2007年9月号 日本共産党三菱電機伊丹委員会
 「羅針盤」は1985年10月に創刊された日本共産党伊丹委員会の職場新聞です。
「仲間と仲間、職場と家庭を結ぶ連帯のきずな」として月刊紙として発刊されました。
創刊後22年目を迎え、今号で第171号です。


【NEWSCLICK】
▼成果主義で「いいことがなかった」が7割。「正しく評価されていない」が4割/A>
▼人間らしく働けるルールを
▼近畿で初、兵庫青年ユニオン「波」結成
▼非正規労働者の雇用と権利を守り、正社員化をすすめる


成果主義で「いいことがなかった」が7割。「正しく評価されていない」が4割
(三菱電機の有志でつくる「春闘前進させる会」07年くらしのアンケートより)

「成果主義でいいことがありましたか」との問いに
あった……………9%
なかった…………70%
わからない………21%
「成果主義での評価は」との問いに
正しくされている……9%
されていない………42%
わからない…………49%

賃金改善額は全員一律に役割給に積み上げよ!

 「年功にとらわれることなく、がんばっただけ報われる」…こう宣伝し、04年4月に導入された定期昇給廃止の成果主義の 賃金・処遇制度。3年過ぎた職場では、制度の矛盾が噴出している。

○「成果主義は自分の職場では、どんなに仕事しても最低賃金ですといわれた」 (30代・女性)

○「成果主義賃金が導入されてから、賃金は上がるどころか、下がる一方で、よいことは何もありませんでした。制度を見直して、毎年賃金が上がる喜びを味わえる ものにしてほしい」 (50代・男性)

○「これまでの春闘での賃金改善額は全員一律に役割給に積み上げてもらいたい」 (50代・男性)

 7月に開催された三菱電機労組の第54回定期大会では、出席代議員から次のような職場の声が反映された。

○「業績結果が不安定要素の強い一時金に配分される傾向にある。より安定性の高い賃金へ配分されるよう取り組みをお願いしたい」 (大会代議員)

○「現場では社員外従業員の増加により、S群の社員も指導的役割が増加している。その処遇への反映が、現行制度では難しいのではないか? モチベーション維持のためにも、何らかの工夫をお願いしたい」 (大会代議員)

定昇廃止の成果主義賃金はやりがいさえなくす

 社会生産性本部の賃金政策の専門家である楠田丘氏は定昇廃止に厳しい批判をする。

 「サラリーマンは賃金で生活しているのであり、年齢とともに生活費は上がっていく。毎年の昇給は生活のアクセントであり、やりがいにつながると見る方が 人間的である。

 …定昇には…人間の能力に対する信頼を表したものである。年齢部分に対する昇給は人間性に対する尊厳を表したものである。 …すでに出来上がった人材を活用することに主眼をおくアメリカ型の人間観とは違うのである。定昇廃止は日本人の素朴な人間観を捨て、 人間を機械の部品と見るに等しい」と。


人間らしく働けるルールを
ホワイトカラー層の長時間労働を追う。シリーズB

 過労死、メンタルヘルスのない安心して働くことの出来る職場をつくろう

 三菱電機では、「36協定」における時間外労働時間は月40時間、年間360時間である。但し特別の事情が生じ労使が 協議の上合意した場合は上限600時間まで可能となっている。

 残業は50時間で調整

 この「36協定」が適用管理されているのは、裁量労働適用外の労働者である。
 開発・設計職場では、月60時間以上の時間外労働を行っている労働者が大半である。年間通せば600時間をこえるので、月によって「調整」して、 50時間(しか申告していない)以内の月を設けているという。あとはサービス残業である。

 工期は短縮、仕事量は2〜3倍。人員は現状維持

 長時間労働の主な要因は、要員不足である。プロジェクト部門で働くSさんは言います。「新製品開発の期間が過去に比べて、 極端に短くなってきており、1年間を通して、仕事の谷間がなくなっている。開発人員は一定で、開発製品の数が増えている。単純にみても、工期は短縮、 負荷は2〜3倍化しているのに、人員は現状維持のままである」と。

 従って、関連する管理部門、製造部門・品質部門は、新製品増、工期短縮により、これまでの倍以上の負荷となる。加えて出荷前後の製品の不具合が増えて 管理製造・品質部門の労働者の長時間労働をも引き起こしている。

 生産計画に見合う要員計画こそ必要

 こうした長時間労働問題にたいし、三菱電機労組は「労働時間の適正化と総労働時間の削減に向けた業務プロセスの改善」 「マイカレンダー休暇の取得により、年間有給休暇取得日数平均20日を」(07年度運動方針)を掲げている。
しかし、「生産計画がいくらで要員を何人にするか」という要員計画については、まったくふれていない。これでは長時間労働に拍車をかけることになる。 しかも、三菱電機の生産・要員計画は、95%の出勤率と過密労働を前提につくられている。こうしたなかでは、有給休暇は、まともに取得できない。 EUでは80%強の出勤率を前提に計画を立てるのが普通である。要員の配置は、休日・休暇・休憩時間を保障するに十分なものにしていくことが大切である。

 サービス残業なしの「開発・生産計画」の政策

 日本共産党三菱電機伊丹委員会は、「過労死、メンタルヘルスの心配のない安心して働くことのできる職場づくり」をめざし、 サービス残業なしの「開発・生産計画」の政策ー@開発計画はプロジェクトチームの話し合いで、A開発目標・日程・人員・予算などはプロジェクト参加者の 合意で、B標準作業時間や必要な要員を設定する問題は労使の交渉事項に、など「3つの要求・政策」を提案し、討論を呼びかけている。


近畿で初、兵庫青年ユニオン「波」結成

現状を変える力、手に入れた

 青年の深刻な雇用・労働が大きな問題になるなか、働く青年の要求実現にとりくむ労働組合「兵庫青年ユニオン〜波〜」 が結成されました。近畿での青年ユニオン発足は初めて。

 結成大会で、準備会を代表して荻野潤子さん(民青同盟県委員長)が、「これまでは青年を励ますだけでしたが、ユニオンを結成し、問題を具体的に解決する力を 得たい」と挨拶。討論で、「派遣だが、泣き寝入りすることのない職場をつくりたい」「前の職場は倒れるまで働かされ、変えたいと思っていた。 今度の職場でユニオンの支部をつくりたい」「組合の存在も知らない人たちに、波のように広がってほしい」と青年たちがユニオンへの期待や抱負を語りました。

 運動方針や規約を採択し、役員を選出。副委員長に選ばれた長田玲さんは、「現状を変える力を手に入れた。前にすすんでいきたい」と決意を表明しました。

 首都圏青年ユニオンの河添誠書記長が、「団体交渉権をもつ労働組合の力を発揮して、貧困をなくす運動、労働条件改善のとりくみを大きくすすめてほしい」 と連帯のあいさつをしました。全労連の寺間誠治組織局長、兵庫労連の津川知久議長、日本共産党の堀内照文兵庫国政対策委員長もあいさつしました。

(しんぶん赤旗・9月2日付より)


非正規労働者の雇用と権利を守り、正社員化をすすめる

 日本共産党は、@1年以上経過したら派遣先企業が正社員として雇用する申し入れを行うように義務づけます。 A均等待遇を法制化し、パートや派遣、契約社員などへの不当な差別や格差をなくします。B短期の雇用契約を繰り返せば、期間の定めのない 雇用契約とすることを法制化することを要求しています。

フランスでは賃金・諸手当は、正社員の労働時間と平等比例。パートから正社員への転換も促進しています。パートには賃金、年休など比較可能な正社員と同一の 権利を保障。派遣には、派遣先労働者と同等以上の賃金、待機中の生活保障があります。

(編集部・城)


読者の広場

戦争と核兵器のない世界を

 みなさんの大切なカンパで8月7日〜9日、長崎市で開かれた原水爆禁止世界大会に参加させていただき、 ありがとうございました。私自身、この運動のことはよく知らなかったが、大会参加者の被爆体験の発言で、その悲惨さを知り、涙がこみあげてきました。 核兵器は絶対に使用してはならない。今も世界では戦争が絶えません。私は、世界大会に参加して、もっとこの運動を広げ、戦争と核兵器をなくし、 平和な世界をつくっていきたいとの思いを強くしました。

(読者・岡)

一気になくなる自動販売機のカップヌードル

通電では、昼休みになると社内の自動販売機のカップヌードルが一気になくなります。派遣や請負で働く青年達が昼食代わりに 食べるからです。携帯電話のラインでは、数百人の派遣や請負の若者達が時給1000円程度の低賃金で働かされています。昼食をカップヌードルやコンビニの おにぎりですましている青年に、「それだけで身体は大丈夫?」と聞くと、「僕達のいまの時給では、毎日の社内給食代450円には手が届かない」といいます。 「時給を最低でも1400円か、1500円ぐらいに上げてほしい」と切実です。

(読者・T)


編集後記

▼安倍首相の突然の辞意表明。前代未聞の異常な形での政権の投げ出し
▼自公政治の末期的症状を劇的に示した
▼根本には参院選で審判下した国民の力が
▼国民の声が日本の政治を動かしていく時代に
▼今号では職場で噴出する成果主義の矛盾、賃金抑制と長時間労働のホワイトカラーの労働の実態を
▼青年の雇用・労働が大きな問題となるなかで、現状を変えたいと青年ユニオン「波」を結成した兵庫の青年のたたかいを掲載しました。


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