2006年8月号 日本共産党三菱電機伊丹委員会
「羅針盤」は1985年10月に創刊された日本共産党伊丹委員会の職場新聞です。
「仲間と仲間、職場と家庭を結ぶ連帯のきずな」として月刊紙として発刊されました。
創刊後21年目を迎え、今号で第167号です。


【NEWSCLICK】
▼労基署の是正・指導措置が守られていない
▼過密・緊張の労働で身体はボロボロ
▼知っておこう 派遣労働と業務請負
▼労基署の是正・指導措置を会社に守らせる運動を起こそう!
▼ルネサス労組誕生 組合員数8800名


労基署の是正・指導措置が守られていない
 成果主義 もう体力も限界

 サービス残業は当たり前になっています。21時頃に帰っていると、上司は”仕事をしていない”とみるのです。目いっぱい 働いても処理ができないとわかっていながら、”あれはどうなった””これをいつまでに”と。(設計部門で働くAさん・40代)

 「ひどいことに、指定日までに仕上げなさい。残業はダメよ!」の命令なのです。Aさんは、仕方なく、毎日深夜に及ぶ残業、「最終電車で帰宅、就寝も午前3時 半ごろになり、体力も限界だ」と訴えます。

三菱電機尼崎事業所は、2002年4月、尼崎働基準監督署から、「サービス残業」と「労働時間の適正な把握・申告」に関する是正・指導を受けました。

 労基署の是正・指導措置で、会社は、総務部名で、「労働時間の適正な自己申告について」のパンフレットを作成し、全員対象に、毎月「労働時間の把握・ 申告状況の調査」を行うようになりました。しかし、是正指導から4年経ったいま、長時間労働が常態化している開発・設計部門では誰に聞いても 「あれは意味をなしていない」と返事が返ってきます。

サービス残業は部下が勝手にやっている

 ある設計部門では、「労働時間の把握・申告状況の調査用紙」(自己申告書)に「労働時間が適正に把握・申告されていない」(=サービス残業している) と記入して課長に提出した労働者がいましたが、この自己申告書が、課長会議で問題になり、部長から、「こうした調査報告は提出させないように」 と各課長に指示が出されたそうです。「残業はダメよ」の上司の一言で、サービス残業は部下が勝手にやっていることになっているのです。

 04年4月から成果主義賃金といくら働いても一定の労働時間しかみなさない裁量労働制が導入されました。その後、サービス残業と長時間労働はいっそう 酷くなっています。


過密・緊張の労働で身体はボロボロ

JITシステム導入から4年  交通システム事業部
 21世紀の生産システムと評され、世界最高水準の効率性と高品質を生み出すとされるジャスト・イン・タイム・システム (以下、JITと略称)。交通システム事業部にJITが導入されて4年が経過します。いま、電車用モーターの生産ラインでは、月250台を生産するために、 過密と緊張の労働が続き、労働者の生活、健康などに重大な影響がでています。

 いま電車用モーターの生産ラインでは、「時間外労働が月40時間規制がある正社員(組合員)はいらない」賃金コストが低く、時間外労働規制に左右されない 「派遣社員でないとダメだ」といって、無権利状態の派遣労働者への置き換えが急速に進み、労働者を深夜労働に駆り立てています。ある職場班は、30人ですが 派遣社員が26人で正社員はわずか4人です。

 ラインからはずされた社員は、できあがった製品の検査試験等チェックや業務全体をみながら、安全パトロールや小集団活動が追加されます。

 生産ラインで働く派遣社員は、毎日深夜11時過ぎまで残業し、土曜日も出勤、そして徹夜という過酷な労働が強いれています。  賃金が安いから、無理してでも働かざるを得ないのです。こうした過酷な労働ですから、身体が持たず、退職者が後を絶ちません。労働者の入れ替わり激しく、 名前さえ覚えられないほどです。新しく採用された労働者には、仕事もはじめから教えなければなりません。

 監督者である班長(30代)もリーダー格の作業指導者も立ち作業と労働負担が重なり疲労で「歩けなくなった」といって2日間、倒れこんで休みました。

 「ムダを徹底的に排除するJIT生産方式は、正社員を極限まで減らし、無権利状態の派遣社員に置き換える、そして標準時間の際限のない短縮は労働者を 過密労働に駆り立て、精神的重圧と緊張を強いる作業は労働者を精神的にも肉体的にもボロボロにします」と、Sさんは語ります。JITシステム生産方式は、 系統変電事業部にも広がろうとしています。


知っておこう 労働者派遣法 その1

 派遣労働は、労働者派遣法にもとづいて、厚生労働省から免許を取得した派遣会社が労働者を受け入れ企業に派遣します。 受け入れ企業は、派遣労働者に直接、指揮命令します。

 業務請負は、請負会社が企業から、仕事の完成を目的に業務の一部を請け負います。請負会社は、自前の設備(レンタルでも可能)で、直接、請負労働者を 指揮・命令しなければなりません。

 偽装請負とは、請負の形をとって実際には受け入れ企業が労働者を直接、指揮・命令するのが偽装請負といわれ、違法です。なぜ偽装請負が横行するか というと、派遣では、1年以上同一職場で働いている場合、企業はその派遣労働者に直接雇用を求める義務が生じるからです。請負の場合は、 こうした規定はありません。


労基署の是正・指導措置を会社に守らせる運動を起こそう!

 02年4月、尼崎と伊丹両労基署が三菱電機に行った「サービス残業」と「労働時間の適正な把握・申告」に関する是正・指導 措置を会社に遵守させるため、是正・指導措置の内容について再度掲載します。

◇厚労省「通達」にもとづく労基署による三菱電機への是正・指導の内容◇

 @始業・終業時刻の日々の記録。A時間外労働時間の適正な申告。B1ヵ月40時間を越える時間外・休日労働が見込まれる 場合は労働組合と事前協議が必要。Cフレックス制、メリット勤務制(現・裁量労働制)対象者、専任職(現・専門企画職)も日々の始業・終業時刻を「就業管理表」に 記載し、それにもとづき労働時間を適正に申告すること。D深夜労働(22時〜5時)の原則禁止。就業した場合の適正な申告。E健康障害の防止の措置等。

 尼崎市と伊丹市ににある三菱電機の5事業所と1研究所(約9千人)で、2ヵ月の残業代不払分として、700人(3万時間)にたいして約7千万円 (1人最高90万円)が支払われました。同時に、厚生労働省が策定し、01年4月6日に全国の都道府県労働局長宛に出した「通達」(労働時間の適正な把握の ために使用者が構ず措置に関する基準」にもとづく指導をおこないました。

 職場の労働者の要求をもとに三菱電機伊丹党委員会が大沢たつみ参議院議員(当時)とともに伊丹、尼崎両労基署に調査と是正を求めたことによるものでした。
 サービス残業是正の手立てとして各事業所は残業代請求の上限枠(ガイドライン)を事実上撤廃し、労働者が実際の残業時間を請求できるよう改善しました。  各職場で課長が労働者にたいし「日々、適正な始終業時刻時刻の記録」ををつけることや実際の残業時間を申告しても「会社から不利益な扱いをされることは ありません」とくりかえし徹底しました。


ルネサス労組誕生 組合員数8800名

2003年4月に日立製作所と三菱電機の半導体事業が統合して新会社ルネサステクノロジ社が設立され、労働者は継承転籍 され3年が過ぎました。この間、労働組合の組織統合の準備がすすめられ2006年8月1日、ルネサステクノロジ労働組合(略称・ルネサス労組)が誕生しました。 ルネサス労組は、半導体の開発・設計、製造、販売にたずさわる約8800名の組合員を組織し、本部を東京に置き、全国に10支部をもって活動します。

北伊丹支部の組合員数は、約1200名で組合事務所は、これまでの三菱電機労組北伊丹支部の事務所です。新労組誕生を契機に賃金、雇用問題など、労働者の 要求にこたえた労働組合運動が期待されています。 (編集部)


読者の広場

入社7年目で大学院卒の初任給と同じ等級

 三菱電機の関連企業の者ですが、私の会社でも業績評価制度により,ベースアップがなくなりました。 また、グレード・職群等級の決定の説明がなく、ここ4年ほど、給与が上がっていません。
 とくに、昨年度は客観的に見てもそれなりの成果をあげたつもりですが、業績評価シートにはそれが反映されず、入社7年目にして、 大学院卒の初任給と同じグレードに決定されています。
 不当に、給与が抑えられているような気がして、困っています。
(S・男性)

偽装請負解消へ 三菱でも是正させよう

日本経団連会長をつとめる財界トップ企業であるキャノンが偽装請負解消へむけた取り組みを行うと「朝日」新聞7月31日 夕刊トップ記事でされていました。キャノングループでは、請負労働者が約1万5千人、派遣労働者が約7500人いると報道されています。
 偽装請負とは、受け入れ企業が請負労働者に直接、指揮・命令をしたり、正社員と複数の請負会社の労働者を混在で働かせることなどをいいます。 三菱電機の職場でも、こうした偽装請負があります。格差社会を正していくためにもキャノンのように是正解消させていこうではないか。
(読者・K)


編集後記

▼今号では、通信機器関連事業の開発・設計部門の違法な「サービス残業」と交通システム事業部に導入されている JIT生産システムのもとでの長時間・過密・緊張労働の実態を掲載しました
▼労働者の健康を守るため、こうし長時間・過密労働等の働かせ方をいかにして規制するかが提起されています
▼職場の実態を告発し、社会的な連帯で無法なこれを守らせる運動をおこしましょう
▼30度を越す猛暑が続いています。お身体を大切にお働き下さい。


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