山崎真之介記念研究館
参考文献
「一九二四年一月一日〜」
一月一日 晴れ
花組のみんなは初詣に行った。わたしは一人、あの人のことを想った。
もう六年になるのだ。米田司令、真宮寺大佐、そして……あの人。
あの人の行方をどれほど探しただろう。
あの人の帰りをどれほど待っただろう。
まだ忘れられない。いや、忘れることなどできない。思い出が消え去ることはない。
一月二日 晴れ
葵叉丹。あの男のことが妙に気になる。以前、戦った相手だから?
違う。あの男に私はどこかで会ったことがある。だが、いつ、どこで?
葵叉丹、降魔の首領。黒之巣会の裏切り者。正義をあざ笑う男。
わからない。思い出しそうになると、頭が割れそうに痛む。
わからない。
一月八日 晴れのち雪
すみれの誕生日を祝う。すみれは珍しく花組の皆の祝福を素直に受けていた。
すみれもずいぶん変わった。私も、みんなも変わってゆく。これが生きるということか。
二月二日 晴れ
頭痛がひどい。米田司令が心配してくれている。午後、少し休む。
二月九日 雨
カンナが航海士の免許をもっていることを思いだし、翔鯨丸の操縦を教える。
紅蘭には花やしき支部全ての管理を教えるつもり。私がいなくてもできるように。
二月十八日 雨
夜、あの写真を見たら涙が止まらなくなった。あれが最初で最後の写真なのだ。
帝国陸軍対降魔課。何もかもが輝いていた季節。あの日々へはもう帰れないのだ。
二月二十二日 雨
最近おかしな夢を見る。外から見た私、その後ろに何かがいる。何だろう?
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