量密度とは直接的に関係があることになります。
 運動エネルギーの源が慣性質量にあり、その慣性質量が宇宙の質量密度と関係があるなら、エネルギーと質量の換算の定数の平方根である光速度Cも当然宇宙の質量密度と関係があるはずです。宇宙全体の構造は宇宙の局所の問題に影響を与えることになります。長距離力が宇宙全体にまで到達する(現在の通常の物理学では無限遠まで到達すると考えています)のですからよく考えてみれば当たり前です。

 さてここまで書き終えた時点で、宇宙論関係の書物(初心者向けではありますが)を調べたところ、慣性質量と宇宙の質量密度が直接的に関係するという結論は、実は既にエルンスト・マッハによって提唱された、「マッハ原理」として知られる内容と一致していました。「マッハ原理」はある程度知っており正しいとは思っていましたが、エネルギーの保存則から出発しかなり観念的ではありますが、独自に達したと思った結論が「マッハ原理」と全く一致していたので驚きました。 アインシュタインも相対性理論を構築する上でこの「マッハ原理」を基にしており、私も宇宙を考える上で「マッハ原理」は重要な原理の1つであると思います。この「マッハ原理」とここで得た結論が一致しているのですからきっと正しいと私は信じています。
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