2006年3月号 日本共産党三菱電機伊丹委員会
「羅針盤」は1985年10月に創刊された日本共産党伊丹委員会の職場新聞です。
「仲間と仲間、職場と家庭を結ぶ連帯のきずな」として月刊紙として発刊されました。
創刊後21年目を迎え、今号で第165号です。


【NEWSCLICK】
▼会社は労働協約を守れ!ー労働者有志が労組に「申し入れ」
▼系統変電事業再建策に関する申し入れ書
▼要求アンケートの中間集計の結果
▼満額回答で誰もが最低2千円以上


会社は労働協約を守れ!
ー労働者有志が労組に「申し入れ」
 2月22日、系統変電事業のリストラ問題で、「出向斡旋支援会社」での求職活動は「労働協約違反だ」と、中止を求めて、 組合員有志が、労組に「申し入れ」を行いました。
昨年10月に三菱電機が労働組合に提案してきた系統変電事業再建策のリストラ(組合員205人削減)。2月8日、会社と労組は協議を集約。15日から労働者に 内示を開始しました。

「解雇同然の仕打ち」
 会社は、2月8日の場所労働協議会で「出張取り扱いを基本とするとするが、原則として派遣先へ毎日出勤すること等、 形態としては出向に類似した特殊なケースであることに鑑み、一部の取り扱いについては出向に準ずるものとする」として「出向斡旋支援会社」での求職活動を 業務命令として強行しています。

こうしたもと、組合員有志が2月22日、労働協約に明文化も締結もされていない「取り扱い」は労働協約からの重大な逸脱である。会社に対し、 「出向斡旋支援会社で求職活動をさせることを中止させること」、「転任、出向にあたっては、本人の意思と希望を十分尊重すること」と労組伊丹支部に 「申し入れ」(2面掲載)を行いました。7日に続く2回目の「申し入れ」です。

今回のリストラは、空前の利益をあげながら、コスト削減のため、派遣・契約社員を採用し、正社員をラインからはずし、転任・出向させる。「受け入れる職場が ない」と会社が判断した者は「出向斡旋支援会社」(ヒュー・マネジメント・ジャパン株)で求職活動をやらせるというもの。「解雇同然の仕打ち、 むちゃくちゃやないか」と怒りの声があがっているのも当然です。

元労組役員のBさん60代男性はこう語ります。「こうした労働協約を無視する会社の行動を規制するのが労働組合だ、企業だけでなく、労働組合の社会的責任も 問われているのではないか」と。


2月22日、組合員有志が、労組伊丹支部に行った「申し入れ書」をご紹介します。
系統変電事業再建策に関する申し入れ書

 私たちは2月7日、第3回系電臨時場所労働協議会にあたって、組合員を「出向斡旋支援会社」に「勤務」させ「求職活動」を行わせることは労働協約違反であり、 会社提案を撤回させてほしいという「申し入れ」を行いました。しかし、2月10日に行われた臨時場所労働協議会の報告によると、その趣旨がまったく反映 されていないばかりか、「出向斡旋支援会社」での「求職活動」を「出張取り扱いを基本とするとするが、原則として派遣先へ毎日出勤すること等、形態としては 出向に類似した特殊なケースであることに鑑み、一部の取り扱いについては出向に準ずるものとする」と確認されています。こうした文書としても成り立たない 解釈による「確認」は労働協約からの重大な逸脱です

労働協約でいう出張とは、第62条(出張)とその(了解事項)で「場所間応援」しか明文化されていません。労働協約上に明文化もなく、締結もしていない「取り扱い」を業務命令として実施することは明らかに労働協約違反であり、「権利(人事権)の濫用」といえます。こうした会社の行動にたいして制約を加え、労働協約を遵守させることは、組合員の生活と権利を守り、労働条件の改善をはかるという労働組合の責務です。 以上の点から、以下3点を提案し、会社と交渉して頂くよう申し入れるものです。


1、会社に労働協約を遵守させ、組合員を「出向斡旋支援会社」で求職活動をさせることを中止させること。
2、企業責任を明確にし、転任・出向にあたっては、本人の意思と希望を十分尊重すること。
3、労働組合として、組合員の相談窓口を開設し、親身になって相談に応じること。
【労働協約書より】
 第62条(出張)会社は業務の都合によっては組合員に対し就業規則により出張を命じることがある。
(了解事項)
(1)会社は大量の場所間応援を行う場合はその概要につきその者の所属支部と協議する。
(2)場所間応援には居住地の変更を伴う場所内応援を含むものとする。

以上


要求アンケートの中間集計の結果

 06春闘で5年ぶりに2千円の要求を決めた電機連合と三菱電機労組。久しぶりの賃上げ要求に組合員の期待は高まっている。しかし、賃金抑制の手段で評価も 不透明な成果主義のもとでの組合員の胸のうちは複雑。
三菱電機とルネサスの働く仲間でつくる「春闘を前進させる会」が、要求アンケートの中間集計(100人分)を発表しました。その一部をご紹介します。
成果主義での評価は
正しくされている…7%
されていない…36%
わからない…57%

あなたの賃上げ希望額は
3000円(元定昇分)…31%
5000円以上…32%
1万円以上…35%
その他…1%
要求しない…1%

残業代正しく支払われていますか
正しい…51%
不払いがある…13%
裁量労働制…36%

主な意見
○春闘で昇給もなし何も楽しみがない。生活も楽にならないのにこれ以上組合員を苦めてほしくない。労働組合に頑張ってほしい。
○人員が減って仕事が増え、負荷が増大した。その分に見合う給料が支払われているとはとても思えない。
○裁量労働はサービス残業を増やすだけの最低の制度である。組合は裁量労働の実態を把握すべき。
○M電設計開発部門では、ほとんどMSになり、裁量労働で天井知らずの長時間労働で心身ともにむしばまれている人が増えてきている。
労働法制の改悪にストップをかけ、労働者の立場で改善していかねば生産自体がダウンすることになりかねない。

裁量労働の方から寄せられた残業の実態 (通電・M電)
120時間 男 40代  150時間 男 40代  80時間 男 30代  80時間 男 30代
80時間 男 40代   80時間 男 40代

責任に見合う賃金を得ていない! パート・派遣社員の要求と声
○ 30代・女性: 時給は800円、賃上げはあと1000円アップを望みます。不満や不安なことは賃金が安いこと。
○ 50代・女性: 時給は795円、賃上げはあと300円アップを望みます。不満や不安なことは、@賃金が安い、A責任に見合う賃金を得ていないこと、 B正社員になれない、C作業環境が悪い。
○ 50代・女性:時給は890円、賃上げはあと50円を望みます。不満や不安なことは@責任に見合う賃金を得ていないこと、A正社員との差別がある。
(「前進させる会」くらしの要求アンケートより)


満額回答で誰もが最低2千円以上

 「春闘を前進させる会」(「要求アンケート」)によると、賃上げ要求は「1万円以上」が35%、 「5千円以上」が32%であり、あわせると「5千円以上が」67%となっている。定昇廃止と引き換えに成果主義が導入されてから2年、 賃金格差も広がっている。「成果主義賃金の導入されたが、正しく成果や能力が評価されていますか」の問いに、36%が「評価されていない」と答え、 「評価されている」と答えた人は、わずか7%にすぎない。

三菱労組は、2千円を要求提出している。職場の労働者の要求からみれば極めて“ささやかな要求”である。満額獲得で賃金配分も「だれもが最低2千円以上」 を実現させ、06春闘を生活と権利を守る第一歩に。


読者の広場

ハラワタ℃マえたぎる思い

系電のリストラはひどいものである。あと1年で定年退職だというのに名古屋へ転任命令が出されたり、女性には大阪の 「出向斡旋支援会社」で求職活動をやらせる。

40年以上も会社のために働いて、最後の最後になんという仕打ちか、家族を抱え、健康状態もよくない人もいる。こんな会社のやり方に従う組合幹部、 ほんとうに情けない、しかし、これが現実だ“ハラワタ”が煮えたぎる思いをもつのは、私だけだろうか。(読者・50代男性)

「社長の花道」血も涙もない仕打ち

予想どおり、三菱電機の野間口有社長(65歳)が「好調な業績を花道に」社長を退き、会長に就任。後任に下村節宏副社長 (60歳)が社長に昇格する人事が。野間口社長は02年4月に就任。IT事業の戦略失敗による連結決算779億円の赤字に陥り、大リストラをすすめた。

半導体部門を日立との合併で別会社に、本体では自動車や液晶など工場の生産ライン製造事業に力をいれ、06年3月期は830億円の連結純利益を見込む 業績回復をはかった。だが、その影でどれだけの労働者が犠牲になっているか知るべきだ。なかでも系統変電事業部門の東芝との合併の戦略上の失敗である。 そのツケを労働者に押しつけ。いま、「社長の花道」を飾るため“血も涙もない仕打ち”のリストラが強行されている。(読者・ D)


編集後記

▼大企業はバブル時期に匹敵する空前の利益をおう歌
▼その背景には賃下げ、人員削減、低賃金の非正規労働者への置き換え、長時間・サービス残業の労働者犠牲が
▼その典型が系統変電事業のリストラ(205人削減)
▼職場の憲法・労働協約を無視し年配労働者を退職に追い込む転任・出向、「出向斡旋支援会社」への派遣。企業の社会的責任を放棄するものです
▼06春闘を社会的連帯による社会的反撃の一大決起の場としましょう。


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