―疑問に答えて

日本共産党が自民など6会派の「被災者生活再建支援法」(案)に反対したのは?


実態に合わない自民など6会派案― 藤木洋子衆院議員に聞く
(4月30日付「しんぶん赤旗」)

「被災者生活再建支援法案」(自民党など参院6会派提出)が4月24日の参院本会議で可決、衆院に送付されました。日本共産党は、同法案が阪神・淡路大震災被災者の切実な願いにこたえるものになっていないとして反対しました。
日本共産党の態度、被災者公的支援のあり方や今後のたたかいについて、藤木洋子衆院議員(災害対策特別委員)に聞きました。

−自民など6会派案に反対したのは…。

藤木 いま最も支援を必要としている阪神・淡路大震災の被災者に適用せず、今後の災害被災者に阪神・淡路でやっている支援以上のことはしないからです。参院の災害特別委員会採決のさい、傍聴の方々たちが口々に「あれでは被災地は助からない」といっていました。

―具体的には…。

藤木 住宅全壊の年収500万円以下の世帯に最高100万円、60歳以上で年収500万円から800万円以下の世帯に最高50万円を支給するなどというものですが、収入ベース、年齢とも対象が狭すぎます。法案の対象者を阪神・淡路の被災者にあてはめて試算すると、全半壊45万世帯全体の2割程度しかカバーしません。

―「阪神以上の支援はしない」とは…。

藤木 法案に盛り込まれた施策は、これまで兵庫県や神戸市が高齢者向けに行ってきたものです。これは最高で1世帯月2万5000円、2年や5年の期限付きの給付ですが、月々の家賃や生活費に消えてしまいます。今後起きる災害の被災者にもそれ以上のことはしないということです。

―本来の被災者支援はどうあるべきだと考えますか。

藤木 なによりも被災者の大多数をカバーし、生活基盤再建にまとまった額を必要とする被災地の実態にそくしたものでなければなりません。
日本共産党は早くから独自の法案大綱も発表し、超党派で「災害被災者等支援法案」を市民のみなさんと一緒にねりあげ、参院に提出しました。所得2000万円以下で全壊世帯500万円、半壊世帯250万円を上限に支給するもので「これだけあれば希望がもてる」と期待されていました。二重ローンや借金に苦しむ中堅層の生活再建を支援することで、税収も伸び、町に人が戻ってきて地域全体の経済回復も進みます。

―「6会派の法案が通らなければゼロに戻る」という意見があります。

藤木 法案に盛り込まれている施策は、法律がなくても被災地のみなさんの粘り強い運動ですでにおこなわせてきたことです。法案はこれを法律にするものに過ぎず、法律ができなければゼロではありません。

―法案の付帯決議に日本共産党は賛成しました。

藤木 付帯決議は、法案の内容を阪神・淡路に適用させために「行政措置」を政府に要求するということです。たとへ小額で対象規模が小さくても、いま以上に少しでも積み上げられる可能性があるということですから、当然だと思います。

―衆院に舞台が移るわけですが…。

藤木 「参院で通ったもので本当によいのでしょうか」と衆院の野党のみなさんに働きかけています。野党共同で法案が修正できれば、新たな局面が切り開けると思います。
修正のポイントは、所得ベース1000万円まで、支給の上限100万円を300万円、50万円を150万円に引き上げていく方向でと思っています。参院で超党派案を出した方たちが議論した到達点です。

―参考人質疑で小田実氏が「少しでもよりよいものにする努力を」と意見陳述しましたね。

藤木 その精神が大事だと思っています。参院で自民党は、ようやくまとめた案を審議して、被災者の声も聞き、よりよいものをつくりあげようという態度ではありませんでした。
すでに提出されている法案を取り下げ、自分たちの案に一本化するよう一方的に押しつけるという不誠実な態度に終始しました。今度こそ、地元での公聴会開催なども含め、十分な時間もとって審議をつくすこと、その中でよりよいものをつくりあげるという態度をとることを訴えていきたいと思います。


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