「羅針盤」 2000年12月 第132号

発行 日本共産党三菱電機伊丹委員会


「羅針盤」は1985年10月に創刊された日本共産党伊丹委員会の職場新聞です。
「仲間と仲間、職場と家庭を結ぶ連帯のきずな」として月刊紙として発刊されました。
創刊後15年目を迎え、今号で第132号です。

【NEWSLINE】

▼ 「国際競争力」強化、「生き残り」を口実に140名の人員削減

▼ 大手電機メーカーへの労働 省の立ち入り調査、指導で職場はどうなった?

▼  連合が「解雇規制」「サービス残業撲滅」を地方や単産によびかけ

▼ 読者の広場

▼ 春闘を前進させる会が「くらしの要求アンケート」開始!



 「国際競争力」強化、「生き残り」
を口実に140名の人員削減  
「配転に際しては本人の希望と意志を尊重せよ」の要求

系電では、10月3日、会社側が140名の人員削減を労働組合に提案。2回の場労協を通じ、11月28日に労使合意。12月に入り第一次の具体的人選が始まっています。

削減の主な理由は、「国際競争力に生き残るため」「人件費の負担が固定費の半分を占めており、経営体質の強化に向けて人件費の抑制は避けられない」というものです。

職場からは、「これ以上、人が減らされたらまともな製品がつくれない」「配置転換されても、その先で出向になるかも」など、不安の声や「配転に際しては本人の希望と意志を尊重せよ」の要求があがっています。

職場の意向を踏まえ、居住地変更ない配置転換を

労組支部は「系電は高齢者が多いという人員構成上の問題はあるが、決して人が余っているわけではない」「居住地の変更がないことを前提に、職場の意向を踏まえて」「人選にあたっては個別事情を配慮すること」としています。


国際競争力は本当に「生き残れない」ほど失われているのでしょうか?  

● 国際競争力が落ち込んでいれば、日本の製品は外国で売れないことになります。ところが、電機や自動車を中心に日本がダントツの貿易黒字です。 国際競争力は抜群です。

● 国際競争力を強めるためにコスト切り下げなければならない、そのためには世界で最高水準となっている日本の賃金を下げなくてはならないといっています。

大企業のいう賃金は為替レートで計算しています。こんな奇妙な話しはありません。
大企業流にいうと、毎日、為替レートの変化で、日本の労働者の賃金は上がったり下がったりすることになります。

労働省が出している「労働白書」では、賃金は購買力平価で計算するのが正しいといっています。
購買力平価とは、その国の賃金でその国の品物をどれだけ買えるかで計算するということです。

購買力平価でいえば日本の賃金を100とすればドイツは171、アメリカ141、フランス127で、日本は一番低いのです。

大企業の言う「高コスト論」はゴマカシです。ましてや「人件費が固定費の半分を占めている」から、人員を削減するなど、会社の言い分には、道理がありません。


 大手電機メーカーへの労働 省の立ち入り調査、
指導で職場はどうなった?

(電機労働者懇談会「ELIC」より)
東芝の実例

今年4月から「ACEワーク」が導入された東芝では、今回の労働省の立ち入り調査で、「ACE制度の手当が20時間分の残業代であるのに対して、瀬戸工場では導入前の残業時間が平均で60時間もあったことで、その差額が支払われることになった」、「京浜工場では月の途中でも残業時間が手当を上回った場合にはACE制度を抜けて、実残業時間に対応する残業代を受け取ることができるように制度が是正された」と報告されています。

今回の労働省の是正指導は、「フレックスタイム制については、労働日ごとの始終の時刻及び労働時間の長さを使用者が把握することが当然の前提となっており、こうした労働時間の把握を厳正に行い、それに基づき適正に賃金台帳の記入を行うこと。

また自己申告は安易に用いられるべきではないが、これによる労働時間の把握を行う場合においては、その適切な把握を阻害する要因を除去し、労働時間の適切な把握を行うこと」(労働省・今後の対処方針)としています。


ホシデンの実例

「フレックスタイム制の一部や、36協定を越えた時間外労働数が把握・記載されていない場合がある」として、改善対策を早急に行うこと、実態調査を行い、サービス残業分の賃金を支払う勧告を受けた」と報告されています。


東芝の「ACEワーク」とは?

資格がA3以上で、会社が「ACE制」の定義に基づき適当だと判断し、かつ従業員が同意した場合適用される制度。

月20時間の残業手当相当の制度の手当、ボーナス時に目標管理達成度に応じて「業務加算金」がある代わり、残業は申請できない。 20時間以上の残業代を申請すれば、適用除外されるようになっています。


連合が「解雇規制」「サービス残業撲滅」を地方や単産によびかけ
解雇規制の法制化やサービス残業撲滅も

連合は、10月の中央委員会で、「21世紀連合ビジョン案」を報告。
解雇規制の法制化やサービス残業撲滅を掲げたビジョン案を連合に加盟する単産や地方組織が運動方針として具体化するようよびかけました。

ゼンセン同盟は定期大会の会長挨拶で、時間外労働をしたらきちんと記録し、割増分をつけて支払うのは労働基準法に定めたルールであり、法違反は許されないと批判。

組合員の働き方に問題があれば正していくという役割を担う労働組合がありながらサービス残業がおこなわれるとしたら二重に問題がありだ、とのべました。


読者の広場

安全で信頼される製品を届ける社会的責任が?

目先の利益を追い、コストダウン競争に走りすぎた経営が製品の安全や品質を脅かしています。
大型テレビの発火・発煙事故はその一例。どの部門でも トラブルも多発、そのしわ寄せが労働者の過重な労働にもつながっていると聞きます。

開発に十分な費用と時間をかけることや、技術・技能の蓄積と伝承ができる人材確保をはじめ、品質管理部門を強化することも大切だと思います。

大企業には「安全で信頼される電機製品を消費者に届ける」という社会的責任があるのではないでしょうか? (読者・K)

春闘を前進させる会が「くらしの要求アンケート」開始!

いよいよ、2001年春闘がスタートします。今年も三菱の仲間でつくる春闘前進させる会が「くらしの要求アンケート」を始めました。

「羅針盤」読者のみなさんのご協力をお願いいたします。 (編集部)


◇編集後記◇
21世紀の日本のすすむべき道、「日本改革」の提案を明らかにした日本共産党の第22回党大会。
一方、$「紀末的な行き詰まりに陥っている自民党政治。健康保険の改悪など悪政の推進で国民の怒り、離反をつよめ、矛盾と混乱を。政治も職場も激動の中で今年も暮れようとしています。

参院選はもう半年後に。みなさんとご一緒に希望ある新しい世紀の扉を勇躍してひらきましょう。


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