私の主張

 e-たかつき計画(原案)に対する意見
                            
(2004年2月15日提出、2月17日掲載)

*高槻市では1月25日より2月15日の間、e-たかつき計画(原案)に対する市民意見の募集をしていました。
そこで、私は、下記の意見を提出しました。
2月15日以降、市のホームページには、この原案は掲載されていませんので、原案を作成された市長公室及び総務部の了解をいただき、併せて掲載します。
     e-たかつき計画(原案) 2月2日付け訂正表
      (641BK)  (51BK)

 


 e-たかつき計画(原案)に対する意見

5691123 高槻市芥川町2−16−17

二 木 洋 子(50歳代)

 

表紙>

 

意見:計画原案(以下、計画案)の作成者は「高槻市行政事務改善委員会」になっているが、「高槻市」とすべきである。

理由:高槻市地域情報化推進市民会議に1219日に提出された資料6によれば、計画案は2002年から庁内で検討がはじまっている。最終的に20031125日に庁内に設置されている行政事務改善委員会(助役がトップ、部長級で構成)で検討され、この行政事務改善委員会が20041月7日に市長宛に建議し、その建議に基づき、本計画案を市長が作成したものである。このままの表紙だと、e-たかつき計画の作成者は市長ではなく、行政事務改善委員会になることになる。

 

意見:計画策定年月を入れるべきである。

理由:この計画案には、策定年月が表紙にもどこにも書かれていない。行政計画には作成者とともに、作成年月を市民に明らかにすべきである。

 

意見:計画がまだ案の段階で、これから正式の計画を策定するのなら、表紙にはっきり「原案」と表示すべきである。

理由:市民に計画がすでに策定されたものと誤解を受ける。

 

<はじめに>

 

意見:計画策定の目的が、IT技術を利用して住民サービスの向上をめざすためであることをもっと強調し、市民にわかりやすく書くべきである。

理由:どのような計画であれ、「はじめに」の部分は、市長がなぜこの計画を策定するか、その目的を述べた重要な部分である。また、行政計画は、市民に対してわかりやすいものでなければならない。本文20行のうち、最初から12行はITをめぐる諸状況が書かれているが、庁内職員向けに書かれているように読める。実際、この部分は、計画策定の基礎資料(計画案P19参照)に使った、2003613日付「電子自治体研究部会報告書」の「提案の趣旨」に書かれている文章とまったく同じである。この報告書は庁内組織の電子自治体研究部会が同じ庁内組織の情報化推進委員会に報告したものであり、あくまで庁内組織に対する文章である。本計画は市の行政施策の計画であり、庁内職員のみを対象にした計画ではない。たとえば、高槻市の現在までのITに対する取り組み及びその現状を踏まえた上で、今なぜこの計画が必要なのかを市民の立場にたった視点から明らかにするべきである。

 

<第1章 ITを取り巻く環境−前書き(P2〜P9)>

 

意見:住民基本台帳ネットワークシステム(以下、住基ネットという)についても、ていねいに説明すべきである。

理由:電子自治体を推進するための基盤整備として住基ネットが20038月に第2次稼働し、2004年1月には公的個人認証サービスが開始された。この公的個人認証サービスは住基ネットを使って行われる。従って、電子自治体の基盤になる住基ネットについて、盛り込むべきである。

 

意見:計画案は20041月作成と聞いているが、P2の状況説明の記述が古く、行政手続オンライン化3法制定の動きや2003年総務省作成の電子自治体推進指針(高槻市情報化推進市民会議1219日提出参考資料4)策定などの経過も入れるべきである。

理由:現状については最新の動きを入れるべきである

 

意見:P3の電子市役所の説明では、電子自治体の定義をはっきりさせ、電子市役所構築により、市民サービスがどのように向上するのか、明確にすべきである。

理由:電子自治体の定義があいまいで、かつ市民サービスの向上に電子自治体がどうつながるのか、まったく不明である。

 

意見:P4の囲い込みのなかのLGWANの説明に、共同アウトソーシング(外部委託)のことを入れるべきである。

 

理由:P3のLGWANの説明とP4の図及びその下の説明があわない。P3の説明にもあるように、LGWANの目的のひとつは共同アウトソーシングである。このことが市民にもはっきり判るように、LGWANの説明は統一すべきである。

 

意見:P5の公的個人認証サービスの説明中、いわゆる公的個人認証法とあるが、電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律(いわゆる公的個人認証法)とすべきである。

理由:法律の名称は正確に書くべきである。

 

意見:P6の図に、共同アウトソーシングのイメージを入れるべきである。

理由:市民にわかりやすくするためには、現実にできうる限り近いものを示すべきである。重要な要素を省略すると、間違ったイメージをもたれる。

 

意見:P7のブローバンドやモバイル端末の普及状況の説明は短くすべきである。

理由:本計画とそれらの普及状況がどう関係するのか、よくわからない。

 

<第1章 T国・府の状況 2 大阪府>

 

意見:最新の動きを入れるべきである。

理由:2001年度につくられた「電子府庁アクション・プラン」は2003年度までのため、大阪府では、現在新たなプランを策定中である。新たなプランのために、200312月には、大阪府IT推進懇話会から提言も出されている。このような最新の動きも入れるべきである。

 

<第1章 T国・府の状況 3大阪電子自治体推進協議会>

 

意見:公的個人認証サービスの実用試験についての記述は削除すべきである。

理由:LGWANや公的個人認証サービスについて、協議会が果たす役割はおおきいのであろうが、実用試験は高槻市が行ったと聞いていた。実用試験に主体はどこなのか、明確にしておくべきである。

 

<第1章 U本市の状況 1情報化の現状>

 

意見:市の取り組んできた経過を年表にまとめ、かつ現在の39システムの名称などを表に示すなど、高槻市が取り組んできた経過、現状を市民にわかりやすく説明すべきである。また住基ネットに対する取り組みや現状についても説明すべきである。

理由:本計画は、市の現状、課題を踏まえて市民サービス向上のためにどのように情報化を進めていくかを明らかにしたものである。従って、この現状の部分は課題を理解してもらうためにも、市民に特に丁寧にわかりやすく説明すべきである。

 

意見:市内小・中学校での情報教育の取り組み(パソコン整備)についてもふれるべきである。

理由:教育委員会の情報教育の取り組みも市民に明らかにすべきである。

 

<第1章     U本市の状況 4セキュリティと個人情報保護>

 

意見:「情報セキュリティポリシー」は策定済みとの表現があるが、まだ完全にできていないことをはっきりさせておくべきである

理由:現状はそのまま書くべきである。

 

意見:個人情報保護条例の改正については、具体的にどのように改正したのか、その中身を市民にわかりやすく説明すべきである。

理由:高槻市は他市に先駆け、ネットワーク社会に対応するために個人情報保護条例を改正した。従来より、全国の自治体のなかでも高槻市は個人情報の保護には特に力を入れてきたことは誰しもが認めるところであり、このことを市の姿勢として、もっと強く打ち出すべきである。

 

<第2章 基本方針 1電子自治体実現のための3つの指針>

 

意見:指針のなかに、個人情報の保護の徹底を入れるべきである。

理由:高槻市は早くから個人情報保護条例を策定し、人権としての自己情報コントロール件を保障してきた。したがって、2003年7月にネットワーク社会を視野に入れ、他市に先駆け、個人情報保護条例を改正した。市民のプライバシーを守ることは人権に係る重要な施策であり、この個人情報の保護の徹底を本計画の重要な指針とすべきである。このことは2003年8月総務省自治行政局作成の「電子自治体推進指針」の重要課題の中にも入っている。

 

意見:P14の実現すべき将来像の図は、市民中心の図にすべきである。

理由:この図では、何がいいたいのかよくわからない。将来図を書くのであれば、電子政府・電子自治体構築により市民サービスがどのように向上するかの図にすべきである。

 

意見:p14の下の説明文の「」のつけ方、及び、行変えがおかしいので、直すべきである。

 

意見:ユビキタス都市という言葉が出てくるが、ユビキタスを削除する。

理由:計画案の後にある用語解説集には、ユビキタスとは「身の回りのどこにでも利用できるコンピュータがある環境」とある。電子自治体の領域と、ユビキタスネットワーク社会の領域は同じではない。高槻市がユビキタスネットワーク社会をめざすのであるなら、それについてもっとわかりやすい具体的な説明が必要である。あえてここでユビキタス都市という必要はない。

 

<第2章     基本方針 U推進体制 1推進組織>

 

意見:抜本的な改革は、トップの強力なリーダーシップが必要であるではなく、全庁的体制が必要であると変えるべきである。また実務を行うIT推進本部の下に課長級の幹事会の設置を入れるべきである。

理由:アクションプランをみても、電子自治体は全庁的な取り組みが必要である。トップダウンだけでは、行政施策はうまくいかない。市民と直接対応している、所管課が、現状の課題からITを使ってどうサービス向上をはかるかの問題提起から高槻市の情報化計画は構築すべきであるし、進めるべきである。そのためには、実務者レベルでの幹事会を設置し、進捗状況等の点検・調整等を行うべきである。

 

意見:地域情報化推進市民会議の設置を推進組織の中に盛り込むべきである。

理由:計画は市民意見を反映させて進めていくべきである。P20の推進体制の図には市民会議のことが書かれているが、この図では情報システム課との間に矢印がついている。市民会議はIT推進本部との間で矢印をつけるべきである。

 

<第2章 W留意点 1情報セキュリティ対策と個人情報保護>

 

意見:この部分は留意点ではなく、指針の中に入れるべきである

理由:前述したように、高槻市が個人情報保護条例を改正した趣旨を尊重すべきであり、今後とも、電子化を進める上では、個人情報保護を徹底させるべきである。

 

<第3章アクションプログラム V個別プログラム1)行政サービスの電子化 >  

 

1)電子入札

意見:実施内容に、「高槻市内の入札に参加している事業者のIT化の実態もふまえ、かつ十分意見を聞いて、実施する」と入れるべきである。またアウトソーシング(外部委託)の事業であることを明確に記すべきである。

理由:社会経済状況が厳しい中、現在の入札参加事業者のIT化の実態も十分考慮する必要がある。また、電子入札をすれば透明性の向上につながるとはかぎらないし、アウトソーシングによる費用対効果も十分検証しなければならない。このことがわかるような文章にすべきである。

 

2)電子申請

意見:実施内容にアウトソーシングについても触れるべきである。

理由:電子申請のうち個人認証の必要なものは、明らかにアウトソーシングでなければ行えない。このような事実を市民に明確にすべきである。

 

3)電子申告

意見:実施内容にアウトソーシングで行うことを明記すべきである。

理由:電子申告では公的個人認証が必要であり、またアウトソーシングの部分が必要である。このような事実を明らかにすべきである。

 

4)電子決済

意見:実施内容にアウトソーシングで行うことを明記すべきである。

理由:電子決済も公的個人認証が必要であり、アウトソーシングの部分が必要である。これらのことも明記すべきである。なお、上記1)〜4)については、いいこと尽くめで書かれているが、1市だけでは実施できないアウトソーシングが前提のプログラムであり、このことについては、個人情報の保護の面や費用対効果などの課題も明記すべきである。

 

意見:実施内容のコンビニ収納は削除する

理由:コンビニ収納は電子決済ではない。

 

8)行政相談システム

意見:市民相談システムに名称を変えるべきである。

理由:総務省が行っている行政相談(国の業務や特殊法人・独立行政法人の業務のほか、都道府県・市町村の業務のうち国からの法定受託事務及び補助に係る業務について、国民からの苦情や要望を受け付け、公正・中立な立場から、その解決を図っているもの)と、誤解を生みやすい。現在、高槻市が行っている市民相談のことをいうのであれば、名称を変えるべきである。なお、現在でもメールでの相談受付もなされている。相談業務は、解決のためには直接に話を聞くことが重要であり、電子化がどこまで必要か、十分検討すべきである。

 

9)デジタルミュージアム

意見:実施内容に書かれている文化財資産という言葉は文化財保護法にはなく、文化財にすべきである。

理由:高槻市独自の用語を使うべきでない。

 

意見:資料館ではなくしろあと歴史館にすべきである。

理由:資料館というのは歴史民族資料館があるが、市として規模が大きいのはしろあと歴史館である。こちらのほうを明記すべきである。

 

10)ICカード等の多目的利用サービス

意見:実施内容にあるICカードの市立中学校の生徒証に利用するを削除すべきである 

理由:市内中学校の生徒の生徒証は生徒手帳と一体となっている。この生徒証を利用するのは、中学生あることを証明する場面であり、映画鑑賞等の場合など、ほとんど使う場面は無く、現状の生徒証で十分である。ICカードとはICチップを埋め込んだものであり、3年間の出欠や成績をチップに埋め込んで管理するのが目的かともとれるが、それならば、生徒のためではなく、中学校側の管理のための生徒証になる。全国各地でICカードを中学校の生徒証の検討している事例はない。また、住基カードを生徒証に利用するのであることを検討するのであるならば、法律には、住基カードの利用例として中学の生徒証への利用はあげられていない。この計画はあまりにも唐突、実現不可能な案であり、削除すべきである。もし、生徒証をICカードにすることにより、生徒が便利さが増すというのでアクションプログラムにあげたのであれば、その便利さを計画案の段階で明確に説明すべきである。

意見:ここでいうICカードが住基カードなのかそれ以外のICカードを高槻市が新たに作るのか、この部分の説明では不明であるが、ICカードの多目的利用の検討は削除すべきである。

理由:民間利用も視野に入れた住基カードの多目的利用や新たなICカードによる多目的利用を、高槻市独自で開発し、3年間で運用にこぎつけることは費用面でも不可能であり、また市民の側にもどれだけそのようなサービスのニーズがあるのかも不明である。このような実現不可能なことは計画案の3年間のアクションプログラムに掲載すべきではない。

 

<第3章アクションプログラム V個別プログラム2)行政内部の電子化の促進> 

 

6)電子会議室

 

意見:名称を変更すべきである。

理由:電子会議室というと、P40のコミュ二ティ交流システムの実施内容に書かれている24時間参加可能な電子会議室とまぎらわしい。ここでいう電子会議室は庁内の会議をパソコンを使いペーパーレスで行うというものであり、それならば、名称を変えるべきである。

 

<第3章 アクションプログラム V個別プログラム 
市民との協働等によって実現していくもの> 

 

2)コミュニテイ交流システム

意見:現在のコミュニテイ活動以外に新たなものをつくるというのであれば、「市民コミュニテイ」などのまぎらわしい名称は使うべきではなく、例えば「電子コミュニテイ」などにすべきである。

理由:現在のコミュニテイ活動の充実にITを利用することを支援する施策と新たな「市民コミュニテイ」を形成するためにITを利用する施策が、混在して書かれている。どちらに力点をおいているのか、明確にすべきであるし、違いもはっきりさせるべきである。

 

3)介護・子育て支援システム

意見:介護の分野での現状を踏まえた情報化の課題を明記すべきである。

理由:介護保険の分野では全国の福祉医療保険関連の情報を提供しているWAM NETがある。この上に新たなネットワークをつくるというのであれば、現状のネットワークの課題を明確にしてからにすべきである。

 

<第3章 アクションプログラム W『電子自治体:高槻市』のイメージ>

 

2市民側から見たイメージ (3)情報ネットワークで享受する豊かな文化

意見:デジタルミュージアムで、施設等に出向かなくても自宅のパソコンから鑑賞できるとあるが、デジタルミュージアムをきっかけに施設や遺跡等に出向いてもらい、実物を鑑賞してもらうに変える。

理由:美術作品は本物にまさるものはない。デジタルでの出会いはあくまでもきっかけであり、本物を見てもらうことが本来の目的である。

 

イメージ図

意見:これはアクションプランの体系図である。アクションプランが実現した時に、市民サービスがいかに向上するのか、市民生活を主体にした図にすべきである。

理由:計画の一番の目的は住民サービスの向上である。このことが判るアクションプランが実現した際には、どう便利になるのか、市民の立場からわかる図にすべきである。

 

<その他>

意見:本文全体を「です・ます調」に変えるべきである。

理由:全部を調べきれなかったが、高槻市の行政計画は、「です・ます調」で書かれている(総合計画、環境基本計画、児童育成計画、老人福祉計画・介護保健福祉計画等参照)。計画を市民にわかりやすくするためには、「です・ます調」のほうがよい。なお、この計画の「はじめに、第1章、第2章」は、「電子自治体研究部会」の報告書をベースに書かれているため、庁内職員が自らに向かって書かれたトーンになっている。市民にわかってもらうという姿勢が伝わってこない。

 

意見:第2章基本方針U推進体制の中に、職員人材育成の充実を盛り込むべきである

理由:P11の情報リテラシーの中でも、職員の現状について、一部先進的な職員はいるもののと記載されている。ワードやエクセルの使いかただけでなく、国の動き等も十分把握し、個人情報保護を徹底させ、市民サービスの向上のためにITをどのように生かすかを提案できるような人材育成のプログラムを盛り込むべきである。

 

意見:計画には、策定経過や策定にかかわった組織名やその設置要綱、基礎資料(計画案P19記載の2点)なども添付すべきである。

理由:行政の説明責任を果たすためには、策定の経過、策定者、検討経過などがわかるように資料を添付すべきである。現情報化計画だけでなく、前述した総合計画等にも、それらが添付されている。

 

意見:計画、とりわけアクションプランは、担当課とも話し合って作成すべきだし、再度計画全体を全庁的に検討すべきである。

理由:計画案は1月25日に市民意見募集が始まったが、2月2日に6箇所の訂正がされた。これらの訂正箇所は、あまりにも初歩的な間違いであり、サービス担当課が計画策定に関っていなかったのではと思われる。再度全庁的に計画を検討し、庁内の全体のものにしてから正式の計画にすべきである。担当課がこの計画について熟知していなければ、市民への説明責任が果たすことはできないし、いくらトップダウンだといっても現場にそのニーズがなければ、絵に描いた餅になってしまう。市民サービスを向上させるためにITを使うのであれば、市民と向き合った現場にどのような課題があり、その解決のためにどうITを利用するのかという視点から計画は策定すべきである。

 

以  上