契約は3カ月ごとに更新され、22年間もこの扱いでした。労働者派遣法では、専門26業務は派遣期間の制限はありませんが、
仕事の内容は政令で規制されています。
岩崎さんのケースはこれに該当せず、派遣期間が最大3年に制限されている一般業務です。派遣で禁止されている「業務偽装」といわれる違法派遣にあたります。22年もの長期にわたって就労させていた派遣先の三菱は、岩崎さんを直接雇用する義務があります。
ところが9月、派遣先から三菱が雇い止めすると知らされ、その翌日、岩崎さんは事業所の役員によばれます。
課長は、他の営業所が廃止になり、正社員が茨木に移動してくるといい、「聞いていると思うけど、あなたには辞めてもらう。契約で働いているので、期間が過ぎれば雇い止めができる」と冷ややかに伝えました。
聞いていた岩崎さん。声を絞り出して反論しました。「いくら契約であろうと、20年以上も更新してきたら、期限の定めのない契約です。解雇はできません」
「えっ、どこで調べたの」と今度は課長らが慌てだしました。
「私は納得できませんといいました。それでも三菱の課長さんは『派遣なので解雇しても違法ではない』と強弁していました」と岩崎さんは話します。
図書館に通い、労働者派遣法の解説本を読み、時間外労働の割増賃金や年休取得についても学びました。
親類より親身に
そして保管していたビラの電話番号にかけると、応対した北摂地域労組の岩田幸雄さん(元全労連副議長)がじっくり話を聞き、
助言してくれました。
「親類よりも親身になって相談に乗ってもらいました」と岩崎さん。組合に加入し、10月、三菱が直接雇用し、違法派遣を是正するよう大阪労働局に
申告しました。地域労組は三菱と派遣元に団体交渉を申し入れました。
三菱は団交をかたくなに拒否しますが、派遣先は応じました。11月29日に行った3回目の団交で派遣元は、自社と三菱の双方が労働局から文書で指導されていることを認めました。
しかし、三菱は、労働局の是正指導を無視して直接雇用を拒んでいます。
12月、岩崎さんはこれまでと同様に朝、茨木事業所に出向き、「働きにきました」と『出勤闘争』をしています。1日には放送局などが岩崎さんのたたかいを取材しました。
岩崎さんはいいます。「多くの人たちの支援で一人では開けられない大きな会社の扉に手がかかりました。泣き寝入りせず、立ち向かうことが大事だとわかりました」
(『しんぶん赤旗』12月3日付より転載)