「リストラ」は業績向上に直結せず
労働省調査でも明らかに 「成果」はわずか、問題は多発
「リストラ」(事業の再構築)によるホワイト部門の正社員の削減は企業の業績アップに直結せず、逆に正社員に重い負担を負わせていることが、労働省がこのほど未来工学研究所に委託しておこなった調査「間接部門の効率化等の雇用への影響に関する調査研究」で明らかになりました。

調査は大企業を中心に341社にアンケート調査(1997年10月末〜12月中旬)し、主要業種の大企業8社には聞きとりで調査したものです。

■5年間で9割超す

それによると、総務、経営企画、財務・経理、人事労務・教育・福利厚生など本社組織のおもな部門(間接部門)で「リストラ」を実施した企業は、最近5年間で90%を超えています。

具体的には、電子メールやグループウェア(共同作業のためのコンピューターシステム)の導入、業務予算の削減、部課数や正社員の削減など、減量≠竍効率化″です。
とくに正社員の削減では、社員数を補充しない「自然減」の追求が73.2%と最も多く、関連会社への出向や転籍をすすめている企業も53.5%と多数を占めています。

正社員を減らす理由では、「業務の必要に応じて雇用する臨時、パート、派遣社員、契約社員の活用」と答えた企業が59.8%、「事務作業など付加価値の比較的低い仕事は非正社員に任せていったり業務委託してゆくので正社員の採用を減らす」が41.9%―など外部労働力活用志向≠ェ高い割合を占めています。

■社内の矛盾広げる

「リストラ」の結果、過去5年間に調査対象企業の本社正社員は1.97%減少していました。また今後5年間にさらに7.81%減少させることを予想しています。効率化≠フ「成果」として「社員のコスト意識の徹底」をあげた企業は59.9%、「総額人件費の削減」をあげた企業は59.0%―などです。

しかし調査結果は、間接部門の正社員比率と売上高経常利益率の伸び率を比較し、「必ずしも正社員の間接部門に属する比率が高いから直ちに経営状況が悪化しているとはいえない」と指摘。<P> 「外部労働力活用志向企業」の経常利益率平均伸び率は「内部労働力活用志向企業」より「わずかであるが高くなっている」が、「しかし、効率化のとりくみにより生じた問題点については、多くの項目で、外部労働力活用志向の方が内部労働力活用志向企業よりも該当すると回答した割合が多い」と分析。「リストラ」で正社員を減らした企業には、残った社員の負担増加など問題が多発していることを強調しています。

製造現場での徹底した「リストラ」・人減らしにつづき、本社機構などホワイトカラー部門でのリストラを追求する大企業の動きが目立ちますが、労働省の調査は、リストラ策が業績アップに貢献するよりも、かえって社内の矛盾を広げている実態を示すものとなっています。

(「しんぶん赤旗」8/27付より)


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