「羅針盤」99年6月号 第121号
発行 日本共産党三菱電機伊丹委員会
「羅針盤」は1985年10月に創刊された日本共産党伊丹委員会の職場新聞です。
「仲間と仲間、職場と家庭を結ぶ連帯のきずな」として月刊紙として発刊されました。
創刊後14年目を迎え、今号で第121号です。

リストラ・人減らしよりも
「サービス残業」なくして雇用拡大を!

■伊丹地域だけでも587人、全社で2,800人の雇用拡大が可能

三菱電機の労働者でつくる「春闘前進させる会」の99春闘アンケート結果(300名集計)によると、伊丹地域に所在する三菱電機の事業所、製作所、研究所で働く労働者の4割が月平均24時間、年間平均288時間の「サービス残業」(タダ働き)をさせられています。

この法律違反の「サービス残業」をなくすだけで、伊丹地域だけでも587人、三菱電機全社では2,800人の雇用を新たに拡大することができます。

労働者は残業しても賃金を受け取っていませんから、「サービス残業」をやめたからといって減収になることはありません。反対に自分の自由な時間や家族と過ごす時間が増えることになり、過労死≠フ心配も少なくなります。

■年間総労働時間1,800時間実現で3,400人の雇用拡大

日本の労働者は、ドイツと比べて年間600時間も多く働かされています。日本の企業が国際的に抜群の競争力を保持しているのは、労働者を低い労働条件で長時間働かせて製品のコストを極めて低く押さえているからであると国際的な批判をうけてきました。

このような不公正な国際競争力をただせという国際的非難にこたえて、政府は年間総労働時間を1,800時間(所定内1,653時間、所定外147時間)にすると1986年に国際公約しました。

連合も「2,000年度までに年間総実労働時間1,800時間達成」、IMF・JC も「年間総実労働時間1,800時間台達成を21世紀に持ち越さない」といっています。

この国際公約を緊急に実現すれば三菱電機では3,400人の雇用を新たに拡大することができます。

【私たちの要求】

@サービス残業(ただ働き)を厳禁し、2,800人の雇用を新たに拡大する。

A政府公約、連合実行計画の年間総労働時間1,800時間を早期に実現して3,400人の雇用を拡大する。

▼ 年間平均の「サービス残業」時間=288時間

▼ 伊丹地域 9,854人×0.4×288時間=1,135,180.8時間

▼ 三菱電機全社 46,440人×0.4×288時間=5,349,888時間

「サービス残業」をなくすことにより新たに拡大できる雇用数

【伊丹地域】 1,135,180.8時間÷1,932.3時間=587人

【三菱全社】 5,349,888時間÷1,932.3時間=2,768人

▼ 1997年度の伊丹地域の正規社員数9,854人(先端技術総合研究所、 北伊丹事業所、通信機製作所、系統変電・交通システム事業所)

▼ 1997年度の三菱電機の社員数46,440人

▼ 1997年度三菱電機の平均年間総労働時間1,932.3時間

▼ 政府公約の平均年間総労働時間=1,800時間

▼1,932.3時間−1,800時間=132.3時間

1,800時間労働制の実現により新たに雇用できる雇用数

【伊丹地域】 132.3時間× 9,854人 ÷1,800時間=724人

【三菱全社】 132.3時間×46,440人÷1,800時間=3,413人

■半数がサービス残業、月24時間、7万円

「職場で不満・不安なこと」―6割が「賃金が低い」、4割が「要員が足りない」

三菱電機の伊丹地域に所在する研究所、事業所、製作所で働く労働者で、企業からサービス残業を強いられているという人が、45%にものぼることが明らかになりました。

これは、三菱電機の伊丹の仲間でつくる「春闘を前進させる会」がおこなっている99春闘要求アンケートで、昨年末から、ハガキ形式で工場門前、社宅などに配布され、99年1月末までの300名から回答されものを中間集計したものです。

それによると、「残業の不払いがある」と答えた人が40%、月平均のサービス残業は24時間、平均額は7万円に達しています。

サービス残業が多いのは、研究、開発、設計の専門・技術職です。20〜30時間はふつうで、なかには「100時間で20万円」という回答もかえってきています。

同時に、「職場で不満・不安なこと」では、「賃金が低い」(60.3%)、「要員が足りない」(38.3%)と訴えています。

【三菱電機「中期経営方針」(99年3月31日発表)―大リストラ計画の概要】

―2001年度めどにグループで14,500人の人員削減(国内8,400人削減、海外6,100人削減)。
そのうち三菱電機単独で6,000人削減をするというものです。98年度グループ人員が146,200人ですから、その10%、10人に1人に相当します。

短期的には、2000年度までに、総人件費の削減などによる固定費1,000億円以上の削減をはじめ、材料費などの原価低減を推進し、変動費500億円以上の削減をあげています。

経営陣は、マイナス成長の要因として過剰設備、過剰雇用、過剰債務などあげ、社内分社化、赤字部門の縮小・撤退・売却などすすめるとしています。
しかし、このリストラ計画は明らかに経営陣の「赤字」の責任は不問にして、一方的に労働者と下請け企業に犠牲をおしつけるものです。

【98年9月以降の「緊急業績改善対策」(リストラ「合理化」)で職場はどうなったか】

◆「97年度全社業績改善緊急対策」(97年11月)以降、「緊急業績改善対策」(98年9月)によるリストラ「合理化」と「追加対策」(99年3月)を強行。

パート・派遣労働者の解雇、社員の転籍、出向。賃金・一時金のダウン、長時間・サービス残業のひろがり。時間外割増率や諸手当の引き下げだけでなく、会社表彰の賞金停止、永年勤続旅行券停止など、労働者の既得権が奪われている。

◆会社は海外の赤字事業のリストラは終わったというが。すべて労働者に犠牲おしつけ。99年3月期連結決算も445億円の「赤字」。リストラ費用に750億円を計上したと報告。

「国際競争力」の名で際限のない人減らし

【主な電機大企業の人減らし計画】

・三菱電機 2001年度末までにグループで14500人(国内8400人、海外6100人)

・日立製作所 99年度中に6500人

・東 芝 99年度末までに6000人

・NEC 3年間にグループで15000人(国内9000人、海外6000人)

・ソニー 2002年度末までにグループで労働者の一割17000人

・三洋電機 2001年度末までにグループ6000人

( 「しんぶん赤旗」99/05/19日付より)


読 者 の 広 場
「羅針盤」読者からの投稿

■改悪労基法でサービス残業増大?

「4月1日から実施された労働基準法改定に伴う労働協約の変更で、年間時間外労働時間の上限を360時間としました」という通知が労働組合の掲示板に掲示されているのを見た若い技術者は「これだと月30時間の残業ということになるけど、とても無理ですよ」といっています。

うちの職場では慢性的な高負荷で、毎月70時間申請をする人がいるような状態です。とても30時間など夢のような話です。

労組のビラには「管理職と組合員の相互努力で残業を減らそう」と書いてありましたが、今まで職制は「高負荷が減らないのは君らの努力が足りない」といってその責任を労働者に押しつけ、「サービス残業」を押しつけてきました。その職場の実態からいうとこれは「サービス残業強要の口実を設ける」ということになってしまいます。

■監視、罰則が必要

労基法に時間外労働の上限が「努力目標」として書き込まれたことは、今までの運動の成果ではありますが、使用者(経営者)に罰則もなく、監視もない状態では、労働組合が厳しいチェックを行うなどして労働者を守らない限り、会社に「サービス残業」強要の口実を与えてしまう結果となるでしょう。

改定労基法では、時間外360時間を労働協約に入れるように規定しています。同時にこれは36協定の中なので、これを越える残業を禁止しているのではありません。従って三菱労資でも、申請があれば残業を認めています。

■「サービス残業」禁止して雇用拡大の運動を

本来は、労働組合の力を強くして会社への監視を強め、サービスを禁止して要員を増やし、負荷を軽減して残業そのものを減らす運動を強化して、労基法の規定が文字どおり適用され、長時間過密労働から労働者を解放しなければなりませんが、当面は必要な残業時間は正しく申請し、正当な残業手当を支給させるようがんばりましょう。(T)

■「VPM30」でグループ外へ出向

昨年5月以来とりくまれてきた※ 「VPM30活動」 によりこの間、出向、配転が毎月のように発令され、職場の中は歯が抜けていくような状況になっています。

とくに出向については従来、関連会社がほとんどだったのでですが、この間の出向は、職業安定所の紹介によって、三菱とはまったく関係のない会社へ出向に出されるようになりました。

職場では、「VPMの進行状況はどうなっているんだ、大変だ、大変だではわからない、経営の実態を示せ」の声が上がっています。
また、このままでは、「どこの会社に行かされるかわからん、不安だ」、「こんどは誰が出(出向)されるのか」と、疑心暗鬼の思いが広がっています。定年まで安心して働き続けれれる職場をつくっていきたいものです。

※ 「VPM30活動」とは・・・・・30%効率アップ運動の一つで、「現状の人員で生産を30%あげる、生産が現状で横ばいであれば30%の人員を減らす」という企業の身勝手な作戦。(読者・S)

◆ 編集後記 ◆

 ★失業率は史上最悪の4.8%、実質賃金も15ヶ月連続減少し、さらに大企業のリストラ・人減らし。雇用不安、生活不安がひろがっています。
こんなときにこそ政治の役割が重要ですが、自民党政府もリストラを支援しています。小渕内閣が3月末に発足させた産業競争力会議です。

「設備」と「雇用」「債務」の三つが過剰だとして、税制、財政面などから大企業がすすめているリストラを政府が後押ししようというものです。
メンバーとして経団連の今井敬会長(新日鉄会長)や5月13日に新たに日経連会長に就任したトヨタの奥田社長ら財界人がずらりとならんでいます。


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