「羅針盤」2000年 1月号外
国民の声で政治が動く新しい時代をひらく年に



◆21世紀へ 企業の活動に民主的ルールを◆

新年おめでとうございます。

日本共産党への日頃のご支持、ご協力に心からの感謝申し上げます。

政治の新しい激動を予感させるなかで、2000年の新年を迎えました。

自民党政治のゆきづまりが深刻さを増し、これまでの政治の枠内では解決の手だてがないことが、今日ほどはっきりあらわれたことはありません。

数の力≠ナ悪政を押し通そうとスタートした自自公連立体制に、このゆきづまりを打開する能力も展望もないことも、はっきりしました。

昨年末の臨時国会では、共産、民主、社民の野党が結束を固めて、年金法改悪や衆議院比例定数削減法案などの強行を封じました。世論を背景に野党が結束すれば、衆院議席七割を占める自自公の横暴を封じることができることを実証したのです。

■目先の企業の利益はあがっても社会全体では成り立たない

ルールなき資本主義≠ニよばれ、日本の職場にリストラ・首切りのあらしが荒れ狂うなかで明けた2000年。「産業再生」法を強行採決し、人減らしをすれば企業の税金をまけてやるという労働者いじめのリストラやり放題の日本政府。

確かに、三菱電機や日立などの一つひとつの企業をみれば、リストラをすすめれば目先の利益は増える計算になるでしょう。
しかし、すべての企業がそれをやれば、雇用不安はひどくなり、国民の消費はますます冷え込み、経済への破滅的打撃になります。

経済がひどくなれば、結局は企業の利益もあがりません。企業の利益があがらなければ、もっとリストラをすすめようという悪循環におちいるのです。個々の企業では利益をあげる計算でも、社会全体ではなりたちません。

■社会のことを考えない行動をただすのが政治の役割

いま大企業と政府が一体となってすすんでいる道は、国民生活はもとより、国の経済、国民経済がなりたたなくなる道であるといえます。

大企業が目先の利潤追求第一で、社会のことを考えない行動をとったら、それをただすのが政治の役割ではないでしょうか。ヨーロッパでは政府が、そういう立場で行動しています。

失業問題の解決にむけて、フランスでもイタリアでも、法律で労働時間を短縮して、雇用の拡大をすすめています。解雇の問題でも、EU(欧州連合)として大量解雇への共通の規制がつくられました。

労働条件でも、中小企業でも、環境でも、金融でも、農業でも、あらゆる分野に企業活動の民主的ルールをつくる、そうすれば世界第二の経済力により、国民全体のつりあいのとれた発展も保障されるのではないでしょうか。

■雇用危機解決へ日本共産党の緊急提案

日本共産党は、昨年十一月八日に発表した「雇用危機を解決するための緊急提案」のなかで

@異常なリストラ・解雇の横行をおさえ、雇用を守るルールを確立する。

Aサービス残業の根絶、労働時間の短縮で雇用を拡大する。

B政府と自治体が介護、防災、教育などの分野で雇用を創出する。

C失業手当の延長給付、臨時の公的就労の提供など失業者へのセーフティーネットと仕事を

ー掲げています。

ことしは総選挙の年です。また、全国的な意義をもつ大阪府知事選、京都市長選が2月6日投票で争われます。
日本共産党は国民のみなさんとの交流、共同をいっそう広げ「国民が主人公」の新しい政治の流れをいちだんと飛躍させて、21世紀の早い時期に民主的政権をつくるために全力をあげます。

 
衆議院議員               ふじき洋子

党地区福祉・教育委員長   前田えり子 


◆人減らしで無気力や不安感深刻◆

■財界系の研究所が警鐘

「従業員の減少は、従業員の無気力を増長し、精神を不安定にさせる。従業員がこのような状態では企業の再生はありえない」━━━。

財界のシンクタンク、財団法人・社会経済生産性本部のメンタル・ヘルス研究所が、こんな調査結果をまとめていたことがわかりました。日産自動車の二万一千人をはじめ、大企業の人減らしに警鐘を鳴らすものとして注目されます。

■人間関係や仕事に影響 企業再生にならない

同研究所は、従業員の心の健康度向上のためのプログラムとしてJMI健康調査(メンタルヘルス診断)を実施しています。
今回、企業の経営指標と従業員のメンタルヘルスとの間に相関関係があるかどうかを調べました。従業員千人以上の企業のうち、経営指標の得られた二十三社を対象にしました。

もっとも多くのメンタルヘルス指標と相関関係が見られたのが従業員の増加率による影響です。従業員が減少すると、不安がつのると同時に上司や同僚との関係が悪くなり、仕事の負担感が増え、仕事の正確度が低くなり、さらに将来への希望が無くなることに相関があるとの結果を得ました。

昨年八月にまとめられた同研究所の『産業人のメンタルヘルスと企業経営』では、「従業員の減少が従業員のメンタルヘルスに大きな影響をもたらすことがわかった。人的資源がこのような状態に陥っては、今後の日本企業の再生はあり得ないだろう。近年の自殺や犯罪の増加を考え合わせるとき、安易な雇用調整を避けるべきだ」と結論づけています。

JMI健康調査は、従業員に職場環境や身体、精神などメンタルヘルスにかんする多様な質問項目に記入してもらい、それをコンピューターで処理し健康診断をおこなっています。
一九八〇年から実施し、今までに約百七十万人の調査実績をもっています。

■精神的資質の低下を危惧

調査にかかわった筑波大学名誉教授(社会精神病理学)の小田晋さんの話 企業にとって生き残りのためのリストラはやむを得ない面もあるだろうが、安易におこなわれるならば従業員の心を不安定にし、モラルと精神健康度の低下に直結することがはっきりした。

中高年を解雇することが若年層の活性化につながっていない。リストラという名の人減らしが従業員の精神的資質の低下を招かないか危惧(きぐ)している。人事政策からも産業精神衛生保健上の視点からも、新たなとりくみが求められている。

※【メンタルヘルス 】とは 精神や神経の異常の発見、治療と体、心身の健康をはかること。

「しんぶん赤旗」12月27日より


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