「羅針盤」 99年10月号 第124号

発行 日本共産党三菱電機伊丹委員会

「羅針盤」は1985年10月に創刊された日本共産党伊丹委員会の職場新聞です。
「仲間と仲間、職場と家庭を結ぶ連帯のきずな」として月刊紙として発刊されました。
創刊後14年目を迎え、今号で第124号です。

長時間サービス残業なくして雇用拡大を!
合理性のない1万4千5百人削減


いま、三菱電機の職場では、「国際競争力の強化」の名でグループ人員を1万4千5百人を削減するという、激しいリストラ「合理化」が進行し、労働者と家族を不安におとしいれています。

■ 「能力発揮、充実した自己実現」という名で

  企業側は経営の拡張や莫大な投資の失敗と厚生年金基金の企業負担分一挙計上などによる損失からくる「連結決算赤字」を最大限に利用し、自然減、グループ外出向・転籍、事業売却による人員削減です。

人減らしの手口も巧妙で、コンピュータ導入による技術革新が進むなか、役職ポストから外された管理職や技術革新の「流れについていけない」と悩む中高年労働者の弱みにつけこんだものとなっています。

昨年10月、会社は「キャリアプラン自主申告制度」をつくりました。それは、管理職をふくむ「45才以上」の技術労働者などを中心に「能力発揮、充実した自己実現」という聞こえのいい言葉で、労働者にグループ外の企業を中心にどこに行きたいか、今後の方向を自主申告するようになっています。

しかも、「最終的には会社としての支持にしたがっていただくことになる為、キャリアプランとして進路を希望してもかなわないことも十分考えられます」と、明記されています。

■ 勝ち残り人減らし

こうした1万4千5百人の人員削減を行わなければならないほど、三菱電機は、企業危機なのか、人員は過剰なのかといえばそうではないのです。

不況だ、危機だといいながら、97年には三菱電機本体で有形固定資産(土地、建物、機械など)1,000億円を投資、連結で1,400億円を投資しています。

内部留保は98年3月時点で6,895億円、従業員一人当たり1,500万円もため込んでいます。人員についても長時間サービス残業を是正すれば過剰でも何でもないんです。

しかも、この人員削減計画は2001年度までに、現在の売上高3兆8千億円を4兆円に、税引き利益を1,200億円にして「21世紀を力強く勝ち抜く企業体質にする」という大もうけをあげる「中期計画」達成の手段として行われているのです。

最高裁判例の「整理解雇の四要件」に照らしても不当です。

■ 蔓延するサービス残業

リストラの標的となっている開発・設計、管理部門の実態をみてみましょう。 職場は、コンピュータ導入による技術革新で開発期間の大幅短縮、ノルマと成果が追求されるなかで長時間・サービス残業が蔓延しています。

20才代若手技術者のAさんはこう訴えます。「職場要員が足りないため、一人ひとりの仕事量が多くなり、毎晩かなり遅くまで仕事をし、土曜日もほとんど出勤。要員も補充されず、残業代は決められた額しか支払われず、家庭を犠牲にしてのただ働きの毎日です」と。

30才代のBさんは「プロジェクトの時点で最初から工程に無理があり、だいたい定時が21時ぐらいになっています。遅くまで働かせてサービス残業ではやるきもなくなってしまう」といいます。

■ サービス残業を根絶し雇用拡大を

日本共産党三菱電機伊丹委員会は、「労働時間の正確な把握を企業に義務づけさせ」、サービス残業をなくして雇用を拡大する政策を提起し、職場で対話と共同をよびかけるとともに、国会や地方議会に働きかけ大きな世論と運動を広げていこうとしています。

●日本共産党の解雇規制法案より●

最高裁判例でも確立している「整理解雇の四要件」を、すべて満たさない解雇は無効とする。解雇の四要件とは、

@その解雇を行わなければ、企業の維持・存続ができないほどのさしせまった必要性があること。

A解雇を回避するあらゆる努力がつくされたこと。

B解雇の対象とする労働者の選定基準およびそれにもとづく人選の仕方が合理的かつ公平であること。

C以上について、労働者個人および労働組合(労働者の代表)にたいし、事前に十分な説明をして了解を求め、 解雇の規模・時期・方法などについて、労働者側の納得を得る努力がつくされていること。



■ 三菱電機のサービス残業問題

ー上原秀樹議員が代表質問 ー伊丹市議会本会議ー

三菱電機などの大企業のリストラが横行するするなか、伊丹市の有効求人倍率は0.20 という最悪の状態。9月の伊丹市議会で日本共産党の上原秀樹議員は、三菱電機のサービス残業問題をとりあげ、国と行政の連携による雇用対策の強化を求めました。

当局も「使用者が割増賃金を支払わない場合は、罰則が規定されている」とサービス残業は労働基準法違反であると答弁。伊丹市としても「労働問題の相談会」を継続していくと表明しました。

■ 【上原議員の質問要旨】

伊丹市の新規求人倍率は0.45、全国は0.82、有効求人倍率は0.20、全国の0.46と比べてもいずれも最悪となっている。全国的にも大企業のリストラ・合理化による失業で自殺者が増大し、男性の平均寿命を切り縮めるという異常事態である。

大企業である三菱電機(伊丹)の「春闘前進させる会」のアンケートによると、伊丹地域(周辺)に所在する事業所で働く労働者の約4割が月24時間、年間288時間のサービス残業をさせられています。

会社は利益を最優先し、長時間・過密労働が労働者を苦しめています。社会生産性本部がこのたびリポートを発表したが、サービス残業に注目し、サービス残業なくせば雇用効果は90万人と試算しました。

三菱電機にあてはめると、伊丹地域(周辺)だけで587人の雇用を新たに拡大できます。国会でも日本共産党がこの問題をとりあげ、賃金の不払いという重大な法違反を改善することを求め、小渕首相も「サービス残業をなくすため法の趣旨の徹底を図る」と答弁をせざるを得ませんでした。

市長はこの法を無視した異常事態、失業者の増大とサービス残業の増加など人員不足の矛盾をどう考えておられるのか。伊丹市行政として国・県との連携の中で、これを解決するためにどんな対策を考えておられるのか。答弁を求めるものです。

さらに、上原議員は、労働者の権利が侵害されている現状から、伊丹市として「労働相談会」を行うこと。特に、労働基準監督署、職業安定所、県、市、社会保険事務所の5つの機関が合同しての相談会を継続・充実させること。

アメリカのバーモント州で、「労働者権利センター」として相談窓口をつくったように、労働者の権利を守るという点に視点を当てるべきである―などを要求しました。

伊丹市の 「労働相談会」

  【毎月開催】
第1、第3、第4水曜日
(夜間)市役所内

第1、第2、第3土曜日
(昼間)市役所内

第2水曜日(夜間)、第4土曜 日(昼間)は女性児童センター
   詳しくは伊丹市役所へ TEL:(代)0727-83-1234
       

   


読 者 の 広 場
「羅針盤」読者からの投稿

■ 未来が見えない自自公政権

  東海村の放射能漏れの問題をはじめ、経済問題についても自自公政権には日本の未来が見えてこない。現在の国民生活の危機的状況に対して、なんら解決策、政策を提示していない。

これまでの延長線上での公共投資、ゼネコン予算になっている。次回の総選挙ではそういう意味も含めて日本の将来を決める大切な選挙になっており、そろそろ目覚めないといけない状況になってきている。(読者・s)

■ 浄化作業始まる地下水汚染

環境基準の1万倍以上のトリクロロエチレンなどで地下水汚染を引き起こした三菱電機の尼崎市の事業所ですが、10月1日から浄化作業が始まった。

マスコミ報道によると、周辺住民の不安を解消する為に1ヶ月間くりあげたという。「藤木さん、大沢さんが現地調査に入ったのは大きいな」との声が上がっています。 (読者・y)        

     


◇編集後記◇

10月に入ったとはいえ、厳しい暑さが続き、まさに異常気象。政治や経済面も異常。リストラによるサラリーマンの自殺。
宗教政党を政権に入れたり、安全軽視、利益だけを追い続ける大企業、ついに東海村の放射能漏れ、どれもこれも異常なことばかり。
解散・総選挙で自自公政権に厳しい審判を下し、政治を変えるしかない。


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