ところが、4月26日の衆院本会議では、地方自治体や「指定公共機関」がどのような役割を負わされるのか、政府は「今後検討していく」というばかりで、具体的なことはなに一つ明らかにしませんでした。
片山虎之助総務相は、「今後、個別法制の整備にあたって、内閣官房をはじめ関係省庁と協力しながら検討していくことになる」というだけ。自治体管理の港湾で、米軍や自衛隊の艦船入港にどのような措置を求められるのか、病院に傷病兵などの受け入れが求められることはないのか、自治体職員の動員はどうなるのかなどといったことには口をふさぎました。
また、どの民間企業が「指定公共機関」とされるのかも「当該機関の意見も聞きつつ総合的に判断する」(首相)というだけでした。
政府が指示・執行の例として示したのは、“ある地方の住民の避難を受け入れる団体間で話し合いがつかない場合に指示する”とか“避難勧告した住民の輸送で当該地方団体と連絡がつかない場合や態度が決まらない場合に国が直接行う”という場合。
「国民の理解」が得やすいケースを選んだものでしょうが、災害の場合でも広域的な自治体間の協力関係が結ばれているのに、なぜ首相の指示や強制執行権まで必要なのか、説明にはなっていません。
要するに、政府の姿勢は、強制力をもつ首相の指示権や強制執行権だけはさだめて、あとは首相の自由裁量にまかせるというもの。なんの歯止めもなしに強大な権限を首相に与えることになるのです。