労基法改悪案
ただ働きや首切りの合法化…
本質変えない修正案

自民党と民主党など一部野党が合意した労働基準法改悪「修正」案は、8時間労働制の根幹を崩し、ただ働きや首切りの合法化など、日本の人口の4分の3にあたる労働者と家族の権利と生活に重大な被害を与えるという悪法の本質を少しでも変えるものではありません。

改悪案の柱の一つは、1日何時間働いても労資が決めた時間しか「働いていないとみなす」裁量労働制のホワイトカラー全体労働者への拡大です。

「修正」案は、裁量労働制の導入にあたって、労働者の同意や、拒否した場合に不利益な取り扱いをしてはならないことを労使委員会で決議するとしています。

しかし労働組合もない職場で労働者が「いやだ」と拒否することは不可能で、経営者に対等にものがいえる保障はありません。

現に裁量労働制を先取りした形で実施されている電機などの職場では、残業時間をきっちり申請する労働者はほとんどいません。結局、会社の意思で働き方が決まってしまい、何の歯止めにもなりません。

また、裁量労働制の対象業務について、三者構成の専門委員会を設置して、最低でも1年程度の検討をおこなうとしていますが、これは実施を1年先送りにするだけです。

「連合」内には、「専門委員会にゆだねるのは危険」とした意見もあり、「新たな裁量労働制は削除する」とした「連合」対案にはほど遠いものです。

99年4月に「女子保護」規定が撤廃されることにともなう時間外労働制について、「修正」案は、労働者の強い要求であった時間外・休日・深夜労働の男女共通の罰則つき法的規制にはふれず、育児や介護を必要とする女性労働者への「激変緩和措置」として、残業の上限を年間150時間とするとしています。

罰則がない「修正」では、法的拘束力がまったくなく、経営者が「努力義務」を果たさなかったとしても、なんら制裁を受けません。いまでも違法なサービス残業をまんえんさせている大企業などが強制力のないものを守るとは到底考えられません。

今回の「修正」案については、「連合」の補強要求を入れたと伝えられています。しかしこれは「連合」がかかげてきた新裁量制の削除、男女共通規制の法制化を柱とした対案とまったくかけはなれたもので、「連合」加盟労組のなかからも批判の声があがっています。

(「しんぶん赤旗」9/3より)


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