「羅針盤」 2003年12月号

日本共産党三菱電機伊丹委員会

「羅針盤」は1985年10月に創刊された日本共産党伊丹委員会の職場新聞です。
「仲間と仲間、職場と家庭を結ぶ連帯のきずな」として月刊紙として発刊されました。
創刊後18年目を迎え、今号で第153号です。
【NEWSCLICK】
▼労働時間の適正な把握・申告について
▼裁量労働制導入にはノーを
▼ご存知ですか改正パートタイム労働指針
▼定昇廃止だなんて僕らの生活どうなるの?
▼MEEでも、定昇廃止の処遇制度
▼春闘を前進させる会が「要求アンケート」を開始
▼解雇は原則禁止−労基法に明記

サービス残業を根絶し、「過労死」やメンタルヘルスの心配のない
安心して働くことのできる職場を
労働時間の適正な把握・申告について
  1. 始業・終業時刻の日々の記録。
  2. 残業時間の適正な申告。
  3. 1ヶ月40時間を超える時間外・休日が見込まれる場合の労組との事前協議。
  4. フレックス制、メリット勤務制度対象者、専任職も日々の始業・終業時刻を「終業管理表」に記載し、
    それに基づき労働時間を適正に申告すること。
  5. メリット勤務制度適用者がメリット手当額を超える労働である場合の適用除外。
  6. 深夜労働(22時〜5時)の原則禁止。
これは02年4月の尼崎、伊丹両労基署の指導による会社の「遵法徹底」項目です。


 リストラ・人減らしのなか、開発・設計部門では、恒常的な長時間残業がつづき、過重な労働からメンタルヘルスや「過労死」の心配もされています。
 これは、企業の生産計画、要員計画が、恒常的な長時間残業がなければ達成不可能だったり、「出勤率96%」と有給休暇を「切り捨てさせる」ことが前提になっていることなどが問題の根本にあります。
 三菱電機の場合、「特別休日」(無給)もあって、02年度の有給休暇の取得率は48.0%と電機大手企業のなかでは最低です。

 大事なことは、昨年4月労基署の指導・是正措置でとられた在場時間の管理の厳密な実施や深夜就業の禁止と労働基準法で定められた8時間労働制、有給休暇の取得などが保障されることです。

 日本共産党三菱電機伊丹委員会は、「サービス残業なしの開発・生産計画」を実行するため次の3つの要求を提案して職場での討論をよびかけています。

◆ 要求提案 ◆
  1. 開発計画はプロジェクトチームの話し合いで決める。
  2. 開発目標・日程・人員・予算などは、プロジェクト参加者の
    合意で決める。
  3. 標準作業時間や必要な要員を設定する問題は、労使間の交渉・
    合意事項に。

 欧米では、技術開発から製造へとすすむ技術の創造は、企業が関係者に可能な限り自由裁量の余地を与えることになっています。こうした生産管理の「現場自立性」を尊重してこそ、創造ある研究・開発・生産が可能になると考えます。

裁量労働制導入にはノーを
導入されるとサービス残業が合法化される

 三菱電機が新人事処遇制度とセットで導入しようとしている裁量労働制は、実際の労働時間とは関係なく、あらかじめ労使で決めた時間分働いたものと、「みなす」制度です。その時間より長く働いても、短くても、賃金は「みなし賃金」相当分となります。現在、メリット勤務制度という「擬似的裁量労働制」を導入してサービス残業をおしつけています。昨年4月、労基署の立ち入り調査で一部是正されましたが、今回これを合法化しようというものです。いまでさえ不払い残業が蔓延しているなかで、裁量労働制は、必ずサービス残業隠しに使われます。
 国会審議でも、与野党問わず、「過労死の温床となるのでは」などの懸念があげられています。
 裁量労働制は、仕事の量や負荷、納期・締切り等を決定する権限は、労働者に与えません。
 裁量労働にして、過大なノルマを与えておけば、残業代を払わずにとことん働かせることができます。たとえ過労死しても、「裁量労働だから自己責任」と、会社は主張します。使用者にとって都合のよい管理方法なのです。
 職場で裁量労働の弊害を学習・討論し、団結して導入「ノー」と言いましょう。

ご存知ですか改正パートタイム労働指針
賃金、賞与及び退職金も正社員との均衡処遇を

 パートタイム労働指針は、パートタイム労働法にもとづいて、パートタイム労働者の適正な労働条件の確保と雇用管理の改善に関して、事業主が講じなければならない措置をわかりやすく定めたものです。
 03年7月改正で、パートタイム労働者と正社員との間の均衡を考慮した処遇の考え方が具体的に示されるとともに、事業主が構ずべき措置が追加されました。
 労働指針のポイントの一部をご紹介します。

 パートタイム労働者にも労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労災保険法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、雇用保険法などの労働者保護法令は適用されています。事業主は、パートタイム労働者についても、これらの保護法令を守ってください。
 また、「就業の実態、正社員との均衡などを考慮して処遇」とは、パートタイム労働者の業務の内容、配置転換の有無、契約期間、勤続年数、経験、職業能力などを個別に判断するのではなく、これらの就業の実態を総合的に勘案し、パートタイム労働者と正社員とを比較したときのバランスを考慮して処遇することーとしています。

◆ 賃金、賞与及び退職金 ◆

「事業主は、短時間労働者の賃金、賞与、及び退職金については、その就業の実態、通常の労働者との均衡を考慮して定めるように努めるものとする。」となっています。

定昇廃止だなんて僕らの生活どうなるの? <秋平と晴男のニュース問答>
秋平
大企業が「定期昇給を廃止」するというニュースが相次いでいるなぁ。賃金が毎年上がる定期昇給賃金制度がなくなると生活の見通しが立てられないよ。
晴男
企業は、かわりに賃下げもある成果主義を導入するっていうんだろ。この間の報道だけでも、日立製作所、松下電器、三菱電機、ソニー……電機メーカーを中心に有名企業が名を連ねているね。
秋平
国際競争を勝ちぬくには生産性をさらに高める必要があるというが、あれだけ人減らしリストラして「V字回復」した電機産業が、今度は定昇廃止だなんて納得できないよ。

●働きに見合う?
晴男
企業側は、成果主義なら“働きに見合った賃金になる””がんばれば賃金が上がる”といって、若手の不満にこたえるかのようにいっているけど。
秋平
怪しい話だよ。成果主義は上司と相談して決めた目標と実際の成果で評価されて賃金が決定するわけだけど、目標を労働者が自主的にきめられるわけじゃない。全社的な経営目標があって職場ごとに振り分けられた目標を個々人に割り当てられるのが現実。高い目標を立てさせられて到達できないと、低い評価を受けることになるだろう。
晴男
実際の仕事は、チームによる共同作業が多いから個人単位に正当に評価できるのか。成果を上げようのない職場もあるから配置の段階で低い評価にされてしまう、という不満もよくきくよ。

●過労死寸前まで

秋平
現実に成果主義が導入されている職場では、同僚が競争相手になるから、労働者は長時間労働とノルマに追われて、過労死寸前まで働くことになるというよ。残業代を支払わなくてすむ裁量労働制が適用されているしね。
晴男
労働者をこれまで以上に働かせて人件費を削減するのが目的なんだな。
秋平
そのとおり。初任給を低く据え置いたままにして、定昇をなくしたら、労働者の賃金水準は下がる一方だよ。
晴男
会社提案を労組が次々受け入れているのも問題だね。労働者の声をちゃんと聞けば不安が多いんだ。怒りや不満の声をもっと広げることが大事だね。
秋平
同感。たたかわないと生活が守れないね。
(「赤旗」03年12月8日)

◆ 定昇(定期昇給)とは ◆

 定昇(定期昇給)とは、労働者の基本給を毎年一定期日に引き上げる制度です。三菱電機では一律3000円となっています。それは低い初任給のもとで、年齢が増し、家族が増えるにしたがって増える生活費をまかなうために、必要不可欠な昇給制度として労働者がたたかい、かちとってきたものです。
 定昇が実施されなければ、基本給が低下し、賃金支払いの総額は大幅に減額されます。基本給の低下は、さまざまな手当、一時金、退職金、年金、ローン返済などにも波及します。


読者の広場
MEEでも、定昇廃止の処遇制度

 三菱電機とまったく同様の「人事処遇制度改定」が三菱電機エンジニアリング(MEE)でも提案されています。「改定」の内容は年齢給(定昇)の廃止、家族手当廃止、裁量労働制を導入するというものです。
 MEE労組は、第2回の賃金制度専門委員会を開き、具体的内容を発表しています。職場の組合員には説明されていません。組合は、早く職場集会を開き説明すべきだとの声があがっています。(読者・K)


春闘を前進させる会が「要求アンケート」を開始

 いよいよ04年春闘です。この12月から三菱電機の仲間でつくる「春闘前進させる会」がくらしの要求アンケートを開始します。今春闘では、財界の賃下げ、定昇廃止の攻撃がいっそう激しくなっています。
 三菱では定昇廃止と成果主義賃金がセットに導入されようとしています。「これ以上の賃下げや定昇廃止は許さない」の声をあげていくことが大きな力となります。(編集部)

解雇は原則禁止−労基法に明記

 03年6月に成立した労基法改正では、解雇ルールについて「解雇は、客観的かつ合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして、無効とする」としています。
 労基法に「解雇権の乱用禁止」が明記された意義は大きく、不当解雇を許さない大きな力となります。さらに参院の付帯決議で、「整理解雇4要件に関するものを含む裁判例の内容の周知を図る」こととされています。「解雇4要件」とは、使用者が経営上の理由による解雇を行う場合、すべてを満たす必要があると最高裁が判例で示した次の4つの要件です。−@解雇しなければ、企業の維持・存続ができないほど差し迫った必要性がある。A解雇を回避するあらゆる努力がされた。B解雇する労働者の人選が合理的で公平である。C労働者側の納得を得る努力が尽くされている。(城)
◆職場の悩み−お気軽にご相談ください!◆
■ 働くルールの110番 ■
日本共産党三菱電機伊丹委員会
【連絡先】 伊丹市千僧6丁目218 革新会館内
  【電話】072(781)0122 【FAX】072(781)2842
【e-mail】melcojcp@osk3.3web.ne.jp

★ホームページでも労働相談を受付ています。


◆ 編集後記 ◆
▼サービス残業を根絶し、「過労死」やメンタルヘルスの心配のない安心して働くことのできる職場づくりは切実です。
どうすればそうした職場をつくれるのか、一面では、三菱電機伊丹党委員会の「サービス残業なしの開発・生産計画」
−「3つの要求提案」を掲載しました。職場で討論してみてください。
▼「羅針盤」のご購読と総選挙でのご支援、ご協力、ありがとうございました。
来年は参院選挙の年です。ひきつづきご協力をお願いいたします。

☆職場の話題など、読者のみなさんの投稿をお待ちしております。、日本共産党への
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