11月16日、「MERIT勤務制度」 導入
「サービス残業」押しつけは、労基法違反!
羅針盤2000年12月号より


■ 法的に認められた裁量労働制には、あてはまらない「勤務制度」
三菱電機では、11月16日から「MERIT勤務制」が導入されました。
この「制度」は、一言でいえば「一定の範囲」の技術・事務職に適用することによって、サービス残業を無制限にさせることをねらったものです。

同時に、この「制度」は、法的に認められたこれまでの専門職種型裁量労働制とも今年4月から可能となった企画業務型裁量労働制とも違い、いずれにもあてはまらない「勤務制度」です。

従って、この「制度」導入によって「サービス残業」が押しつけられることになれば、労働基準法(第24条)が罰金つきで義務づけた賃金支払いの5原則違反となります。

■ 労働省がすでに是正勧告・指導
すでに日立では「Eワーク制」、東芝では「ACEワーク」いう名称で導入され、"サービス残業の温床になっており、労働省は「放置すれば、裁量労働制が骨抜きにされる」と、大手電機メーカーへ立ち入り調査を行い、今年6月末までに日本電機工業会にたいし、是正勧告・指導を行った「勤務制度」です。

三菱電機では、94年に「裁量企画手当制」が導入されていましたが、20時間分相当の手当が支給されるかわりに20時間以上残業しても、実際には上長の許可なしには残業代は申請できずに「サービス残業」がまん延するようになりました。

こうしたなかで、「制度の全面的な見直しを」の声が広がり、98年に事実上廃止されました。

■ 「本人の同意」、「在場時間の把握」を明記
今回の「MERIT勤務制度」は、主務職3号(約8千人)を対象としたものです。
しかも、この「制度」には従来の「裁量企画手当制」にはなかった、「規制事項」が明記されています。

それは、

@導入の際は「本人の同意」が必要であること

A使用者には「在場時間の把握」が求められていること

B本人に「適用解除」(撤回)の権利が認められていること

などです。

これは、全労連、連合というナショナルセンターの違いを超えた労働者・労働組合の労働法制改悪反対の運動とともに、労働省の電機工業会への監督指導に至る職場の「サービス残業」是正の粘り強いたたかいを反映した結果です。

■ 連合も「サービス残業をなくそう」と運動をはじめています!
三菱電機労組の上部団体である「連合」も「いま必要なのは、労働時間を短くすることです。残業がなくなれば、有給休暇がしっかりとれれば、みんなが家族と共に地域社会で暮らす豊かさが味わえます。

日本では、残業もいとわずに、長時間働く人が仕事熱心と見られてきました。企業も安い時間外割増賃金を利用して生産調整する経営を続けてきました。

こうした時代はもう終わりにしましょう。それには、せめて「サービス残業」をなくすことから始めましょう」と。

いま、「MERIT勤務制度」が導入されたもと、労働者と労働組合が団結して、「サービス残業」根絶の取り組みと合わせ、「本人の同意」「在場時間の把握」など、労働者がかちとった新たな「規制事項」を厳格に守らせていくことが重要となっています。


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