「羅針盤」 2000年3月号 第127号

発行 日本共産党三菱電機伊丹委員会

「羅針盤」は1985年10月に創刊された日本共産党伊丹委員会の職場新聞です。
「仲間と仲間、職場と家庭を結ぶ連帯のきずな」として月刊紙として発刊されました。
創刊後15年目を迎え、今号で第127号です。

サービス残業で大手電機 労働省が調査監督へ

■ 「労働時間の自主申告制はサービス残業を生み出すおそれがある」(労働省)
労働省は、大手電機メーカーなどが導入している裁量労働的なフレックスタイム勤務(擬似的な裁量労働制)について、「労働時間の自主申告制はサービス残業を生み出すおそれがある」と、労働基準法に基づき監督調査を行う方針を明らかにしたことが、3月7日付「朝日」新聞報道で判明しました。 労働基準法違反があれば是正勧告するというものです。                    
■ 監督調査へ期待の声
大手電機メーカーといえば、日立、東芝、三菱などで、擬似的な裁量労働制をいち早く導入、サービス残業に拍車をかけており、「三菱電機も対象にあがっているのか」「ぜひ、監督指導をしてほしい」と、日本共産党の事務所に問いあわせのメールが寄せられるなど、労働省の監督調査への期待が寄せられています。

三菱電機では、94年4月から※「裁量企画手当制」が導入され、労働時間の把握は、自己申告制になっており、サービス残業は恒常化しています。

■ 月7万4千円のただ働き
三菱電機伊丹の有志でつくる「春闘を前進させる会」がおこなった2000年春闘「くらしの要求アンケート」(272通)では、多くの労働者が「サービス残業をなくせ」の声をあげています。

「会社はリストラするのではなく、人を増加すべきではないか。現在、多い人でサービス残業が60〜70時間もあり、だいたいの人がサービス残業はあたり前になっている」(40代・女性)、「土曜日も日曜日も出社しないといけない状況にある。

しかも、手当などまったく出ない」(20代・男性)、「最近、ただ働きの量も多く、当然のような風潮がある。これでは働く意欲がわいてこない。…雰囲気も悪く、末期的な状態で、5年、10年先には三菱もなくなるような気がします」(30代・男性)

アンケートでは、サービス残業があると答えた労働者は48%(昨年のアンケートでは46%)で、月平均のサービス残業は37時間(同24時間),不払い金額は7万4千円(同7万円)にのぼっています。昨年よりいっそうひどくなっています。


3年連続史上最低の回答で不況はさらに深刻に

■ 電機ベースアップ500円
15日に金属労協(IMF・JC)の加盟組合におこなった賃上げ(ベースアップ)回答は、500円を上限にするもので、3年連続して史上最低を更新するものになりました。

GDP(国内総生産)が2期連続してマイナスになり個人消費の冷え込みで景気が悪化しているときだけに、長期不況と深刻な失業情勢をいっそう悪化させるものです。

2000年春闘で日経連の奥田会長は、「もはや賃上げか、雇用かではない」とのべ、雇用・賃金・労働時間を一体とした「総人件費」の抑制、引下げを強調。ベアゼロどころか、賃下げまで強調しました。

奥田会長は、JC回答を受けて談話を発表、「各社ともこうした(総人件費管理の)日経連の主張と同じ考え方にたって交渉にのぞんだ」

「ギリギリの判断をした」と勝利宣言をしました。
三菱電機の労使交渉では、「日本経済の先行きは非常に不透明である」「企業存続のために賃上げは極めて慎重に考えざるを得ない…会社と痛みを分かち合っていただきたい」と賃上げを否定しました。

大企業は、失業率が最悪の水準が続くなかでもリストラなどで大もうけをしています。
三菱電機の3月期決算は連結純利益は200億円強(前期は445億円の赤字)と予測しています。内部留保は前年より548億円増やし、6850億円の巨額にのぼっています。ベア2000円要求に十分答えられるものでした。

連合の鷲尾悦也会長はGDPの6割をしめる個人消費を増やし、景気を回復させるために賃上げの必要性を強調しました。しかし、全体として労働者のエネルギーを結集してたたかう力は弱いものでした。

連合内では「春闘改革論」の論議が広がっています。
労働者が要求で団結し、産業別を軸にした全国的な統一闘争、労働組合の所属の違いを超えた共同を大きく広げて、財界・大企業と自自公政権とたたかうーこうした方向で運動を発展させていくことが求められています。

■ 500円じゃ昼飯代にもならん!
職場では、500円のベースアップにたいし、「ああ、たった500円か」「昼飯代にもならん」「介護保険料を天引きされたら給料はダウンだ」の声があがりました。


労働者の希望と意志を尊重した
60歳以降の雇用ルールの確立を!

■ 定年まで安心して働ける職場めざして 60歳定年制を守り労働者の希望尊重のルールを
小渕・自自公政権がすすめる公的年金の改悪にともなった三菱電機の「60歳以降の雇用延長」…。重大な問題点があります。

これまでの労働協約(60歳定年制)の廃棄を前提に、しかも雇用延長と引き換えに労働条件の大幅な切り下げ、さらに雇用延長か定年退職かの選択を一度しか認めないなどです。

これは、「60歳後も働きたい」という労働者の切実な要求を逆手にとる形で、不安定雇用と低賃金労働者への再編をすすめるものです。


☆【日本共産党伊丹委員会は、次の政策を提案し、実現をめざしています】☆
@60歳以降の雇用は、労働者と企業の双方必要なものです。したがって、定年年齢の引き上げを基本とすべきです。少なくとも、三菱電機の労働協約で決められている「60歳定年制」をまもり、そのうえで希望者全員の雇用延長をおこなう。

A 働き方の選択にあたっては、雇用責任、雇用期間、就労形態、勤務場所、労働条件など、情報の提供と十分な説明をし、疑問点や不安にこたえること。いかなる選択であれ、強要せず、最終的には本人の同意を得ること。選択については、クーリングオフ(14日以内の同意の取り消し)と、いったん選択した働き方を変更できる権利(例えば1年単位)を保障すること。

B雇用延長後の雇用期間や労働条件などについては、いま雇用関係にある三菱電機が責任をもつこと。やむを得ず変更しなければならない場合は、労働者との事前協議と合意にもとづいておこなうこと。

C雇用延長と引き換えにした、定年年齢の引き下げや労働条件の切り下げには反対する。

D労働条件は、就労形態の如何(いかん)を問わず,同一労働同一賃金の原則にたち、各種の資格など専門性と熟練度を尊重すること。年齢による労働条件の差別をなくす。

E正当な理由のない雇用期間の一方的な打ち切りや労働条件の変更をしない。

※この政策は、「羅針盤」2月号外(ビラ)として門前で配布し、「このとおりだ」「共産党の政策に共感した」など、職場で大きな反響をよびました。再録いたします。


◇編集後記◇ _
昨年7月、衆議院予算委員会で、日本共産党の大森猛衆院議員は、三菱電機のサービス残業問題をとりあげ、労働基準法違反の是正を要求しました。
甘利労相「正常に戻すよう指導する」、小渕首相も「なくしたい」と答弁。今回の労働省の大手電機への監督調査は大変遅れたものです。期待に応えるものであってほしい。

●暮らしや職場の話題、情報、日本共産党への
ご意見、ご質問をE-Mail: melcojcp@osk3.3web.ne.jpでお寄せください。

Home Pageへ戻る || 目次に戻る