私の主張

 第四次「都市再生緊急整備地域案」及び「地域整備方針案」に対する意見
                            
(2004年4月22日提出、4月29日掲載)


都市再生本部では4月13日より22日までの10日間、第四次「都市再生緊急整備地域案」及び「地域整備方針案」について、市民意見の募集をしていました。
そこで、私は、22日に下記の意見を提出しました。


高槻駅周辺地域については、第四次「都市再生緊急整備地域案」及び「地域整備方針案」から削除すべきである。

<理由>

@都市再生緊急整備地域案(以下、整備地域案)については、ユアサ工場と大阪医科大学以外の土地も整備地域に入っているが、なぜこのような線引きをしてエリアを決めたのか、その説明がない。場所がJR高槻駅周辺の市の中心部であり、公共施設の整備もされ、また税金も投入されるのであれば、なぜこのエリアのみを緊急整備地域に指定しようとするのか、その理由を市民にわかりやすく明らかにして、行政の説明責任を果たすべきである。エリア指定の根拠が明確でなく、かつ市民レベル・議会での十分な議論がない以上、整備地域として指定すべきでない。

A地域整備方針案(以下、整備方針案)の「整備の目標」の項には、「JR高槻駅周辺において、大規模工場跡地の土地利用転換及び医療系大学の建替えにより、商業・居住機能のほか、医療・福祉機能等、多機能な複合都市拠点を形成」とあり、また「都市開発事業を通じて増進すべき都市機能に関する事項」には「駅北側地域においては、大規模工場跡地の土地利用転換により、商業、居住、福祉機能等を導入」「駅南側地域においては、医療系大学の建替えによる教育・医療等の機能の高度化」と書かれている。しかし、具体的にどのような建物ができるのか、これだけではいっさい不明である。パブリックコメントで意見を求めるのであれば、単なる機能の説明だけでなく、この機能をもたせることにより、どのようなまちができるのか、具体的にイメージできるものを明らかにすべきである。たとえば、商業機能については、この2月にオープンしたばかりの駅前再開発ビルや地元商業に影響があるのかないのか判断の材料を公開すべきであるし、また、居住機能についても、超高層マンションなのか住宅街なのかによっても周辺への影響は大いに異なり、これらについても情報を公開すべきである。市民意見を求めるのであれば、この開発で高槻市の現状がどのように変わるのか、どのような影響、効果をもたらすのか、もっと具体的に情報を公開して意見を求めるべきであり、これらが不明なま単に機能だけを列挙して整備方針案を決定すべきではない。

B 駅前の機能をどうするのか、市民レベルでの議論がないまま、整備方針案を決めるのは、市民との協働のまちづくりの理念に反している。現在の高槻市の各種行政計画、現状を踏まえ、36万人市の玄関口としての駅前にはどういう機能をもたせるのがいいのか、商業機能、居住機能、医療・福祉機能でいいのか、市民レベルの議論が必要である。36万人市に相応しい玄関口には今後どのような機能が必要なのかの議論がなされないまま、市民不在で整備方針案を決定すべきでない。

C整備方針案策定にあたっては、商業機能について、地元商業への影響を十分考慮しなければならない。高槻駅南側の20年以上前に再開発されたビルの現状、高槻駅北側の本年2月にオープンしたばかりの再開発ビルの現状、駅周辺の商店街、あるいは市内の商業の現状等を十分踏まえた議論が必要である。今回の都市再生緊急整備地域の指定については昨年9月に初めて明らかにされたもので、市民にとっても地元商業者にとってもまさに寝耳に水の話である。これ以上駅前に新たな商業機能を持たせることが高槻市の活性化につながるのかどうか、慎重にも慎重な検討が必要である。そのためにも商業機能の具体的な案を公開し、まず議論をすべきであり、これらの手続がないまま整備方針案を決定すべきでない。

D  整備方針案の「公共施設その他の公益的施設の整備に関する基本的事項」には、「北大阪地域の医療機能等の充実強化に資する医療系大学の建替え」とあるが、具体的にどのような内容なのか不明である。市民意見を求める以上、具体的にどのような内容なのか、そのことが高槻市や北大阪地域にどのような効果をもたらすのか公開すべきであり、このようなあいまいなまま整備方針案を決定すべきでない。

E 整備方針案には整備地域に指定された場合の高槻市の財政負担がいっさい明らかにされていない。高槻市の財政は今後ますます厳しくなることが予測され、行財政改革に取り組んでいるが、このような財政状況下で公共施設の整備等を進めるのであれば、市の負担はどれだけ必要なのか等の市の財政負担にかかわる資料が必要である。その額も市民にも議会にも明らかにされないまま、公共施設の整備も含めた案を決めるのは問題である。また議会には、大きな行政計画の決定については財政的にどうなのかチェックをする責任がある。議会にも財政上の説明がなく、また議論もないまま政令が公布され、整備方針案を決定するのは、議会軽視であり、現状では整備方針案を決定すべきでない。

F今回のパブリックコメントはパブリックコメント手続の趣旨を逸脱している。まず、意見募集にあたっての公開資料が極端に少ない。高槻駅周辺については整備地域案の地図と整備方針案のA4版2枚のみであり、整備方針案にはわずか約300字の記載しかない。また意見募集期間も1999年のパブリックコメント関する閣議決定では1ヶ月程度となっているにもかかわらず、わずか10日間だけである。しかも、意見募集については市のホームページに掲載されているものの、高槻市の広報には掲載されておらず、市民のパソコン環境や市のホームページへのアクセス状況を考えると、市民への周知が徹底されたとはとても言えない。今回のパブリックコメントは政令公布に関する手続である以上、少なくとも1999年閣議決定の趣旨を十分尊重すべきであるし、まして駅前という公的空間にかかわる内容である以上、市民的議論が必要不可欠である。そのためにも、もっと市民が理解しやすいように豊富な資料を公開し、十分な議論の場と時間を保障すべきである。わずかな資料でかつ10日間という短期間の意見募集で政令公布することになれば、あまりにも市民不在の手続と言わざるを得ないし、また市民の意見を聞きましたという既成事実をつくるだけの手続ではないかと思わざるを得ず、パブリックコメント制度について市民の不信感を抱かせる結果にしかならない。閣議決定の原点に立ち返り、もっと豊富な資料と時間的保障をすべきで、今回のようなパブリックコメントで整備地域の指定や整備方針の決定はすべきでない。

G高槻市では今「まちづくり条例」が検討されているが、地方分権時代のまちづくりの主人公は市民である。まちづくりの範を示すためには、市民や議会で、都市再生緊急整備地域指定に係る議論をもっと時間をかけて行うべきである。市民や議会が十分に関与できないまま整備地域案や整備方針案が決定され政令公布となるなら、この都市再生特別措置法の手続は、地方分権時代の住民自治の精神に反するものと言わざるを得ない。市民レベルや議会での議論が行われていない以上、高槻市駅周辺については整備地域として指定すべきでないし、また整備方針も決定すべきでなく、第四次「都市再生緊急整備地域案」及び「地域整備方針案」から削除すべきである。。