労基法改悪案、今国会「見送り」は世論と運動の成果
廃案を掲げた日本共産党
日本共産党は、当初から廃案にすべきだと主張。労働者や労働組合からも反対の声が強まるなか、「修正案」はまとまらず、今国会見送りに。世論と運動が「修正」を許さなかったのです。 どうする労働法制 日本共産党はこう考えます
☆雇用を確保し、人間らしい労働と生活を実現する労働条件の抜本的改善をはかる
☆ 「緊急要求」として、労働法制の改悪の中止とともに、一方的解雇をやめさせる
■労働時間短縮、違法な「サービス残業」をなくし、雇用の拡大をはかる
・ 「サービス残業」をなくすだけでも、400万人以上の雇用を新たに確保できます
■労働基準法を抜本的に改正する
・1日拘束8時間、週拘束40時間とし、残業の上限を年120時間と定める
■ 「解雇規制法」を制定する
・企業の一方的な解雇や「希望退職」という名の退職強要をやめさせます
フランスでは35時間労働制が成立
日本で労基法改悪に反対する運動が起きているさなか、海の向うのフランスでは、2000年から労働時間を週35時間に短縮する(現在週39時間)法案が国民議会で成立しました。
法案は、移行期限に先立って労働時間を減らし、雇用を増やした企業に財政援助を行うことも盛込んでいます。
フランスだけではありません。イタリアでも週35時間労働時間法が国会に提出されています。スペインでも40時間を35時間に短縮するたたかいが起きています。
ドイツでは、金属産業などで35時間を実現し、さらに32時間への移行をもとめる運動がひろがっています。
日本の「サービス残業」・年間300時間(政府統計から推計)をなくすだけで、3月の完全失業者264万人をはるかに上回る400万人以上の雇用を新たに確保できます。
労基法の改悪に反対し、時短など労基法の抜本改正をもとめる労働者・国民のたたかいは、世界の流れにそったものなのです。
労働法制の改悪中止。一方的解雇をやめさせる
「深刻な不況から国民生活をまもる緊急要求」(第18回参議院選挙にのぞむ日本共産党の政策)より抜粋
失業率が過去最高を記録しているさなかに、橋本内閣は労働基準法を改悪して、1日8時間労働制を根本からくずし、首切り自由化=Aサービス残業合法化≠はかろうとしています。
これは、人間らしい生活を奪う長時間労働をはびこらせ5,400万労働者とその家族の生活を根底からおびやかすものです。雇用不安を増大させ、所得を減らして消費を冷え込ませる、このような改悪はきっぱり中止します。
大企業のリストラによる一方的な首切りが失業を増やし、労働者の所得を減らして消費を萎縮させています。
最高裁判例は、
A解雇を回避するあらゆる努力がつくされたこと。
B解雇の対象とする労働者の選定基準およびそれにもとづく人選の仕方が、合理的かつ公正であること。
C以上について、労働者個人および労働組合にたいし、事前に十分な説明をして了解をもとめること
@その解雇をおこなわなければ企業の維持・存続ができないほどさしせまった必要性があること。
―この「4つの要件」をみたさない解雇は無効だとしています。企業がこの基準を厳格にまもるよう指導・監督の強化をはかります。
失業給付にたいする国庫負担の削減をやめ、「給付延長」条項の弾力的運用で失業給付の改善をはかります。
"ルールなき資本主義"から、国民生活をまもる民主的ルールのある国へ
―国民そっちのけの「逆立ち」政治ただし、「国民が主人公」の新しい日本を―
(参議院選挙にのぞむ日本共産党の政策)より抜粋
労働条件と雇用、産業政策、金融、環境など、日本ほど大企業の横暴勝手がまかりとおっている国はありません。
日本共産党は、大企業をつぶせ≠ネどといっているのではありません。国民生活をまもる民主的なルールをつくり、それを大企業がまもるべきだと主張しているのです。
雇用を確保し、人間らしい労働と生活を実現する労働条件の抜本的改善をはかる
1日8時間労働と残業の上限規制は、79年前のILO(国際労働機関)1号条約で取り決められた国際的ルールです。
ところが、日本はいまなお批准していないのです。総労働時間は1900時間とドイツより400時間、フランスより300時間も長くなっています。「サービス残業」、「カローシ」がはびこり、無権利状態のパートや派遣労働者も増加の一途をたどっています。
日本共産党は、労働者が人間らしい労働と生活をとりもどすことができるよう、労働基準法の抜本的改正、解雇規制法の制定に全力をあげます。
■労働時間短縮、違法な「サービス残業」をなくし、雇用の拡大をはかる
フランスでは、雇用を拡大するため現行週39時間の労働時間を35時間に短縮する法律がつくられようとしています。(5月に成立しました)ところが日本では長時間労働は野放しのまま、依然として違法な「サービス残業」がはびこっています。
「サービス残業」は、政府統計から推計すると年間300時間におよんでおり、これによる不払い労働はばく大な額に達しています。「サービス残業」をなくすだけでも、3月の完全失業者264万人をはるかに上まわる400万人以上の雇用を新たに確保できます。
さらに、年間1,975時間の労働時間([サービス残業]を含まない)を400時間短縮してドイツなみにすると、約600万人の雇用が必要となります。ただちに「サービス残業」をなくすことはもちろん、労働時間を短縮して雇用の拡大をはかるための積極的な措置をとります。
■労働基準法を抜本的に改正する
日本共産党が提案している労働基準法改正案は、労働条件の全面にわたる改善提案ですが、なかでも次の諸点を重視したものです。
@ 労働時間を1日8時間・週拘束40時間とし、残業の上限を法律で年間120時間と定めるなど、労働時間を大幅に短縮する。
A 作業基準に余裕時間を組み込み、標準作業時間についての職場労働者の合意を義務づけ、過密労働を規制する。
B 安全で健康的な職場をつくり、労災・職業病を防止する。
C 全国一律最低賃金を確立し、賃金の底上げと労働の正当な評価をはかる。
D 賃金・採用・昇進・昇格における男女差別を禁止し、母性保護を拡充する。
E労働条件の不利益変更を禁止し、出向・配転などで労働条件が大幅に変更される場合には、本人の同意を義務づける。
■「解雇規制法」を制定する
ヨーロッパ諸国には労働者の雇用を守る法律があるのに日本の労働者は、雇用に関してはまったく無権利な状態におかれています。
@「解雇規制法」を制定して、企業の一方的な解雇や「希望退職」という名の退職強要をやめさせます。
A企業が労働者を雇用するときには、賃金、労働時間なをはじめ就業場所などの労働条件を契約文書に明記させ、パート・派遣労働者にたいする一方的な契約打ち切りをやめさせます。