わさび通信第66号  (98年10月18日)



 9月定例会は、9月16日より10月2日まで開かれ、98年度補正予算、条例案件等の審議、97年度決算大綱質疑を行い、9意見書を採択して閉会しました。なお、大阪府に対して、財政再建プログラムの撤回と老人医療費助成の復元を求める意見書を全会一致で採択しました。

地質汚染問題 
より深い帯水層の汚染調査を!

 郡家本町にある松下電子応用機器株式会社が発ガン性のあるテトラクロロエチレンで地質(地層、地下水、地下空気)を汚染していることが明らかになって以来、私は市民の皆さんとともに、地質汚染についてさまざまな調査を行ってきました。その成果のひとつが郡家地域の推定地層断面図の作成です。「松下」は表層からわずか十メートルしかボーリング調査をしていませんが、この地層断面図から、その下に大きな砂礫層(地下水のある帯水層)があることが判りました。ここが汚染されておれば、広範囲の汚染になっていることが容易に推定されます。
 浄化対策には正確な汚染実態の把握が重要です。一般質問ではこの問題を取り上げ、「より深い帯水層の汚染の有無を確認すべきだ」とただしましたが、「ボーリングをすれば汚染を拡大する可能性があり、現時点では好ましくないと判断している」という答弁でした。現在では、汚染を拡大しないようなボーリング技術があり、その点をさらに追及しましたが、「慎重な対応が必要である」との曖昧な答弁に終始し、汚染対策の不十分さを露呈しました。
 推定数十トン以上ものテトラクロロエチレンが「松下」の地下にととどまっているとはとても考えられません。敷地内や地下水下流域にある深さ十メートル足らずの井戸の調査だけで、汚染の有無を判断するのは不十分です。早急に、汚染の広がりを正確に解明する手だてをとるように要望しました。
 なお、80年代後半に明らかになった市中央部の地下水汚染において、トリクロロエチレンの現在までの回収量は、汚染企業の第一製薬が三・五トン、水道部の大冠浄水場の処理施設で十トンということが明らかになりました。浄化には時間がかかります。


介護保険制度
一次判定の基準の明確化を

 介護保険制度の2000年施行に向けて、この十月、介護認定のモデル事業(認定作業の予行)が全国一斉に行われています。高槻市の場合、モデル事業対象者は百名です。
 要介護度認定は、65歳以上の人が申請すれば、73項目のチェック表によるコンピュータ判定(第一次判定)があり、その結果と主治医の意見書をもとに認定審査会で最終的な要介護度認定(第二次判定)が行われます。
 要介護度認定のもとになるコンピュータ判定は重要ですが、その判定基準が今回のモデル事業でも十分明らかになっていません。、本番でコンピュータ判定に不服の場合、保険者である市がその基準を問われても「わかりません」ではすみません。厚生省にその基準を明らかにするように申し入れるべきと強く求めました。



高齢者保健福祉計画
配食サービスの実現を

 来年99年が到達目標年である高齢者保健福祉計画について、各サービスの進捗状況を尋ねたところ、配食サービスがほとんど進捗していないことが明らかになりました。
 厚生省や府の補助を受けながら、府下の各市とも積極的に取り組んでおり、今年度の未実施は高槻市を含めわずか四市だけです。府の補助金制度を利用すれば、高齢者は安い価格でこの配色サービスを受けられます。これまで超党派で要望してきたことでもあり、計画目標達成のため、一刻も早くその実施を求めたところ、「前向きに検討していく」とのことでした。
 食事作りが困難になった高齢者の方へ、生活の基本である食の保障をぜひ実現べきです。



学校図書館問題
コンピュータ検索よりも司書の配置だ!

 文教経済委員会協議会で、今年度より三カ年事業として、「学校図書館情報化・活性化推進モデル地域事業」に取り組むとの報告がありました。この事業は、小・中・養護学校全校の図書室にコンピュータを設置し、自校の図書室の本を検索できるようにするとともに、中央図書館とも接続して検索・予約できるようにするものです。事業にかかる費用は、市負担はなく、すべて文部省負担であり、今年度は約五千五百五十万円とのことでした。
 しかし、コンピュータ検索のためには、蔵書のコーティングやバーコード付けなど膨大な作業が必要です。新たな人の配置なしには到底できる作業ではありませんが、肝心の人の配置はありません。しかも、今後、コンピュータのレンタル料やメンテナンス費など後年度の維持管理費がいくらになるなるか不明です。逆にこれらの費用がかさみ、専任司書の配置が遅れる可能性もあります。
 そもそも、「生きた蔵書」が少ない現在の学校図書館にこのような検索機能が必要でしょうか。学校図書館は、子どもたちが本に親しむ場を提供することが大切であり、検索機能の充実が必要な公共図書館と自ずとその役割りが異なります。
 高槻の学校図書館の充実を求める市民団体や現場教員の要望は、まず「生きた蔵書」の充実と専任司書の配置でした。今回の事業の導入は、政府の不景気対策の一環である予算のバラマキに安易に飛びついたものです。これまでの市民の思いや取り組みに逆行するものであり、私は、この事業には反対し、司書の配置の促進を強く求めました。



環境基本条例制定へ
ようやく一歩前進

 
環境問題への関心が高まるなか、大手企業では、国際市場で生き残るために、ISO(国際標準化機構)の認証の取得に懸命です。9000番シリーズは製品の認証、14000シリーズは環境マネジメントの認証です。地方自治体でも、来年度はこの14001の認証の取得ラッシュが予測されます。大阪府、大阪市も今年度の予算で認証を得る準備をしています。
 ところが、高槻市では、環境基本条例すら未だ制定していません。一般質問で、現在の状況を尋ねたところ、庁内プロジェクトをつくっていくとの答弁でした。計画、実行、点検、行動のシステムなしに環境保全は実行できません。私は、九二年から環境基本条例制定を要望してきましたが、ようやく一歩が踏み出され、全庁的な取組みがなされ始めます。


<編集後記>

◎ 9月議会では、多岐に渡り質問や発言をしましたが、紙面の都合ですべてを掲載できませんでした。また、地質汚染や学校図書館などについては、専門的立場の方々から貴重な資料提供やご助言をいただきました。ほうとうにありがとうございました。
◎ 地下水をはじめ地下の環境は、石器時代から祖先が残してくれた市民の財産です。「松下」に続き「ユアサ」でも地質汚染が明らかになりましたが、汚染企業はこの二社だけにとどまらない見通しであり、引き続きこの課題に取り組みます。
◎ 議会の活性化を目指し、議会活動等検討委員会は月1回のペースで検討を進めています。私も委員のメンバーです。議会へのご要望があれば、ぜひ、ご連絡下さい。
◎ 次号は12月上旬発行