夫が帰るのはいつも深夜、過労死が心配です

三菱電機伊丹の春闘を前進させる会「春闘アンケ−ト」

◆ 労働基準法改悪先取り職場 妻たちの叫びが聞こえる ◆

「夫が帰宅するのはいつも深夜。土、日曜日も出勤し、たまの休みは寝ているだけ。このままでは過労死するのでは…・・」三菱電機の技術者の妻たちは、春闘アンケ−トにこう答えています。労働基準法改悪の先取りの職場で、妻たちはさけびともいえる声をあげています。
兵庫県の伊丹市から尼崎市にかけて三菱電機の工場、研究所、技術部門が集中し、約1万人が働いています。

◆ 子と会える日曜さえ奪う ◆

労働者有志でつくる三菱電機「春闘を前進させる会」は、アンケ−トはがきを社宅などに配布。ことしからは、同「会」の電子メ−ルのアドレスも書きこみました。
「主人は毎日、24時をすぎて帰ってきます。子どもの寝顔しか見れず、子どもも『お父さん、きょうは帰ってくるかなあ』とききます。

いまの社会ではこれがあたりまえなのでしょうか。母子家庭のような状態に不安を感じる日々です」(30代、女性)
「私は、社員の妻です。いま、(夫の)過労死を心配しています。夜は11時半より早く帰ることはなく、朝は7時前に家をでます。
土曜日もかならず出勤、日曜も出勤することがあります。子どもも日曜日しか父の顔を見られません。その日曜さえも奪ってしまう会社です。」(40代)

夫の働きすぎに胸がはりさけんばかりに心配する妻たち。電機の大企業は、半導体やパソコン、携帯電話などの研究、開発、生産をめぐって世界的な「大競争時代」に突入しています。
三菱電機の職場でも、新製品の研究、開発などで夜遅くまで、土、日曜日も働いています。

しかも、いくら働いても労使協定で定めた時間だけはたらいたとみなす裁量労働そっくりの「裁量企画手当」(注)が研究者、技術者に導入されています。橋本内閣は、今国会に裁量労働をホワイトカラ−層に広げるなどの労働基準法の改悪案を提出しています。それを先取りした三菱の職場では、超長時間・過密労働とサ−ビス残業がまん延しています。 40代の研究者は、アンケ−トで告発します。

「過労で1ヵ月入院」した人の声を聞いた。『過労になるのが分かっていてもしかたがない』の言葉に会社の非情さを見た」
ある技術者の妻は、涙ながらに語ります。「夫は、ことし 1月 4日に出勤していらい、休んだのは 2月 8日のたった 1日だけです。たまの休みは1日寝ています。『健康管理もなにもしないで、死んでもいいの?』ときくと、『そう思っている』とまでいうんですよ」

◆ 裁量労働や企画手当反対 ◆

アンケ−トで労働者は、裁量労働や裁量企画手当に強く反対しています。「電機連合は、労基法改悪反対で運動せよ。裁量労働制では職場は地獄と化す」(40代男性)、
「裁量企画手当制度反対。他社の友人たちによると、このやり方は体のいい賃金カットではないか、といわれた」(30代男性)、「常に残業が150時間を越え、代休がとれない。残業代もついて40時間」(20代男性)

「春闘を前進させる会」の田村信行さん(49)は、寄せられた300数十通のアンケ−トに書き込まれた要求の切実さにおどろいています。
「回収にいくと、『まだ書いてませんでした』といって、後で追いかけてきて渡してくれた人。留守の家では、ドア−にアンケ−トはがきがテ−プで張りつけてあったり…・・こんなことはこれまでになかったことですよ」

賃上げ要求のトップは 5万円でした。三菱電機は、 3月期の経常利益が前年の611億円から50億円へと大幅に減益になると危機感をあおっています。しかし、これまでのため込み利益(内部留保)は、6.658億円にのぼっています。 「連合」・三菱電機労組のベア7,000円の賃上げ要求に十分にこたえるだけのため込み利益です。

「前進させる会」では、賃上げと裁量労働の拡大など労基法改悪反対を結びつけて運動していくことにしています。 三菱電機労組が加盟する「連合」は、残業の上限時間を労基法に明記させることや、新たな裁量労働制の導入に反対して政府の労基法「改正」案からの削除を求めています。要求で団結し、共同を広げる条件はひろがっています。

三菱電機の労働者の共通の要求、願いはアンケ−トに端的にあらわれています。

「もっと人間的なくらしをおくりたい」(30代男性)
98−03−08付「しんぶん赤旗」より


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