解雇規制と雇用創出が不可欠

(「しんぶん赤旗」8月5日付より)

6月の完全失業率が4.3%となり、過去最悪を更新しています。
これまでの高齢・若年層に加え、家計負担が重くのしかかる40歳前後の男性の失業率も過去最悪です。父親の突然の失業で、私立高校に通う生徒が授業料を払えず、自信のアルバイトではまかなえず、退学に追い込まれる事例も目立っています。

それだけに、政府は、雇用保険法の各種延長給付の実施などによって失業した人と家族の生活を守る手だてを急ぐ必要があります。

■注目される全労連の提案
有効求人倍率も過去最低水準の0.51倍です。職を求める人2人にたいし働き口は1人分しかありません。雇用数も減っており、製造業の場合、前年同月比で13ヶ月連続で減少しています。

こうした雇用悪化の要因は、大企業のリストラ「合理化」による大量の首切りにあります。消費増税など自民党政権の執政による中小企業の倒産などにあることも明らかです。したがって、雇用を守り増やす独自の手だてが欠かせません。加えて、消費税3%減税も急務です。

すでに、日本共産党は、参院選の中で、解雇規制法で雇用を守るルールの確立とともに、違法な「サービス残業」をなくし、労働時間短縮による雇用増を提案してきました。

全労連は7月末の定期大会で、解雇を規制し、失業者の生活と守り、雇用を拡大する「緊急雇用対策案」を提案しました。
この提案には、代議員からの歓迎の発言が相次いだほか、マスコミも関心をよせています。

「全労連(86万人)は(7月)30日の定期大会で、サービス残業などの削減により労働時間短縮を進め720万人の雇用を創出させるという緊急雇用対策指針を打ち出した。注目に値する方針だと考える」(「毎日」8月1日付社説)。

全労連の提案には、公共事業をゼネコン型から生活基盤密着が他に転換させることによる新たな雇用拡大も盛り込んでいます。医療・介護・福祉関連分野で140万人、30人学級実現で教職員を4万人、安全・防災などの拡充で50万人―。労働時間短縮による720万とあわせ、合計で「900万人の雇用拡大」をめざしています。

失業が深刻になると、労働時間を短縮して雇用を増やす対策を取る。これは欧州ではあたりまえです。フランスでは週35時間制を2000年から実施します。
日本政府はこうした国際的な流れに逆行し、8時間労働制をくずし、サービス残業を合法化する労働基準法改悪の道を打ち出しています。国会で継続審議となっている同法案を廃案に追い込むことは、雇用を守るためにも欠かせません。
見過ごせないのは、大企業の異常なリストラ、海外への工場移転が、国内の雇用不安をつくりだしていることです。

たとえば、電機産業の雇用者数は、92年の246万人をピークに減りつづけ、97年には220万人へと5年間で26万人も減っています。一方、海外の雇用者数は90年の62万人から96年の121万人へと倍増しています。(電機総研報告書)

■海外移転を野放しにするな
失業者が増えているというのに、こうした海外移転を野放しにしておいていいのか―。国内の産業を空洞化させるリストラには何の歯止めもない日本はあまりにも異常です。

欧州連合では、大規模な海外移転や、そのための企業規模の縮小・閉鎖、大量解雇などについては労資間で協議する仕組みがつくられています。日本でも、このようなルールの確立と、労働者の雇用上の権利を守る法律がどうしても必要です。


Home Pageへ戻る||目次へ戻る