AD1の各種同等管
Left to right AD1(TELEFUNKEN),AD1/350(TELEFUNKEN),
4D1(TEKADE),AD1/400(LOEWE),AD1(RWN)
左からAD1(TELEFUNKEN)、AD1/350(TELEFUNKEN)、4D1(TEKADE)、AD1/400(LOEWE),AD1(RWN)(全てドイツのメーカー)です。
TELEFUNKEN AD1は、このグループの代表的な球です。写真では見にくいかもしれませんが、
プレートの細部の出来ばえ(特にグリッドの線材の細さとその加工精度)やガラス部分の完成度の高さは、さすがTELEFUNKENと思わせます。
同じくAD1/350は基本構造はAD1
と同一ですが、名前のとおりプレート電圧を350Vまで可能にした変わり種です。
4D1は大変珍しい球で、プレートは
初期のSIEMENS Edの物を思わせる造りとなっています。ガラスも通常の2倍は有りそうな重量感の有る球で、主に軍用に
使用された物と思われます。
AD1/400は、各社のAD1の内でも外形およびプレート形状とも最大級の真空管です。名前から
プレート電圧400Vでの使用を連想させますが、マニュアルによると =AD1と有ります。プレート損失15Wには見えない感じです。
最後のRWNの物は、ガラス部分は
TELEFUNKEN、内部構造はVALVOといった印象を受けます。
Left to right AD1(VALVO),AD1 tubular(VALVO),
AD1(TUNGSRAM),AD1(PHILIPS),4683(PHILIPS)
左からAD1(VALVO)、AD1直管(VALVO)、AD1(TUNGSRAM)、AD1(PHILIPS)、4683(PHILIPS)です。
VALVO AD1は比較的ポピュラーですが、独特の外観からファンの方も多いと思います。 ガラス形状は、この他に2,3バリエーションが有りますが、
ここでは省略しています。
次もVALVO AD1ですが、一見SIEMENS Edを連想させる外観です。 プレート上下も他のAD1と異なりマイカではなく陶製の物でがっちり固定されています。
主に業務用に供給された物と思われます。
TUNGSRAM AD1もVALVOと並んで良く知られた球です。 次のPHILIPSもそうですが、完成度の高い球に仕上がっています。
次は、PHILIPS独特のST形状と内部のラッカー処理の為、一見して同社製とわかると思います。 なお、AD1は、PHILIPS社が開発元とされております。
最後は、PHILIPS独特の4600番シリーズ(4624,4641,4650等々優秀な真空管が多い)の一つ 4683で、特性的には、TELEFUNKEN AD1/350と同等のAD1です。
Left to right KT231(TELEFUNKEN),4C101(TEKADE),
P15/250(TUNGSRAM)
左からKT231(TELEFUNKEN),4C101(TEKADE)、P15/250(TUNGSRAM)です。
この3本は、AD1系の中でもB4ベース(PX4等と同じ)を持つタイプです。 なお、AD1はSC(サイドコンタクト)ベースが普通です。
英国系のビーム管のような名前のKT231は、普通あまり聞かないですが、これもAD1と同規格でプレート側面のV字型に開いた大きな放熱フィンが特徴です。 なお、この球をSCベースにした物が、EBIIIとなります。
4C101も主に軍用に使用されたAD1と同特性の球で、後のEd系の所に出てくるSIEMENSのEbやEdに大変良く似ています。 この4C101がEdの原型になったのかもしれません。
P15/250は、ガラス内部がコーティング処理されていますので、中はよく見えませんが、やや大きめの縦長のプレートが入っています。
このTUNGSRAM社は大変ユニークなメーカーで、特に直熱3極管に関しては、プレート損失10W以下の物から200Wを越す物まで
その発表した種類の多さは、欧州のメーカーの中でも抜きん出ています。 別途項目を設けて紹介したいと思いますが、PX4,PX25,DA30等の有名な球の同等管はもちろん、米国の10,45や50の同等品までカバーしています。 もちろん、今日ではこれら全ての現物を紹介するのは不可能となっておりますが、
順次、出来るだけ紹介していきたいと思っています。
Left to right AD100(UNION),AD101(TELEFUNKEN),
AD102(TELEFUNKEN),AD1n(TESLA)
左からAD100(TELEFUNKEN製),AD101(TELEFUNKEN),AD102(TELEFUNKEN),AD1n(TESLA)です。
AD1系の中の傍熱タイプの真空管を集めてみました。 正確には、この4本の内 AD1n以外は、AD1系とは言えないかもしれませんが、便宜上同一のグループにしておきます。
AD100とAD101は、そのベース以外電気的には同一の球です。 AD100は、Ed等と同じ German Post7ピンで、AD101は、英国のML6等と同じB5ピンのベースとなっています。 特筆すべき点は、
両者とも、いわゆるすりガラスを採用している点です。 その目的はわかりませんが、初期のTELEFUNKEN社の球に若干見られる程度で、非常に特異な例と言えます。
AD102もベースは、G.Post7ピンで、プレート損失は25W。 後で出てくるかもしれませんが、同じくTELEFUNKENのRV210と同等クラスの真空管です。
最後は、変わり種のAD1の傍熱管 AD1nです。 他のAD1に比べ一回り小型の球で、写真でもカソードがのぞいているのが、確認していただけるかもしれません。 このAD1nは、旧チェコスロバキアのTESLA社のみ製造していたようです。
TUBE DATA
ITEM Vf(V) If(A) Va(V) Vg(V) Ia(mA) Ri(ohm) Gm(mA/V u Ra(ohm) Po(W) Pa(W)
AD1 4 0.95 250 -45 60 670 6.0 4 2300 4.2 15
AD1/350 4 0.95 350 -75 35 750 5.0 7.5 3000 6.0 15
4683 =AD1/350
P15/250 4 1.0 250 -45 60 --- 6.0 -- 2300 4.2 15 Va(MAX)=375V
AD100 4 1.6 300 -26 38 1450 4.4 6.3 5200 1.8 12
AD102 4 1.6 350 -53 70 860 5.8 5 4000 5.5 25 Va(MAX)=400V
AD1n 4 2.0 295 750ohm 60 --- --- -- 2300 4.2 15
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