2006年4月号 日本共産党三菱電機伊丹委員会
「羅針盤」は1985年10月に創刊された日本共産党伊丹委員会の職場新聞です。
「仲間と仲間、職場と家庭を結ぶ連帯のきずな」として月刊紙として発刊されました。
創刊後21年目を迎え、今号で第166号です。


【NEWSCLICK】
▼500円玉ひとつでは…。え〜 なんで三菱はベアなし?
▼06春闘 三菱電機はベアなし、一時金平均年間 85,000円アップ。ルネサスはベア500円、一時金平均年間45,542円ダウン
▼知っておこう 労働者派遣法 その1
▼防衛庁から日当1人10万円


500円玉ひとつでは…。え〜 なんで三菱はベアなし?

 数年ぶりの賃上げ要求が焦点となった06春闘。3月15日、三菱電機とルネサス社に企業側から回答がだされた。 「ま〜た5年前と同じや、500円玉ひとつ、これじゃ増税分にも届かない」(30代女性)。しかも、三菱はベアなし回答だ。





 3月15日に金属労協(IMF・JC)に加盟する電機、自動車、鉄鋼などの組合に企業側から集中回答が出されました。自動車ではトヨタが1000円の要求どおり の回答で5年ぶりの賃上げ。電機は2000円の統一要求に対し、回答は1000円と500円に分かれた。

空前の利益あげながら500円のベアさえ否定

 三菱電機は、2000円のベア要求に対して、月500円相当額(年額7000円)を6月一時金支給日に一括して支給し、 月例賃金(役割給)には含まないベアなし回答。

 三菱電機労組は集約にあたって、「賃金改善分の年間一括支給という新たな形式として決着できたこと、一時金については、5ヵ月台となったことや過去最高の 獲得率になるなど業績回復が実感できる水準であり…誠意ある回答である」という見解を発表した。

 三菱電機は、産業メカトロ事業の好調と相次ぐリストラ効果で4年連続の増益、9月に続き2度目の業績上方修正、連結営業利益は1570億円、 当期純利益は950億円とバブル時期に匹敵する空前の利益をあげる一方、労働者の賃金は02年から連続切り下げられ、そのうえ増税と社会保障の切捨てのもと、 「最低でも満額回答を」との強い願いをこめた賃上げ要求であった。

 日本経団連が「市場横断的なベースアップはもはやありえない」と春闘解体を主張し続け、会社側は「一律的な賃金テーブルの引き上げや改訂は、(成果主義賃金) 制度の根幹に影響を及ぼす内容であることから、取り得ない」「業績回復の成果反映は一時金で」と抑制姿勢をとった。

どんなに業績をあげても全体の賃金は上げない
 業績・成果があがったら賃金もあがると宣伝され04年に導入された成果主義賃金。しかし、わずか500円の賃上げでさえ、「(成果主義賃金)制度の根幹に影響を 及ぼす」、つまりベースアップは賃金カーブを一律に上げるもので、成果主義の趣旨に反すると主張し、賃金ベースには入れなかった。成果主義賃金は、どんなに 企業業績をあげても労働者全体の賃金は上げず総人件費を抑制する制度であることを示すものである。

 こうした大企業の利潤第一主義と身勝手な態度は、賃下げ、増税で苦しむ労働者との矛盾をさらに激化させるものである。(城)


◇ベースアップと賃金改善◇
 高度成長以来、多くの企業は物価水準上昇による実質賃金の目減りを防ぐため、賃金に定期昇給とベースアップ方式を採用してきた。 定昇は賃金表に基づき1年ごとに昇給させ、年功要素が強い。ベアは賃金カーブを一律に上げるもので、労使交渉の争点となってきた。

 労組(連合)は一律引き上げにこだわらず、多様化させた概念となる賃金改善を今春、提唱した。賃上げ原資の配分は若手やベテランに重点を置くなど、 各社が個別に決める。(「日経」)


06春闘 三菱電機はベアなし、一時金平均年間 85,000円アップ。ルネサスはベア500円、一時金平均年間45,542円ダウン

◇三菱電機◇
 回答:役割給265,000円+扶養手当37,000円=302,000円
      賃金改善分500円/月に相当する額(時間外手当相当分を含め年額7,000円)を6月賞与
     支給日に一活して支給する。(将来的な賃金テーブル改訂時に原資とする。)
     現行:役割給265,000円+扶養手当37,000円=302,000円
  回答:一時金 組合員平均年間 1,469,000円(月数5.1ヵ月)
    昨年実績 組合員平均年間 1,384,000円(4.8ヵ月)
     (35歳技能職基幹労働者 S群3等級 扶養手当:子女以外1人+子女2人)

◇ルネサス◇
回答:役割給265,500円+家族手当36,000円=301,500円
            賃上げ500円を一律に役割給に積上げる。
       現行:役割給265,000円+家族手当36,000円=301,000円
     回答:一時金 組合員平均年間1,295,582円(月数4.55ヵ月)
        昨年実績 組合員平均年間1,341,124円(月数4.77ヵ月)
    (35歳技能基幹労働者 等級:3等級6号棒 家族手当:子女以外1人+子女2人)


知っておこう 労働者派遣法 その1

 職場では、正社員が減らされ、派遣、請負で働く人たちが増えてきました。これ以上、不安定な雇用を拡大しないために、何をしなければならないのか、 ご一緒に考えてみましょう。

一定期間過ぎれば派遣先は直接雇用の申し入れ義務が

 労働者派遣法では、長期にわたり派遣という身分で仕事をさせることに制限があります。3年あるいは1年と期間に制限がある 仕事(物の製造業務)では、期間をこえて仕事をさせる場合は、対象労働者全員に派遣先で直接雇用を申し入れすることが義務づけられています。(法40条の5) .また、派遣期間に制限がない仕事(26業務)でも、他の労働者を雇い入れようとするときには同様で、すでに派遣社員として働いている労働者に対して直接雇用を 申し入れすることが義務づけされています。この義務を怠ると、派遣先会社は行政指導を受けることになります。この時、派遣元事業主は派遣労働者が派遣先で 直接雇い入れることに制限を加えることは禁止されています。万が一、これに反する契約をしていたとしても、契約が無効とされます。

派遣は業務の内容によって期間が制限されています

仕事の種類                              制限期間
1 物の製造業務※1                          1年※2
2 1、3〜7以外の仕事                          3年※3
3 ソフトウェア開発等の政令で定める仕事(いわゆる「26業務」) 無制限
4 3年以内の「有期プロジェクト」の仕事                無制限
5 日数が限定された仕事※4                      無制限
6 産前産後休業・育児休業、介護を取得する労働者の仕事   無制限
7 中高年者(45歳以上)派遣労働者だけを従事させている仕事  無制限
※1  3〜6に該当する場合は、3〜6が適用されます。
※2  2007年3月以降は、最長3年まで可能になります。
※3  1年をこえる派遣を受けようとする場合は、労働組合の過半数代表の意見聴衆が必要です。
※4  1ヵ月間に、派遣先の通常の労働者の半分以下で10日以下の仕事。

派遣・契約社員・パートの待遇改善と正社員へ道を

 企業が派遣やパートなどの非正規雇用の労働者を正社員に登用する動きが拡大。総務省の労働力調査によると、 05年に派遣・パートから正社員に転職した男女合計で41万人と前年比約17%増となっている。

 三菱やルネサスでは、正社員をリストラして派遣・契約社員・パートに置き換えている。その多くが時給千円程度で使い捨て。「責任に見合う賃金を得ていない」 「正社員になれない」と不満をもち、「文句を言ったら契約更新されない」と不安をもったまま、失望感とともに失業する。

 大企業はその社会的存在にふさわしい社会的責任がある。会社は、採用している派遣・契約・パート社員の待遇改善と正社員への登用の道を拡大すべきである。


防衛庁から日当1人10万円

三菱電機から2万8千人雇う

 防衛庁が幹部の天下り先になっている軍需産業に、受け入れた技術者へ「日当」として1人当たり平均10万円を支払っていた。 防衛庁は3月30日の参院防衛委員会で、異常な実態を明らかにした。日本共産党の緒方靖夫議員の追及に答えたもの。緒方氏がとりあげたのは、 装備品の研究開発を一元的に行っている防衛庁の技術本部による「労務借り上げ」の実態。「労務借り上げ」とは、装備品の研究開発にあたり、防衛庁が三菱など 軍需産業側から技術者の派遣を受け入れ、派遣企業に「日当」として、補助するシステム。19社(2000ー04年度)のべ約18万人、日当の総額は193億円。 「労務から上げ」第3位の三菱電機だけで約2万8千人、日当総額は27億5800万円となる。 (編集部)

読者の広場

あまりにも低い。くやしい〜 の声

 5年ぶりの2000円の賃上げ要求に、会社の回答は500円でした。昼休み、組合が場内放送すると…。「ま〜た500円か」 、「500円では、どこに行ったかわからん額だ」(50代・男性)、「月々ではなく夏に一括支払いってどういうことや?来年のこと考えてベースにいれない魂胆か」 (40代・男性)、「会社は儲かっているのに」と30代・女性は「増税分に届かない、あまりにも低い」と。ルネサスの職場では、「会社の都合で、三菱から ルネサスに転籍させられたのに、一時金まで下げられた、くやしい」(50代・女性)と声をあげていました。 (読者・Y)

建物建てる金があったら賃上げにまわせ

 三菱電機の06年3月期決算は、2年連続の増収増益、連結純利益は950億円を予想。まだ正式に発表されていない。 しかし、マスコミでは早くも来年07年3月期予想が報道されている。連結純利益は、今期予想比8%増の約1千億円となる見通しであるという。連結売上高は 4%増の3兆7千億円前後、営業利益は8%増の1千7百億円前後、3期連続の増収増益の予想である。研究所は、建物の建替え、通電では、セキュリティ強化の 一環として工場周辺にフェンスの取り付け工事が。「また金余り税金対策か?」「そんな金あったら賃上げにまわさんかい」と怒りの声が。  (読者・K)


編集後記

▼06春闘労働者の期待を裏切る「賃金改善額」500円である。しかも、ベースアップには入れないというもの
▼三菱電機はITバブル時期に匹敵する純利益950億円の空前の利益をあげている
▼成果主義が導入されたもとでの賃金引き上げのたたかい、三菱電機の労働者と労働組合に新たな課題を突きつけた。
▼「賃金改善額」500円は「将来的な賃金テーブル改訂時に原資とする」と労働組合はいうが、ベースアップなしに労働者全体の賃金改善はできない。


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