「危険な政権だ」笹森事務局長

「小泉改革」競い合う鳩山代表

2001年6月27日(水)「しんぶん赤旗」


連合と民主党に矛盾広がる
連合(日本労働組合総連合会)が小泉内閣との対決色を強めています。他方、連合が支援する民主党は、小泉首相と「改革」のスピード競争を演じ、連合と民主党との矛盾が広がっています。

小泉内閣は26日、「構造改革」の中身を示す「基本方針(骨太方針)」を決定しました。「倒産と失業」「社会保障改悪」「大増税」という“3つの痛み”を国民に押しつける計画です。

小泉政権との対決を訴える

連合の鷲尾悦也会長は19日開いた中央委員会で、方針が政府の経済財政諮問会議(議長=小泉首相)の議論の経過にてらして、医療や介護、福祉などくらしや雇用に直接かかわる分野に競争と効率主義を優先させようとする姿勢が強く、弱者切り捨てにつながるものと厳しく批判。小泉政権との対決を訴えました。

笹森清事務局長も、小泉「改革」を競い合う民主党の姿勢に、「本当にそれでいいのか」と疑問を投げかけ、不良債権の最終処理をすると失業率は5%を超える試算も紹介し、「『お前ら本当に死ね』という危険な政権だ」と強調しました。

連合幹部の発言は、働くものの雇用や権利を守るという労働組合の立場から当然のことです。この数年間をみても、国と地方の借金が666兆円にもふくれあがり、失業者は最悪の350万人を超え、自殺者は交通事故死者の約4倍の3万4千人と大変な事態が進行しています。こうしたことから、連合は「倒閣」「自公保政権交代」を打ち出したのです。

しかし連合が推す民主党は、「われこそ元祖改革」と主張し、鳩山由紀夫代表は「自民党のいう不良債権処理はたかだか12兆円。金融庁は150兆円あるという」とのべ、中小企業の倒産につながる処理を徹底して断行するよう求めました。

郵政民営化でも食い違う

小泉「改革」の目玉とされている郵政民営化問題でも、食い違っています。20日の党首討論では、民主党の鳩山代表が「小泉総理の立場と私の立場は何ら変わっていません。そこだけはご理解を」と民営化賛成を強調しました。

郵政労働者でつくる連合産別、全逓と全郵政は6月に相次いで開いた大会で、民営化を批判。郵政事業が縮小・崩壊をたどることになるなら、「重大な判断と決断をする」(全郵政)、「国民の生活セーフティーネットである郵政事業を守る」(全逓)との態度を表明しました。

民主党と連合の足並みの乱れは、地方政治の舞台でも表れています。

17日投開票された千葉市長選で、「連合千葉が推薦を決定してから、自民と公明が決めた」といわれる前市長「後継」候補が終盤、小泉首相とのツーショットを公営掲示板に張り出しました。連合千葉が民主党候補を応援せず、自民、公明と“相乗り”したことで、小泉首相の宣伝に利用された格好になりました。

複雑な心境だ ぼやく幹部

「こけにされた」と歯がむ連合組合員。連合千葉加盟労組の役員は「複雑な心境だ」といい、連合幹部も「いいようがない」とぼやきます。

その一方では、参院選に向け民主党と連合が政策協定を結び、組合員に民主党と候補者の支持を押しつける動きも強まっています。

「組合の意に反する候補者や時々の情勢に流されて、痛い目をする特定政党支持はもうやめた方がいい」(連合主要産別幹部)との声も出ています。組合員に支持を押しつける古い体質をのりこえ、労働者の願う政治実現へ労働組合の役割を発揮することができるかどうかが問われています。


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