三菱電機は3年前、事業の失敗からグループ1万4500人の大規模な人員削減を強行。(正社員だけでも今年3月末までの2年間で約4500人削減)
一方で、「ITこそ成長分野」といって、半導体や携帯電話などに莫大な設備投資を行い、今年3月期決算では、2001年度を目標とする「中期経営計画」を1年前倒しで達成し、過去最高の大もうけをあげたばかりです。
今期「営業赤字転落」と宣伝している半導体事業を中心とする電子デバイス部門は営業利益951億円と大幅黒字をあげたのです。
携帯電話の「需要の読み違いが響いた」(谷口一郎社長)からといって、その経営の失敗のツケをまたもや労働者と下請け中小企業におしつけ、リストラ・人減らしを行うことは許されません。
■ 経営の開示、経営上層部の責任追及、拡大路線の転換
今回の「半導体の赤字」の主な原因は、IT(情報技術)市場の成長を過大に期待した電機各社の横並びの過剰投資と過剰生産で、もう一つはパソコン向けのDRAMや携帯電話向けのフラッシュメモリなど、世界的な増産競争と供給過剰によるメモリ価格の暴落などからくるものです。
こうした経営戦略の誤りと見通しの甘さによって業績悪化を招いたものです。いま、求められているのは、業績悪化の経営の実態の開示、経営上層部の責任追及、そして拡大路線の転換ではないでしょうか。
■ 雇用を守ることは、日本経済のまともな発展に不可欠
企業側は業績予想下方修正にあたり、その理由に「IT関連需要の失速が足かせとなり停滞を続ける国内外の経済市況に、いまだ復調の兆しが見えない」ことをあげています。日本経済が消費不況に陥り、電機産業も成熟期を迎え、これまでのように売上が伸びないのはだれもが知っているところです。
日本の大企業は、経営の拡大を優先させて労働者の解雇をはじめ、賃金、労働時間など労働条件の切り下げや福祉を犠牲にし、その結果として消費が落ち込み日本経済の行き詰まりと経営悪化を招いているのです。
いま、売上げの大幅増が見込めない中で、経営を成り立たせ労働者の待遇・福祉を改善させる経営方針こそ求められています。 リストラ人減らしに反対し、労働者の暮らしを守ることは、日本社会と経済の健全な発展にとっても不可欠です。
■ 人員削減でモラル低下ー 三洋電機会長の話
99年以降、1000人の人員削減を行った三洋電機の井植敏会長は、「人を整理ばかりやると、景気がさらに悪くなる」「結果的には太陽光発電システムの問題を隠すなど社員のモラル低下をもたらしたと思う。雇用不安が高まることで、仮に新製品開発のやる気が失われたら、メーカーとしては終わり」といいます。(「毎日」9月1日)
= ◇ 職場の要求と提案 ◇ =
日本の電機労働者はドイツより年間500時間以上も長く、そのうえサービス残業がはびこっています。サービス残業をなくし、労働時間の短縮に踏み込むなら、雇用は「過剰」どころか「不足」することにさえなるのです。
- 厚生労働省のサービス残業をなくすための「通達」を徹底し、サービスを根絶し て雇用の拡大を図ること。
- 開発・設計の段階から、基本的な評価ができ、製品化できるような余裕ある生産計画に改善すること。
- 「本人に対する意向の確認と本人の同意」を前提とした「メリット勤務制度」の「労使合意事項」(「適用解除」の権利、「不利益扱いはしない」)を厳守させる。
- 有給休暇の完全取得、労働時間の短縮をはじめ、労働基準法を厳守させる。
ーこの運動を職場からつよめましょう。