夫の過労死心配 帰宅時間メモする毎日
三菱電機はただ働きなくして!
2001年3月7日(水)「しんぶん赤旗」

労働者、家族アンケートに声続々
長時間・過密労働やサービス残業(ただ働き)をなくせと三菱電機の労働者、家族が2001年春闘のアンケートで切実な声をあげています。

アンケートは、兵庫県伊丹市から尼崎市にかけて広がる三菱電機の工場、研究所、技術部門(合わせて約1万人)の労働者有志でつくる「春闘を前進させる会」が職場や社宅、インターネットでおこなっているもの。これまでに約300人から寄せられています。

20歳代の妻は、「(夫は上司から)60H(時間)以上の残業をつけるな」といわれたと訴えています(別項)。夫の過労死を心配し、「裁判にむけて帰宅時間などをメモするようにしています」と書いています。

三菱電機は、98年9月から1年半、「赤字」を理由に、

▼時間外割増率を3割から2割5分に切り下げる

▼間接部門の残業を20%削減する

――などをすすめてきました。

こうしたリストラや半導体などの売り上げ増で、2001年3月期決算は、過去最高の2,170億円の経常利益をあげる見通しです。

アンケートでは、三菱電機の過酷な長時間・過密労働を告発しています。

30代の男性は、「死にたい。心中したい。過労でノイローゼ。自殺者がいるというのもわかる。あすのわが身だと思う…メーカー社員である以上、作業着の似合う人間でいたい。でも死にかけ」と悲痛な声をあげています。

同じ30代の男性は、「他社にくらべ一つの開発人員が少なく、一人過重労働がかかって、効率よく仕事がはかどらない! 子どもが起きている時間に帰れない」と訴えています。

ある労働者は、サービス残業をなくすために具体的な3つの「対策案」を書き込んできました。

(1)決まった時間になると職場のすべての電流が切れて仕事ができなくなる

(2)課員の残業時間が長いと上長の査定に影響させる

(3)あるいは在場時間を残業時間とする…」

サービス残業は減少世論と運動の成果
一方で、全労連、連合が一致してなくすことを要求しているサービス残業について、「昨年にくらべて改善されてきた」と30代の男性はのべています。

「前進させる会」のこの3年間のアンケートでも、「残業代の不払いがある」と答えた労働者は、99年が46%、2000年が48%にたいし、2001年は26%へと減っています。

三菱電機は、94年に「裁量企画手当制」を導入。20時間相当の残業代が支払われる代わりに、それ以上の残業代は申請できず、サービス残業がまん延していました。こうした制度の見直しの声が広がり、98年に廃止になりました。

昨年11月からは新たに裁量労働制によく似た「MERIT」を導入しました。この制度は、「裁量企画手当制」にはなかった「本人同意」条項が盛り込まれました。このため、数10時間もの残業が恒常化している携帯電話の開発の職場などでは、多くの労働者が「MERIT」の導入に同意していません。

「前進させる会」の田村信行さん(52)は、サービス残業が減った背景について、こうした理由とともに、

▼連合が2000年春闘から本格的にサービス残業なくせの運動を始めた

▼労働省が、同じように制度を導入している日立や東芝などに立ち入り調査をした

――などをあげています。

 20代の女性のアンケートから
「主人は『60H(時間)以上の残業をつけるな』と上司より言われています。

しかし、土日出勤はもとより徹夜で帰宅しないことも多く、お金のことより『このままでは本当に過労死してしまう』と、毎日心配でなりません。

主人が万一過労死した場合を考え、裁判にむけて帰宅時間などをメモするようにしていますが、この実態をどう思われますか。12月など結局1日も休みがありませんでした。

労働組合の方はもう少し踏み込んで調査していただけないでしょうか。このままでは“人殺し会社”になってしまいます。
どうか考慮して下さい」



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