2004年3月号  日本共産党三菱電機伊丹委員会
「羅針盤」は1985年10月に創刊された日本共産党伊丹委員会の職場新聞です。
「仲間と仲間、職場と家庭を結ぶ連帯のきずな」として月刊紙として発刊されました。
創刊後19年目を迎え、今号で第154号です。


【NEWSCLICK】
▼不当なリストラを社会的に規制し、雇用と人権を守ろう!
▼裁量労働制導入には厳格な適用を
▼「希望退職」・転籍強要をはねかえす4ヵ条
▼パートにも半日休暇をー労組に相談窓口を


不当なリストラを社会的に規制し、
雇用と人権を守ろう!


2年連続の賃下げ、それに追い討ちかける定期昇給の廃止、成果主義賃金の導入。
「これから子供の教育費がいるのに生活設計がなりたたない」(30代・男性)との声があがっている。
その一方で、遠隔地への配転、出向が…

 三菱電機は、02年10月に尼崎・神戸・赤穂地域にまたがる電力系統・変電事業を分社化して東芝と事業統合したTMT&D社を設立。02年4月には、北伊丹事業所を中心としたシステムLSI事業を日立と事業統合し、ルネサステクノロジ社を設立した。

 いま、両新会社は東工場(京浜、武蔵地域)と西工場(阪神地域)の事業の集約・終息に伴う遠隔地への転勤や出向などを強行。労働者は、雇用不安におびやかされている。職場では、労働者が家族的責任や家庭生活の都合で転勤を断ると「残っても君の仕事はない」「業務命令を断れば懲戒解雇」と脅すなど労働者の人権を踏みにじった転勤、転籍、出向などの強要も行われている。
 安定した雇用と労働条件の確保は、国民の暮らしの土台で、日本経済を不況から立ち直らせるカギです。
 日本共産党は、雇用政策の抜本的転換を提唱しています。

 不当な解雇・人員整理を社会的に規制し、
 労働者の雇用と人権を守るために
  • 整理解雇の4要件の法制化。
  • 希望退職や転籍など「退職」を強要するための人権侵害を許さない。
  • 希望退職や転籍、出向などにあたっての「強要」行為を厳格に規制する。
  • 転勤にあたって、家族的責任、家庭生活などへの配慮を義務化する。
  • 派遣やパート、有期雇用など不安定な雇用に置かれている労働者の雇用と権利を守る。


裁量労働制導入には
厳格な適用を
適用には「本人の同意」が必要

 職場では、3月16日から新人事処遇制度とセットで裁量労働制が導入されました。
 裁量労働制とは、実際の労働時間とは関係なく、あらかじめ労使で決めた時間分働いたものと、「みなす」制度。その時間より長く働いても、短くても、賃金は「みなし賃金」(三菱の場合40時間の残業代)相当分となります。

選択する権利がある

 労基法では、裁量労働制の適用について使用者は、「労働者本人の同意を得なければならないこと及び不同意の労働者に対し不利益扱いをしてはならない」となっています。このように導入されても、対象労働者には裁量労働の適用を受けるかどうかを選択する権利があります。

同意したあとで撤回もできる

 労使委員会の結論や、所属する労働組合の意向がどうであれ、個人の意志が尊重されます。同意したあとで、撤回することもできます。この同意権を、きちんと行使しましょう。

適用対象業務の範囲

 裁量労働が適用されるのは
@「独自の経営戦略を作成できる権限を与えられている事業単位」であって、その中の「事業の運営に関する事項についての業務であること」、
A企画、立案、調査および分析の業務であること、
B業務の性質上業務遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務であること、
C「業務遂行の手段、時間配分を具体的に指示しない業務であること」「作業をいつ、どのように行うかにつき、広範な裁量労働が労働者に認められるもの」です。
−−項目を厳格に適用すれば、上層管理職しか対象にならなくなります。

 裁量労働 付帯決議では
  • 今回の裁量労働制の適用事業場の拡大、手続の緩和が、サービス残業隠しに悪用されることのないよう、適用対象事業場についての基準を設けるとともに、対象業務については当該事業場全体の運営に影響を及ぼすものとすること。また、この基準等の周知徹底をはかること。
  • 企画業務型裁量労働制の導入にあたっては、労使委員会が重要な役割を担っていることにかんがみ、特に未組織労働者が多い中小企業においても、労使委員会が適正に設置、運営されるよう十分な配慮を行うこと。専門業務型裁量労働制の本人同意については、引き続き検討すること。
  • 裁量労働制を導入した事業場に対する労働基準監督官による臨検指導を徹底し、過労死を防止するための措置を講ずること。
  • 労働基準監督署への届出が簡素化されること等に伴い、裁量労働制を導入した事業場に対する労働基準監督官の監督指導を徹底するなど制度の適正な運用確保に努めること。

☆裁量労働でも、休日や深夜(夜10時から朝5時まで)については、35%以上の割増賃金を支払わなければなりません。

「希望退職」・転籍強要をはねかえす4ヵ条

 希望退職や転籍など「退職」を強要する人権侵害を許さないために、「希望退職・転籍強要をはねかえす4カ条」と日本共産党の雇用政策をご紹介します。

一、ルールにもとづいて堂々と

 「私はこの会社に残ります」ーこの一言があなたと家族の生活を守るたしかな力です。転籍(移籍)とは、いまの会社を解雇されることですから、法律は「本人の同意」を厳格に決めています。これが社会のルールです。

二、「イエローカード」で警告を

 それでも会社は、「同意」を迫ってくるでしょう。その時は、「これ以上の説得や面談はやめてください」ときっぱり。

三、「レッドカード」を出しましょう

 この『警告』を無視して、「『同意』するまで面談をやる」「応じなければ職場はない」などと迫れば違法です。「労働基準監督署か弁護士に相談します」とレッドカードをだしましょう。

四、労働基準法は「不利益扱い」を禁止。
 一人で悩まず、みんなで相談を。

 そうはいっても、「あとでどうなるかが心配だ」と悩んでいる方も多いでしょう。そんな時のために、労働基準法には「労働者を守るルール」があります。悩んでいるのはみんな同じです。職場の仲間と相談しましょう。「三人寄れば文殊の知恵」、知恵も勇気も出てきます。日本共産党も応援します。

希望退職や転籍、出向などにあたっての
 「強要」行為を厳格に規制する。

 転籍や出向など労働契約の変更は本人の同意が原則です。ところが、形だけの「同意」をとりつけるために、いやがらせや脅迫まがいの強要行為がまかり通っています。希望退職に達成目標をかかげ、退職に追い込むやりかたも横行しています。最高裁の判例でも、希望退職をせまるために繰り返して呼び出すなどの行為は違法とされています。
 こうした強要行為を禁止し、立会人の同席や希望退職や転籍の同意は七日以内であれば撤回できる「クーリングオフ」制度などを確立します。

転勤にあたって、家族的責任、家庭生活などへの
 配慮を義務化する。

 転勤は会社都合が優先され、単身赴任や長時間通勤が当たり前のようになっています。本人の生活と健康に大きな負担となるだけでなくでなく、家庭が犠牲にされ、少子化などの社会問題の要因にもなっています。
 世界の流れは、仕事といえども、家族としての責任を犠牲にしてはならない、ということです。日本でもやっと介護や育児の責任がある労働者の転勤を制限する動きが出ていますが、転勤にあたって、育児・介護はもとより、家族的責任、家庭生活を配慮するのは当然です。



パートにも半日休暇を
労組に相談窓口を


 パートの方に半日休暇制度をつくってあげてほしいです。パートの方はフレックスも無いのですから、半休制度ぐらいはあってもよいのではと思います。正社員は組合があるので、意見等取り入れてもらいやすいのですが、パート、派遣、関連の方は相談窓口がないので、会社内に相談窓口を設置して頂きたいです。立場的に社員よりも弱いのですし、泣き寝入りしている方もおられます。    (通電・30代・女性)

正社員と同じ仕事をしているのにパートってなんだろう…

 勤続年数20年パートとして働いています。現在、大変忙しく派遣の人も多くの人が入り、派遣の人よりも安い時給でむなしく思いながら、どこに言っていくところもなく、半ばあきらめ状態です。一日中作業で目は疲れるし肩は凝るし、夕方はクタクタになってそれでも何の希望もありません。
 ボーナスは寸志、退職金はなし、パートってなんだろうと、つくづく最近思うようになりました。  (50代・女性)

手当も何もない

 パートは組合も無いので会社の決めたとおり。入社16年ですが、時給は100円ぐらいしか上がっていません。仕事は技術的なのですが、手当など何もつきません。少しみとめてほしいですね。       (50代・女性)

せめて高卒初任給程度の賃金保障を

 せめて高卒初任給程度の賃金を保障してもらいたい。こんなアルバイト並みの賃金ではとてもこの先生活できない。           (30代・男性)


◆ 編集後記 ◆

▼日立、東芝との事業統合による新会社の設立。その後の東西事業所の集約・終息による配転や子会社への転籍や出向など、リストラが始まっています。▼いやがらせや「業務命令」を濫用した強要や人権を踏みにじるやり方は許せません。▼今号では、労働者の雇用と人権を守るための日本共産党の政策と「『希望退職』・転籍強要をはねかえす4カ条」を掲載しました。▼不当、不法な攻撃を許さないため、力あわせてがんばりましょう。
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