三菱電機社員だった男性=当時(33)が出向中に自殺したのは過労が原因として、三田労働基準監督署(東京)が労災認定していた
ことが10日、わかりました。男性は会社を出たまま失踪(しっそう)約1年半後に見つかりました。
代理人で過労死弁護団全国連絡会議幹事長の川人博弁護士は「失踪から発見まで時間の空白があり、証言や証拠を収集しにくい困難な状況の中、
労災認定を得たのは大きな意義がある」としています。
遺族側によると、男性は1996年に東芝三菱電機産業システム(東京港区)に出向しましたが、同12月2日に失踪し、山梨県上九一色村(現富士河口湖町)の
青木ヶ原樹海で発見されました。今年1月に両親が労災を申請していました。
男性は三菱電機で主に配電機器製品の技術営業を担当していましたが、出向後は設計も担当。深夜までの勤務や休日出勤が常態化し、
徹夜勤務もくり返していました。失踪前1ヵ月間の時間外労働は、遺族側の計算では約178時間に達しましたが、会社側の勤務表には月25時間となっていました。
労基署は、失踪前3ヵ月間の時間外労働は月約97時間から約110時間にのぼったと認定。本人の体重が減っていたことに加え、
落ち込んでいた様子だったとの証言から、認定理由について、過労が原因で精神障害の一種である「気分障害」を発症していたと考えられると説明したといいます。
男性の父親(71)=香川県在住=は「将来に夢を持っている青年を、会社が身も心もボロボロになるまで追い込んだと、労基署はきちんと認めてくれた。会社はしっかり認識してもらいたい」と話しました。
労災保険金は、樹海での自殺予防のため寄付するといいます。
(赤旗・10月12日付より)