業績が悪化している半導体大手ルネサスエレクトロニクスは3日、国内の18工場のうち10ヵ所の削減を検討すると発表しました。 　3年以内に結論を出します。半導体製造の中心となる「前工程」を手がける工場では、鶴岡(山形県鶴岡市)と山口(山口県宇部市)両工場を譲渡する方針。また9月に 五千数百人を想定した希望退職者も募集し、業績立て直しを急ぎます。

　売却や閉鎖を検討するのは、設備が古く採算が悪化している工場が中心。中核のマイコン事業は那珂(茨城県ひたちなか市)、西条(愛媛県西条市)などに集約します。 高知（高知県香南市）は能力を縮小し、維持します。製品組み立て（後工程）の拠点は大半を海外に移管し、函館（北海道七飯町）や青森（青森県鶴田町）、 熊本錦(熊本県錦町)などを譲渡または閉鎖する方向。削減候補となる工場の従業員は合計5000人前後と見られます。

ルネサスエレクトロニクスが譲渡・閉鎖を検討する工場

(前工程)　鶴岡(山形県鶴岡市)、山口(山口県宇部市)

(後工程)　函館（北海道七飯町）、青森（青森県鶴田町）、福井(福井県坂井市)、柳井(山口県柳井市)、山口(山口県宇部市)
　　　　　　熊本錦(熊本県錦町、熊本大津(熊本県大津町)、大分(大分県中津市)

ルネサスエレクトロニクス

　日立製作所と三菱電機が出資するルネサステクノロジと、NEC子会社が2010年4月に合併し発足した半導体専業メーカー。 11年の半導体売上高は国内で東芝に次ぐ2位、世界で5位。自動車や家電の制御に使われる半導体「マイコン」分野の市場シェアは世界トップの3割を占めます。 システムLSI(大規模集積回路)事業の赤字に加え、東日本大震災でマイコンの主力工場が被災したことも響き、12年3月期は626億円の連結順損失を計上しました。

（しんぶん赤旗7/4付）