こりゃひどい、ムチャクチャな提案だ!
これまでかちとってきた賃金・雇用のルールを破壊することは許せない
  2002年「羅針盤」3月号外

「定昇と残業代カット分だけで1万円の賃下げや」、「労働者が苦しむばかりの経営方針と施策だ、経営のビジョンを示せ!」、「専任の月俸切り下げも無期限か」の声が続出…。

賃下げも人減らしもルール破壊の横暴

99年の海外事業の失敗で1万4500人の削減・賃下げ、今回の春闘での会社提案も、またIT(情報技術)事業の失敗のツケを賃下げ・リストラで追い討ちをかけるものです。

「会社再建に実効がある」(会社側)といいますが、「なんの経営戦略もプランも示さず£ノみだけをおしつける」、「前向きの経営計画を示せ」の声があがっているのも当然です。

しかも労働者の働き方と将来生活設計を左右する賃金・雇用制度など労働協約の改悪で、これまでかちとってきた賃金・雇用ルールを一気に破壊し、低賃金体制をつくろうとするものです。

現行協約にある「定昇」や「3割残業割増」など18項目は、企業が労働者一人ひとりに保障し、約束したものです。労働者は、その契約・約束を土台にして、現在および将来の生活設計をたてています。それを「後のない危機」、「一時の痛み」の名で改悪することは許せません。現行協約を厳格に守ることは当然の義務です。

労働協約は、「労働者の地位を向上させるための権利」として労働者に保障されたものです。その目的に反することを「労働協約の改定」として、不利益に変更し、個々の組合員に押しつけ拘束することは、法の趣旨に反するものです。

◆ 職場の緊急要求提案 ◆

■ 賃下げ、時間外割増率や交替制や連続操業手当など、労働条件の切り下げは許さない。
■ これ以上、臨時・パート、派遣社員、管理職を含む人員削減は認めることはできない。
■ 会社提案は賃金、雇用など労働条件(労働協約)の変更に関する重大な内容を含むものであり、労働者 の納得と合意が必要である。それに必要な時間をとった職場討議を行うこと。

会社側の言い分には道理も根拠もない

今回の業績悪化の主な原因は携帯電話の需要を5億台〜6億台とIT市場の成長を過大に期待した横並びの過剰投資と過剰生産であり、もう一つはパソコンや携帯電話向けのメモリーなど世界的な増産競争と供給過剰による半導体価格の暴落からくるものです。

経営陣の時代変化を見ない横並びの経営路線の失敗にあることは明らかです。

会社側は「当期損失700億円」を強調しますが、実際は携帯電話の米・仏国生産拠点の閉鎖などリストラ費用1400億円を「前倒しできる損失を一気に(赤字)計上し、来期に『V字回復』を目指す」(『日経』2月25日付)ものであり、経営陣がいう「後のない企業危機」とは無縁です。リストラ効果で高収益をねらっているのです。

  加えて「01年度から3年間で1500億円のIT投資で年400億円のコスト削減」(伊藤・生産本部長)をめざしています。しかも、三菱電機のためこみ利益である内部留保は連結で1兆3397億円に達しており、利益をたっぷりためこんでいます。

企業の利益さえ上がれば労働者の生活などかえりみなくてもいいというのは、企業の社会的責任を放棄するものであり、許されません。

納得と合意を!

労働組合も「会社提案の内容は、長い当社労使関係のなかにおいて例のない内容も含めた提案。

組合員の今後の生活に極めて大きな影響を与える」「会社に対する信頼感を損ねる懸念のある項目も含まれており、組合としては慎重にならざるを得ない」「組合員がもつ疑問に最大限に答えていく」としています。

職場から「会社は職場の疑問に答えよ」「強行することをやめ、労働者の納得と合意を得よ」の声をあげましょう。
リストラ・賃下げに歯止めをかけるため、ストライキを背景に、職場の団結を強め、労組中央交渉団を激励し、たたかいぬきましょう。

「一気にあか@獅オてさっぱりする」という電機大手のV字回復への「ビッグ・バス方式」の会計処理とは?

電機大手がいますすめている「ビッグ・バス方式」(大きな風呂方式)とは、人員削減に伴う退職割増金、工場等の閉鎖費用などリストラにかかる経費を来期以降に発生が見込まれる損失も含めて数年分まとめて計上してしまう会計処理のやり方。

リストラ費用として今期3,500億円を損失を計上する松下電器の川上徹也取締役は「構造改革は今期で終了し、来期にV字型の収益回復を達成する」といいます。(『日経』2月25日付より)

◆◇サービス残業解消の厚生労働省「通達」徹底の労基署調査・是正を機会に
安心して仕事に励める職場をつくろう!
◇◆

「よかった、これでやっとまともに残業申請ができる」、「在場時間の記録ができるようになり、安心して仕事に打ち込める」など、喜びの声が職場であがっています。

「自殺・過労死」まで生む異常な長時間労働の温床となっている「サービス残業」(ただ働き)をなくすため厚生労働省が「企業に労働時間管理の責務がある」とする「通達」(01年4月6日)を出してから9カ月月。

労働者と家族の涙ながらの切実な訴えと日本共産党のねばり強い告発が、国会と労基署を動かし、今年1月の労基署の臨検調査で是正・指導がはじまったのです。

系電では、さっそく始・終業時間の正確な記録と対象者全員の12月と1月分のサービス残業の是正調査が始まっています。

これは昨年12月21日、日本共産党三菱電機伊丹委員会と大沢たつみ参院議員が、伊丹と尼崎の両労働基準監督署に厚生労働省の「通達」の徹底とサービス残業是正・監督指導を申し入れ、両労基署がいっせいに立ち入り調査をおこなったものです。

2月22日の国会衆院予算委員会では、日本共産党の大森猛衆院議員が三菱電機の長時間労働とサービス残業問題で小泉首相を追求し、政府も「調査・是正を約束」しました。

「サービス残業根絶法」の立法化を求める(大森衆院議員)

日本共産党・大森猛衆院議員の衆院予算委員会での追及(要旨)をご紹介します。

日本共産党の大森猛衆院議員は2月22日の衆院予算委員会で、サービス残業(ただ働き)解消にむけた厚生労働省の「通達」(01年4月6日)が出されているにもかかわらず、大企業ではサービス残業の是正が徹底されていないと指摘しました。

労働時間を把握する責任を使用者が放棄し、労働者に自己申告させる制度がサービス残業の温床になっているとして、自己申告制の原則禁止、「サービス残業根絶法」の立法化を求めました。

大森議員は、「通達」が出される1ヶ月前に、ICカード、タイムカードによる時間管理を廃止し、自己申告制のみに変更した三菱電機北伊丹事業所や西部研究所などの事例をあげました。

このなかで、労働時間は労働者が「自ら管理するもの」とする会社指示が出され、各部門ごとに上限が決められた残業代の総枠予算額を超えて残業代を自主申告できないようにしている実態を告発。日比労働基準局長は、調査・是正を約束しました。

大森議員は、これらが労働時間の把握を使用者に求める「通達」に反していると追及。坂口力労相は「タイムカードが望ましい。(「通知」の)文書にしたがってもらいたい」と答え、「通知」が「守られるよう努力したい」と約束しました。

◆ サービス残業根絶特別措置法 ◆

@使用者への実労働時間記載義務と不正記載を防止する労働者のチェック制度。

Aサービス残業が発覚した使用者への割増金とは別の制裁金の支払い。

こんどこそ、安心して働ける職場を

今回の労基署の調査・是正指導を機会に、「安心して仕事に励める職場づくり」をめざしましょう。

サービス残業や長時間労働をなくしていくためには、直接仕事の指揮をとられている管理職の方々の「通達」に基づく適正な「労働時間の管理」はもとより、一人ひとりの労働者の相互の協力・努力をはじめ、労働組合の日常の点検活動があってこそ、成り立つものです。

始終業時刻(在場時間)の正確な記載を行いましょう。
これまでの「上限枠」にとらわれず残業した分はキチンと申請しましょう。
管理職の方々の厚生労働省「通達」学習も始まっています。職場と家庭みんなで学習しましょう。
家庭の協力も大きな力になります。家族の協力も得たチェック活動と毎日残業をメモ記録する「残業日誌」運動を広げましょう。


Home Pageへ戻る || 目次のページに戻る