当ギャラリーは、管球式アンプマニアの間で好んで使用されている直熱タイプの三極出力管を中心に紹介していますが、これらの真空管の多くは1920年代から1930年代中頃に発表された物やその改良品がほとんどです。  この為、現在ではさすがに入手が困難になってしまった物も有り、大変残念です。
 これら先人の残してくれた貴重な真空管の数々を1人でも多くの方に知っていただくためこのギャラリーを始めました。
 また、戦後に発表された比較的新しい真空管も含め出来るだけ詳しく紹介していきます。


 
AUDIO TUBES
 今世紀初め頃、欧州各国と米国は当時の最新デバイスであった真空管の開発競争に突入したわけですが、一部の例外を除いて表向きはお互いに相手を無視していたようです。 その結果として両者は、大西洋をはさんで独自の発展を遂げて行きました。
 当初は、当時のハイテク技術であった無線機(ラジオも含む)や電話回線用の比較的小型の需要が多かった訳ですが、1920年代の後半になって新たな需要が発生しました。 娯楽の主役であった映画のトーキー化です。 このとき初めて今日で言うオーディオ用の本格的真空管が必要となりました。
 欧米各社は、この需要に見事に応え、1920年代末から1930年代後半にかけての短期間に猛烈な勢いで数々の優秀な真空管を登場させました。 正に真空管の技術がピークに達した時代であり、また真空管が一番輝いた時代です。
 
EUROPE
 欧州製真空管の最大の特徴は、米国と異なり各メーカーが独自の規格の真空管を開発、発表した事です。 この為ほぼ同規格の物でもメーカーにより少しずつ規格や 内部構造、外観が異なります。
結果多種多様な外観と微妙な音質の変化を提供してくれました。 この辺が欧州管の持つ最大の魅力なのです。

1: German Post tubes(Part 1)

ドイツの業務専用管の一群です。 このグループは、米国のW.E.社の業務用管 101,102,104,205 シリーズに相当する真空管で、ドイツの他フランスやオーストリア等でも早くから電話回線などに盛ん使用されていました。
元々特定の用途向けに生産された物で種類が多く、また製造期間も長かったため改良品も含めると大変な数になると思われます。 今ではこれら全部を紹介する事は困難ですが、一部でも紹介したいと思います。 なお、今日ではオーディオアンプにも一部使用されるようになりました。

2: German Post tubes(Part 2)

Part 1.に続いてこちらでは、C、D シリーズを紹介しています。 3極出力管としても使用されたクラスで、それぞれWEの104、205シリーズに相当する真空管です。
 100%業務用のためドイツ真空管の中でも一際精密に製造されていると言う印象を受けます。 主に公共通信施設などで使用されていました。
 ただ、第二次大戦の影響も有り、残念ながら現存している数はあまり多くありません。
 

3: AD1 系

欧州のオーディオ用出力管の1番手は、やはりこのAD1から紹介したいと思います。
AD1 はドイツ、オランダ系の代表的な出力管の1つです。 ほぼ同時期に発表された米国の2A3とよく似た規格のため良く比較されてきました。
TELEFUNKEN,VALVO,TEKADE 他のAD1や傍熱タイプのAD1を紹介しています。

4: Ed 系

こちらはAD1 の業務用TUBE Ed です。 資料も少なく謎の多い真空管で、また限定生産品であった事から現在では希少になってしまった真空管の一つです。 新旧 Edの他、EbやEcも紹介しています。

5: RE604 系

ドイツのと言うよりも欧州の代表的名出力管RE604とその同等管からPX4クラスに近い出力管までを紹介しています。 米国の45に相当するクラスで、当時家庭用高級電蓄等の出力管として盛んに使用されていたので、欧州各国メーカーそれぞれ独自に球を開発、発表していました。 そのため大変種類が多く欧州管の典型的な例と言えます。

6: PX4 系

英国初の本格的直熱3極出力管として登場したのが、このPX4 です。 その後次第に改良され民生用を中心に長く使われました。 英国を代表する真空管の内の1本です。
  ここではPX4の新旧各バージョンと他のPP3/250、LP4,ACO44等の同等管も各種紹介しています。 

7: PX25 系

オーディオ用大型3極出力管の開発で、米国の250に遅れを取った欧州各社がその数年後、満を持して市場に送りだしたのがこのPX25系の真空管です。
 真空管としての完成度は、250を上回っていたかもしれません。 何れにしても、このPX25系とその発展型のDA30系は、欧州3極出力管の最高峰に位置する真空管群と思います。
 ここでも、各社ともそれぞれ個性的な真空管を提供してくれています。

8: RV258 系

英国を中心とするオーディオ用大型3極出力管 PX25,DA30系とは別系統とも言える一群がドーバー海峡を挟んで欧州大陸各国で普及していたことは、あまり知られていないようです。
 この系統は、残存数も少なくすべてを紹介するのは今日では困難となっていますので、それらの一部と言うことで今回紹介します。 

9: DA60 系

欧州でも英国だけに存在したと言っても良いプレート損失60W級の大変個性的な大型3極出力管が有ります。 DA60 を中心とするグループで、この他にその前身となった送信管もあわせて紹介しています。

10: American types

米国の製品とは無縁に思われた欧州の各メーカーですが、例外的に米国真空管の同等管を製造したケースが有りました。
 オリジナルに忠実な物、全く異なる形状をした物など様々です。 ここでは、そうした真空管のうち10系、50系を中心に紹介しています。
 これらの真空管の存在は、米国本国はもちろん日本でもあまり知られていないようです。 中には、意外に思われるメーカーの製品も有るかもしれません。

11: STC Valves(Part 1)

STC に関しては、説明するまでもない程著名な会社です。 19世紀末の米国W.E. 社の英国支店から始まり、数多くのW.E.同規格真空管を製造しています。
 いわゆる4000番シリーズと呼ばれるのもので、WEの持つ各種ノウハウとヨーロッパの製造技術が融合したプロ仕様真空管のもう一つの頂点に位置する存在です。
 Part 1ではそれらの内、3極出力管の代表的なものを紹介しています。

12: DH Pentodes(Part 1)

世界初の(直熱)5極出力管は米国より一足早くオランダで誕生しています。 小電力でも出力を稼げる5極管はその後、欧州全体に急激に普及して行きました。
 その種類の多さは、正に”星の数ほど”と言いたくなるほどで、3極出力管以上と言えます。
 Part1 ではそれらの内、初期の小型管を中心に紹介します。
 一時代を築いたこれらの直熱5極管も新型の傍熱タイプの登場で主役の座を降りる事になります。

13: Rectifiers(Part 1)

欧州整流管の第1回として、大型の両波整流管をいくつかご紹介します。 このクラスの整流管、特に大型の両波タイプは、欧州(中でも欧州大陸)独特のものと言えます。
 形状的にもバリエーションが有り、DA60、DA100 などのクラスのアンプに使用すれば、面白いかもしれません。




USA
 米国では、その合理主義の為からか、早くから規格の統一がはかられ、各社同一規格の真空管を競作しましたので、そのバリエーションという観点からは、欧州管には およびません。 ただ、時折ユニークな例も有り、これらも出来るだけ紹介していきたいと思います。
 また、今でも名品と言われるWESTERN ELECTRIC社の一群の真空管の存在の大きさは、言うまでも無いと思います。

1: Western Electric tubes(Part 1) (T.B.tubes)

Western Electric社の製品の内、いわゆる丸球と呼ばれる真空管を紹介します。
有名な 101,102,104,205 の各シリーズと一部他社製の同等管も合わせてご覧いただけます。
 元々電話回線の増幅用の真空管群ですが、オーディオ専用管がまだ登場していない時代でしたので、同社の業務用アンプにも一部使用されていました。
 どうしてわざわざ球形という造りにくい形状にしたのかと思われる方も有るかと思いますが、当時としては、ごく当たり前の形状だったのです。
 (少し重たい(アクセスに時間がかかる)かもしれません)

2: 10 系

10は米国では独自の進展をしたWESTERN ELECTRIC社の系統を除いて、オーディオ用出力管の正に原点となった真空管です。 ここでは、10系の中でも出発点となった  UV202から、210,10,VT62までの進化を紹介しています。

3: 12A - 71A 系

1種類の真空管で全てをこなしていた万能管の時代から、1920年代中頃には電圧増幅管、出力管と各専用の真空管が発達するようになります。
 米国での民生用出力専用管第1号と言えるのが今回紹介する12A系で、その12A系を少しパワーアップしたのが71A系です。 出力の表示がまだmWの時代の製品ですが、更にパワーの取れる新型管が登場してもなお使い続けられた米国を代表する小型3極出力管と言えます。

4: 50 系

1920年代後半米国でも大型のオーディオ専用出力管の需要が次第に高まり、民生用として発表されたのが250(後の50)です。 シングル使用で4W強と、当時としては画期的な出力管の登場と言えます。
 もう少し後に発表されるW.E.社の300Bが米国の業務用出力管の代表とすれば、250や50は一般用出力管の代表と言えると思います。
 ここでは、250やその同等管とその改良版である50を紹介しています。

5: 45 系

250の1年後に登場したのがこの245(後の45)です。 さっそく最新のRCA社電蓄に採用され、大変好評を得たそうです。
 後に5極管など高能率の真空管が発表されてからも家庭用オーディオ出力管の主役の座に君臨した米国屈指の銘球です。
 ナス管時代の245の他、ST管の45や軍用管のVT52他を紹介しています。

6: 2A3 系

245の発表後、もう少しパワーが取れ使いやすい真空管として出されたのが、この2A3です。 当初の製品は、1枚のプレートでしたが、後に2つのユニットを並列使用する構造に変更されました。 これほど仕様が変更になった真空管は、米国ではめずらしいと思います。
 2A3以降は、一部の改良品を除いて新たな直熱の3極出力管が登場することは無く、民生品としては米国で最後の真空管となりました。 以後は、能率重視の5極管、ビーム管の時代となって行きます。
 ここでは、初期の2A3からそのバリエーションを紹介しています。

7: Western Electric tubes(Part 2)

Part2では、丸球以後のWE社製直熱3極タイプの出力管をまとめて紹介します。
 WE社は、親会社が通信会社で有ったため、受信管や大型送信管の製造が主力でした。 その後、業務用アンプ(PAやトーキー用アンプ)部門にも進出するにつれ、必然的にオーディオ用真空管が開発されるようになりました。
 ここでは、そうしたタイプ 252A、275A、300A などを紹介しています。

8: RAYTHEON 4-pillar tubes(Part 1)

独立系の会社では大手に属するRAYTHEON 社ですが、1930年代前半を中心に独自の工夫をした一連の真空管を発表しています。
通称あんどん形プレートを4本のピラーで支持しているところから 4-pillar tube と呼ばれ、米国では今でも特に人気のあるシリーズです。
今回は、それらの内比較的小型の3極管を紹介しています。

9: RAYTHEON 4-pillar tubes(Part 2)

RAYTHEON 社4ピラーシリーズの続編です。 Part1の続きとして250の他、整流管、多極管を何本か紹介しています。
 また、同社の有名な送信管RKシリーズにも4ピラー管が存在しました。 そちらも合わせてご覧下さい。

10: 6L6 系

米国ビーム出力管の代表格 6L6系です。 良くも悪くも3極管時代の幕引き役になった真空管と言えます。 以後は安価で出力の稼げるビーム、5極管の時代が最後まで続く事となりました。
 寿命の長かった球だけに時代と共に進化し、そのバリエーションを増やしています。 また、欧州にも大きな影響を与えました。
 ここでは、欧州管、国産管を含めそれらのバリエーションを出来るだけ多く取り上げています。


[HOME]