2010年9月号 日本共産党三菱電機伊丹委員会
 「羅針盤」は1985年10月に創刊された日本共産党伊丹委員会の職場新聞です。
「仲間と仲間、職場と家庭を結ぶ連帯のきずな」として月刊紙として発刊されました。
創刊後25年目迎え、今号で第179号です


【NEWSCLICK】
▼サービス残業是正、残業「上限枠」撤廃 三菱電機先端技術総合研究所
▼労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置
▼これでいいのか?「ダイヤモンドプラン」
▼正社員への「登用制度」を確立しよう


サービス残業是正、残業「上限枠」撤廃 三菱電機先端技術総合研究所

労働者と共産党が会社を動かす

 三菱電機でサービス残業是正が行われていることが、このほど、日本共産党三菱電機伊丹委員会の調査でわかりました。

 尼崎市にある同電機の先端技術総合研究所(従業員約千人)は、尼崎労働基準監督署から労働基準法違反の是正勧告を受け入れ、管理職も含む社員にたいし、 6ヵ月分の残業代不払分として7月賃金支給日に、支払われていたものです。

 「サービス残業が是正されて本当によかった」「残業の上限枠の設定が撤廃された」、と喜びの声があがっています。  今回の是正勧告は、2002年4月に続く2度目。是正措置は@昨年10月16日から今年4月15日までの6ヵ月間の在場時間と自己申告時間の時間差を 確認して、違いがあればその分の残業手当を支払う。A裁量労働制適用者の深夜残業手当(22時以降の残留時間分)、休日出勤の時間外も含む B在場時間の確認は、社員全員のTDカードに記録された出退勤時間で確認ーという手立てで実施されたものです。

 さらに、同研究所ではサービス残業の原因ともなっていた時間外労働時間の「20時間」「30時間」という「上限枠」が撤廃され、36協定にもとづいて 時間外労働時間は月40時間、3カ月で110時間、休日出勤は月3回に改善されました。

 こうした是正措置は、三菱電機伊丹党委員会が、「毎月残業時間は100時間近くあるのに、残業手当は月30時間以内に 制限されており、大部分の時間外労働はただ働きになっている。改善してほしい」という労働者の訴えをもとに、今年3月に、尼崎労基署に調査と是正を 求めたことによるものです。

 同労基署は、この是正要求以降、数回にわたって同研究所への臨検調査に入り、監督・指導を行いました。  これを受け、三菱電機は昨年10月から、今年4月分までの残業、深夜・休日労働の「実態調査」を実施しました。



 厚生労働省の「労働時間を適正に把握するために使用者が講ずべき措置に関する基準」を抜粋してご紹介します。

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置

その1 始業・終業時刻の確認・記録

 使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業の時刻を確認し、これを記録すること。

その2 始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法

 使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。
(ア)使用者が、自ら現認することにより、確認し、記録すること。
(イ)タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。

(ア)について…  「自ら現認する」とは、使用者自ら、あるいは労働時間管理を行う者が、直接始業時刻や終業時刻を確認することです。なお、確認した始業時刻や終業時刻 については、該当労働者からも確認することが望ましいものです。
(イ)タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎情報とし、必要に応じて、例えば使用者の残業命令書及びこれに対する報告書など、 使用者が労働者の労働時間を算出するために有している記録とを突き合わせすることにより確認し、記録してください。なお、タイムカード、 ICカード等には、IDカード、パソコン入力等が含まれます。

その3 自己申告制(省略)

その4 労働時間の記録に関する書類の保存

労働時間の記録に関する書類について、労働基準法第109条に基づき、3年間保存すること。  以上


これでいいのか?「ダイヤモンドプラン」

 定年を1年後に控えた社員に、「長年の労苦を慰労」し、「夫婦で第二の人生への再出発を考える機会に」と、 三菱電機の福祉厚生制度のひとつである「ダイヤモンドプラン」(海外旅行)。1985年に誕生し、今年で25年を迎えます。  いま、この制度に陰りが…。

個人負担30万円

 7月下旬に、会社(総務部)から「ダイヤモンドプラン」の説明会が行われました。会社は、この説明会の中で 「一定の参加者がなければ計画を中止せざるを得ない」と述べ、「特別の事情がない限り参加するように」と念を押しました。

 このプランの費用は、もっとも参加者の多かったニュージーランドコースの場合、夫婦参加で会社負担20万円、個人負担は22万2千円、 パスポート申請費や保険、旅行用品や食事代、オプショナルツアー費用など加えると30万円を超えます。この説明を聞いたSさんは、 「当初の会社の“ご招待旅行”と浮ついた気持ちは冷めました」と言います。

 加えて、肝心の連れ合いの気持ちが乗ってきません。  「他人に気兼ねや気を使うのは苦手」、「旅行へいくなら20万円で2人で好きなところにいきたい」と。

個人的な理由での欠席には何も支給されない

 しかし、先の会社説明で釘を刺されています。「欠席か、来年度への実施先送り」かを会社が認める理由は、次の5つです。 @業務の都合A冠婚葬祭B本人または配偶者の健康上の問題C同居する子の養育D親族の介護。ーこの理由で欠席が認められた人には、補助的措置として、 (イ)10万円の旅行券(有効期限1年)(ロ)10万円分のセレクトプランポイント(注)が支給されます。Sさんのように、「奥さんの都合」とか、 「プランで決められた旅行先が行きたいところではない」など、個人的な理由は“認めない”となっています。

平等に補助的措置を

 社員や家族には、それぞれ様々な事情があります。  「長年の労苦を慰労する」ことが目的の制度ですから、「個人的な理由で旅行に参加できない社員にたいしても、平等に補助的措置をとっていただきたい」 という声が出て当然ではないでしょうか。   

(注)「セレクトプランポイント」とは
 対象メニューは非課税メニューに限定され具体的には「人間ドック費用補助(本人)」、介護サービス利用補助」、「介護用品購入・レンタル費補助」、 「当社保養所利用料費補助」、「○菱会行事参加費補助」、「○菱会クラブ活動費補助」となっています。


正社員への「登用制度」を確立しよう

  会社は、「正社員の登用制度あり」と宣伝し、契約社員(6ヵ月契約)を募集します。しかし、正社員の登用制度と いっても、会社が認めるわずかな者だけ。しかも、契約社員のうえに嘱託社員があり、試験があります。嘱託社員になれる確率は10%程度。正社員になれると 思い懸命に技術や技能を身につけても正社員どころか、嘱託社員にもなれないため退職者が後を絶ちません。三菱労組は、組合員化のため 「非正規社員の正社員化を推進」するとしています。そのためには「会社へ要請」だけでなく、正社員への「登用制度」を労働協約で確立してこそ、 正社員化の道も開けるのではないでしょうか。

  


読者の広場

「知って得する」よくある相談 

 6カ月の派遣労働契約を結んでいたが、途中の3カ月で派遣元から突然解雇を通告された。理由を聞くと、派遣先から「事業計画を変更したので派遣は いらなくなった。それに、スキルが期待していたよりも低い」と言われた。これでは納得できない。

 @まず、派遣先による正当な理由のない派遣元との間の契約解除はできないのであり(派遣法27条)、派遣元はこのような契約解除を認めないという態度で 交渉すべき。派遣元には、派遣先と交渉して契約解除を撤回させるように要求しましょう。A派遣元が派遣労働者を解雇するには、解雇が社会的に相当と 認められるだけの合理的理由が必要です(労働契約法16条)が、派遣先による契約解除は、直ちに解雇の合理的理由にはならないので、それだけを理由に 派遣元が派遣労働者を解雇するのは解雇権乱用であり無効です。     
 

(読者・G)

ルネサス4千人リストラ

 ルネサスエレクトロニクスは2010年中に従業員約5万人のうち約4千人を削減することをマスコミで発表しました。海外のファウンドリー (半導体受託生産会社)へ生産委託したり販売会社を30から16にほぼ半減させ経営効率化を加速させる。ルネサスは09年3月末に派遣労働者千人解雇と 正社員6百人「希望退職」を実施したばかり。職場では「またリストラか」との声があがっています。 

(読者・Y)


編集後記

▼2度目の労基法違反のサービス残業で、尼崎労基署から是正勧告を受け、7月に不払い残業代を支払った先端技術総合研究所
▼労働者と共産党の力が会社を動かしました。労働時間間の管理も改善され、労働者から喜ばれています
▼尼崎地域の全事業所に導入されたIDカードによる「労働時間の適正な管理」推進のためには、直接指揮される管理職をはじめ支部委員、組合役員の方々の 日常の努力が欠かせません
▼日本共産党と「羅針盤」も、みなさんと力合わせ頑張ります。


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