わさび通信 第59号 (97年12月8日)
9月の定例議会で、私は、前島クリーンセンター(ごみ焼却場)で架空の賃金支出がなされていると、その全容解明を求めていましたが、これに対し、一〇月一六日の決算委員会で、市より、その調査結果の報告がありました。
それによると、過去4年間にわたり、なんと延べ167名分もの賃金、計133万6千円が不正に支出されていたのでした。早速、前島自治会より、市へ全額返還がなされました。また、名前を使われ、収入があったことにされて、市税を納めていた人には、納めすぎた税金分の返還作業もなされています。
年2回の前島地区の水路浚渫作業で、他人の名前、印鑑を使った自治会長からの請求を鵜呑みにし、実際にたずさわったのは誰で何人かという人数確認をせぬまま賃金を支払い続けてきたことに対して、市は、「不手際によるものと、責任を痛感している」「ご迷惑をかけ、深くお詫び申し上げる」との答弁でした。不正はただされましたが、今後は、個人を対象とした地元還元対策は止めるべきです。
新たな市民プールは、芝生にある総合スポーツセンター南側の市バス車庫を移転させ、その敷地に建設する計画です。市民プールの整備について、私は、かねてから「建設費や維持管理費がかさむ公認プールよりも、生涯スポーツの振興をふまえ、健康増進を目的にするプールにすべきである」と訴えてきました。
去る一一月一九日、市民プール整備促進特別委員会が開かれ、芝生の市バス車庫の移転先が先行取得できた報告と、計画中の市民プールの概要(下表参照)が明らかにされました。
前回六月の委員会では、観客席は二千人収容となっていましたが、一転して四分の一の五百人に縮小されました。しかし、プール建設の基本的方針が、「公認が取れ、府下レベルの大会ができるもの」となったままでした。また、水球も可となると、一・八m以上の水深が必要となり、市民が利用する時には水深を調節しなければならず、維持管理費もかさみます。
私は、施設を造る際には、建設費ととともに維持管理費も十分考慮すべきとする観点から、現計画の矛盾点を厳しく指摘し、毎年の市民大会が開催できるような規模の施設で十分であると主張しました。
大阪府下の各自治体では、今秋開催された「なみはや国体」のために、多くのスポーツ施設が建設され、そのうえ、市民の日常的な利用からはかけ離れた高水準の施設であるため、国体後の維持管理費にどことも頭を抱えています。例えば「なみはやドーム」では、初年度四億四千万円の大赤字でした。
私は、今後も、市民ニーズに対応したプール建設に取り組みます。
<資料> 市民プール計画案の施設概要
プール 50m×9コース(50m×25m) 水面積 1250u 屋外
*水深を変えることにより、水球も可能
25m×7コース(25m×15m) 水面積 375u 温水
幼児用プール 水面積 200u 温水
ジャグジー 水面積 10u 温水
健康増進プール 水面積 100u 温水
観客席 約500人〜700人収容
* スタンド下は、管理室、機械室等に活用する。
管理棟 管理室(更衣室、採暖室、事務所、控室、救護室、トイレ等)
機械室 延床面積 約6000u (複合施設部分は除く)
自転車駐車場 約500台
自動車駐車場 約130台(2層式)
阪神・淡路大震災後、市街地の公園の重要性が見直され、市街地に防災のための公園をつくる「グリーンオアシス事業」が各地で行われています。
その一環として、今年の三月議会、日本たばこ(JT)医薬研究所の北西側の空き地(JT所有地)を市が買収して、公園にする計画が明らかにされました。当初数年かかって買うとのことでしたが、この九月議会では、国の補助金が下りることになり、渡りに舟とばかりに、一挙に買う方針が出されました。さらに、一〇月三日の都市計画審議会では、「都市公園」の決定がなされました。
しかし、この空き地の向かい側は、医薬研究所の危険物を貯蔵しているとみられる施設や実験動物などを処分する焼却炉があり、災害時には、むしろこのような施設から避難しなければなりません。現実に、阪神・淡路大震災の際、地震発生直後、近隣住民は、「研究所から何かが漏れ出ていないか」と恐怖に晒されました。
この研究所は、市とJTとの間で安全協定が結ばれており、条文のなかで「実験被害」が定義されています。すなわち、潜在的な危険性が常につきまとう施設であり、その隣りに、災害時の避難場所となる「都市公園」を造るとは、あまりにも支離滅裂な計画です。
私は、三月議会、先日の都市計画審議会でも、この点を厳しく指摘しましたが、多数に押し切られました。現状の空き地のままJTが所有し、研究所の安全確保のための緩衝地帯としておくことが一番です。なお、市の購入予算は、四億三千三百五十万円(千六百九十二u)です。無計画な町づくりの典型のようで、残念です。