「羅針盤」 2000年5月 第128号

発行 日本共産党三菱電機伊丹委員会

「羅針盤」は1985年10月に創刊された日本共産党伊丹委員会の職場新聞です。
「仲間と仲間、職場と家庭を結ぶ連帯のきずな」として月刊紙として発刊されました。
創刊後15年目を迎え、今号で第128号です。

 サービス残業問題 
■ 衆院予算委員会で志位書記局長が質問

志位和夫書記局長は4月24日の衆院予算委員会で、国民生活にとって切実な問題となっている雇用と介護保険で、国民の要求からかけ離れた森内閣の姿勢を浮き彫りにし、問題を解決する提案を具体的に示しました。
雇用問題の質問についてご紹介します。

■ 企業に労働時間把握の義務づけ発覚したら厳しい制裁金を」

大企業のリストラ横行で失業率が4.9%と最悪になる一方、職場では労働者がこれまで以上の長時間過密労働に苦しむー

志位氏は「労働時間短縮に本気にとりくみ、雇用の拡大をはかることが政府の重大な責任になっている」と指摘しました。


■ サービス残業の一掃が緊急課題

とりわけ、違法な「サービス残業」(ただ働き)が「1千万人、2千万人という規模でまん延」(志位氏)し、その一掃が緊急の課題となっています。

志位氏は「サービス残業」の一掃には特別の対策が必要だと強調して、二つの提案をしました。


■ その一つは、企業に実際の労働時間を把握する義務を負わせることです

「過労自殺」にたいする企業側の責任を明確に認めた「電通過労自殺訴訟」の最高裁判決(3月24日)。
同判決は、「残業時間につき従業員が現におこなったところよりも少なく申告することも状態化していた」と指摘し、会社がそれを知りながら放置していた責任は重大だと断罪しています。

志位氏は、「企業が責任をもって実際の労働時間を把握する義務を負わせ、その記録を労働者がだれでも見てチェックできる仕組みをつくることが必要だ」と指摘しました。


■ 二つ目の提案は、「サービス残業」が発覚したら、企業は厳しい制裁金を労働者に支払わなければならないようにすることです。

「サービス残業」が発覚しても、通常の残業代を支払えばすむ―現状は、「泥棒が金を盗んで捕まっても、金を返せば無罪放免」というのと同じだと志位氏。
「サービス残業」を本気で根絶するというのなら、企業に厳しい制裁を科すことが当然ではないかと、迫りました。

森首相は、「労働者が熱意でやっている面もあり、(サービス残業を)一律に悪ということはできない」と答弁。ただちに労働基準法違反であることを志位氏に指摘さあわてて答弁を修正するおそまつぶりです。

志位氏の追及で、「適切な措置をとる」とのべざるを得なくなったものの、「指示をきちっとしている」とも強弁。
志位氏は、「経済新生などというが、働いた分だけの賃金はきちんと払う日本にしなければ、国際社会で通用しない」と主張しました。


■ 「サービス残業」なくせば600人の雇用拡大可能

三菱電機の「春闘前進させる会」のアンケート調査によると「月平均のサービス残業は37時間」になっています。
日本共産党三菱電機伊丹委員会は、この法違反の「サービス残業」をなくすだけで、伊丹・尼崎市に所在する事業所だけでも約600人、三菱全社で約3000人の雇用を新たに拡大することができることを試算、職場に提案しています。

 雇用を守るため日本共産党はこう考えます
日本共産党は、雇用問題解決には、ルールをもった経済社会≠テくりが必要と考えています。
この立場から今国会に雇用をまもる三法案を提出しています。
■ 「企業再編に伴う労働者保護法」案

企業の合併、分割、営業譲渡などの組織再編を利用したリストラを禁止し、労働者の雇用と労働条件の既得権を守り、労働者を保護する。

■ 「解雇規制法」案

正当な理由のない解雇の禁止。転籍、出向の本人の同意。退職強要の嫌がらせ禁止など。

■ 「サービス残業根絶特別措置法」案

使用者に実際の労働時間の把握と記録義務。発覚した場合、使用者は割増賃金とは別に、制裁金を労働者に支払う義務を負う。

 くらし・雇用破壊の悪政をすすめる自公保政権に審判
■ 老いも若きも大被害 年金改悪

いま男性38歳(女性は33歳)までの人は65歳まで年金がもらえなくなり、障害で削られる年金が1200万円も。
現在もらっている人の年金も大幅に減る。こんな年金改悪が自自公によって強行されました。

■ リストラの後押し

銀行への公的資金投入と引きかえに「経営健全化計画」を出させ、人員削減を促進。
「産業再生法」で「事業再構築計画」を企業に出させ、税などの優遇と引きかえにリストラ・人減らしを促進。

商法「改正」と労働契約継承法案(審議中)では、会社分割制度の創設で、企業再編・リストラを促進。転籍に本人同意は不要とする改悪も。


■ 医療・福祉改悪

70歳以上の患者の負担を外来1回530円(月4回まで)を定率1割負担で、3000円から5000円に、入院も1日定額1200円が1割負担に。

4月からはじまった介護保険。保険料と利用料(1割)で、負担はズッシリ。介護サービスの不足、ケアプラン作成の遅れで深刻な矛盾がふきだしています。


■ 戦争協力法・盗聴法

「腐敗した警察に盗聴をまかせたら大変」…こんな声が広がるのも当然です。

自自公は、この盗聴法やアメリカの戦争に協力し、自治体も民間も動員するガイドライン=戦争法を数の横暴≠ナ強行したのです。


日本共産党がめざす21世紀の新しい政治 
■ 経済と国民のくらし

公共事業に50兆円、社会保障に20兆円という逆立ちした予算の使い方を変え、社会保障と国民の暮らしを予算の主役にする。

横行するリストラ・人減らし、「サービス残業」、長時間・過密労働など<求[ルなき資本主義といわれる日本。ヨーロッパなどではあたり前の企業活動の民主的ルールをつくる。


■ 軍事・外交の面では

安保条約を廃棄し、基地も軍事同盟もない非同盟・中立の日本をめざします。それには、「安保をなくそう」の国民多数の合意が必要です。

日本共産党は、安保があるもとでも、平和のため、日本の主権をまもるため努力します。

安保推進派の≠ネんでも軍事というやり方をやめ、平和外交で解決します。アジア外交を重視します。


■ 改革のすすめ方は

社会の発展は階段をのぼるように、一段一段、すすむものです。
しかも、その階段を上がるか上がらないかは、政党が決めることではなく、国民の多数の意思で決めることです。

どんなときでも、「国民が主人公」をつらぬき、選挙での国民多数の意思ですすめます。


読者の広場

■ 若者・家族を苦しめる健康保険、年金

20歳になる娘が今春、専門学校を卒業したのですが、会社の健康保険の扶養対象から外れると思って市役所へ手続きにいくと担当の人から「娘さんは無職だから会社の健康保険の対象になるはずですよ」とのこと。

さっそく会社に連絡をいれると「調べてみます」との返事が返ってきた。後日、問いあわせると、「学生や身障者以外は対象にならない」との回答がありました。

結局、市役所で国民健康保険(月1万3000円の保険料)の手続きをせざるを得ませんでした。
聞くところによると、企業によって扱いが違うとのこと。三菱電機も大企業なのだから、これぐらい面倒みてくれてもよいと思うのですが…。

職場の同僚に聞くと、「今時大きな会社ほど冷たい」との答え。国民年金や国民健康保険の両方合わせて2万円の支出にもなり、本人にとっても家族にとっても大変です。 (S・読者)
 


◇編集後記◇
いよいよ総選挙、「やっと自民党もその気になったか、こんどこそ」の気持ちが職場の労働者の間にひろがっています。
今号では、先の衆院予算委員会での志位書記局長の「サービス残業」根絶し雇用拡大をの質問と、日本共産党の「日本改革論」をとりあげました。
三菱電機の労働者と家族の切実な問題です。

●暮らしや職場の話題、情報、日本共産党への
ご意見、ご質問をE-Mail: melcojcp@osk3.3web.ne.jpでお寄せください。

Home Pageへ戻る || 目次に戻る