2A3の各種同等管

 

Left to right early type 2A3(RCA) and 2A3(RCA/Cunningham),2A3(RCA Victor)

2A3-1  左から旧型の2A3(RCA),同じく2A3(RCA/Cunningham),新タイプの2A3(RCA Victor)です。
 50より使いやすく、45よりパワーの取れる球として1933年頃登場したのが、この2A3です。 この頃の2A3は、左2本のように1枚のプレートの物でした。 フィラメント自体も大変特徴的で、上下の平行な二本のピアノ線の間に極細のフィラメント線を10往復させるというものです。 フィラメントのエミッションから考えると原理的には、理想的な構造と思います。
 一見すると断線しやすいと思われるかもしれませんが、(60年以上経過した現在でも)今までテストした数10本の内、部分断線も含めフィラメント切れは皆無でした。 結構タフな真空管です。
 左は2本のカンチレバー式スプリングで、右は2個のコイルスプリングで、フィラメントに張力を与えるタイプの例ですが、後者のタイプが一般的です。
 一番右は、1930年代中頃に登場する2ユニット内部並列とした新型管で、写真のものは通称Hプレートと呼ばれる一般的な例です。 この時代のものは、1枚プレートのなごりでしょうかそれぞれ2個のコイルスプリングでフィラメントを吊る方式を取っています。
 なお、新型管登場は、量産重視の結果と思われますが、旧型の2A3がもう少し長い期間生産されれば、2A3の評価もさらに上がったと思われます。 


 

Left to right 2A3H(RAYTHEON),6A3(GE),6A5G(SYLVANIA)

2A3-2  左から2A3H(RAYTHEON),6A3(GE),6A5G(SYLVANIA)です。
 2A3Hは、大変面白い真空管で、外観は傍熱管の構造ですが、電気的には直熱管として動作する事になります。 カソード部分は、単にフィラメントのエミッションの効率アップを図るのみです。 写真では分かりにくいかもしれませんが、1枚のプレート内に3カ所筒状の部分があり、それぞれに各ユニットが納められ、内部で並列に接続されています。  また、プレートの片側に半円筒型の大型放熱板が設けられているのもユニークです。
 この2A3Hは、RAYTHEON製と聞いておりますが、大半が刻印ですが、何故か今まで見た全ての球が、わざわざその部分を削り取って有りました。 (マニュアルによるとSYLVANIAやNUも製造していたようです。)
 次の6A3は、2A3の6.3V管として1935年に登場しました。 足ピンも同じくUX4ピンで、プレートは、Hプレートと2枚プレートの物があります。
 6A5Gも、同じく6.3V管です。 この6A5Gも傍熱管とされていますが、カソードと言うよりも各フィラメントに極細のスリーブを被せただけで、完全に直熱管として動作します。 この時代には、傍熱管の技術も一応確立されていたので、なぜこの様な手法を取ったのか判然としないところです。 足ピンは、USオクタル(通常のGT管と同じ)です。 この球もHプレートと2枚プレートの物が有ります。
 


 

Left to right 6B4G(PHILCO),5930/2A3W(SYLVANIA),1276(SYLVANIA)

2A3-3  左から6B4G(PHILCO),5930/2A3W(SYLVANIA),1276(SYLVANIA)です。
 6B4Gも2A3のUSオクタルベースの6.3V管で、1937年頃発売されました。 この球もメーカー、製造年代によってHプレートと2枚プレートの2タイプが有ります。
 5930/2A3Wは、SYLVANIAだけの製品です。 Wと付くだけあって2A3の高信頼管で、主に軍用や、業務用に使われた真空管です。 この為、当時あまり一般には出回らなかったようです。
 形状も独特で、普通のGT管を数倍大きくした感じで、大変頑丈な造りをしています。 ベースは普通の2A3同様UX4Pで、プレートは、2枚プレートのみです。 一部では知られた隠れた銘球の1本です。
 最後の1276もSYLVANIAだけの製品です。 この球は、一部でW.E.の205Dの代替え品と紹介されたりしますが、これは正しくは有りません。 確かにフィラメント電圧4.5Vで、ベースも205D等と同じ Small UV おまけにベースのガイドピンの位置も同じですが、同じなのはここまでです。 1276は、特性的にはあくまでも2A3ですから、205Dや205Fとは別物でそのまま差し替えては使用できません。
 この球は、良くスピーカーなどで有名なALTEC社の箱に入っている場合が多いですが、おそらく同社のアンプで使用されていたか、205Dの代用に使用されたとしても適切にバイアス調整を行っていたはずです。
 この様に、誤った定説が他にもたくさん有りますので、順次紹介したいと思います。     


TUBE DATA
ITEM	Vf(V)	If(A)	Va(V)	Vg(V)	Ia(mA)	Ri(ohm)	Gm(mA/V	u	Ra(ohm)	Po(W)	Pa(W)	 	
2A3	2.5	2.5	250	-45	60	800	5.25	4.2	2500	3.5	15
2A3H	=2A3
6A3	6.3	1.0	250	-45	60	800	5.25	4.2	2500	3.2	15
6A5G	6.3	1.25	250	-45	60	800	5.25	4.2	2500	3.75	15	US octal									
6B4G	=6A3											US octal
5930	=2A3
1276	4.5	1.14	250	-45	60	800	5.25	4.2	2500	3.4	15	small UV

[HOME/GALLERY]