私の主張
テロにも報復戦争にも戦争協力にも反対です!

 私の所属する高槻市議会では、「NY同時テロ」発生直後から、市議会としてテロを許さない決議をあげようと、与党(民主も含む市民連合、自民、公明)内で動きがあった。野党共産党とも調整が進み、最後に野党無所属の私にもこれでいきたいと下記の決議案文の打診があった。17日(月)朝一番に本会議で採決したいとのことだった。

「米国における同時多発テロに関する決議」

去る9月11日、ハイジャックされた複数の民間航空機がニューヨークの世界貿易センタービル、ワシントンの国防総省などに突入した事件は、人類と文明に対する想像を絶する野蛮かつ卑劣極まりない破壊行為である。こうした人命を無差別に奪うテロは、平和と民主主義に対する重大な挑戦であり、断じて許されない。高槻市は、「非核平和都市宣言」を採択し、「恒久平和と平和を愛する文化都市」を宣言している。高槻市議会は、この事件で犠牲になった方々と家族に対し、深い哀悼の意を表するとともに、こうした残虐なテロ行為を厳しく指弾するものである。         

平成13917日高槻市議会

アメリカはすでに、テロの犯人としてウサマ・ビンラーディン氏をあげ、彼を匿うアフガニスタンのターリバンに報復戦争を宣言していた。15日の段階で言わなければならないことは、このアメリカの報復戦争にも反対することであるが、この決議案にはそれが書かれていない。しかし、それを申し入れても、高槻市議会の会派構成上、受け入れられないことは目に見えている。私は悩んだ。 

他市においても、同じような趣旨の決議に対して、市民派と言われる議員のなかから「こんなものを出して何になる」と批判する議員もいた。しかし、議会の決議や意見書は、政府の施策や世論の形成に一つの役割を果たしていることも事実であり、この決議に私は反対もできない。

私は、「テロは許されない。アメリカの報復戦争も国家によるテロであり、許されない。犯人を裁くのであれば、国際法に基づき、国際法廷で。平和への努力はあくまで軍事によらず非暴力で」と自分の意見を本会議場で明らかにしたうえでこの決議に賛成した。しかし、本会議場では、背景としてあるアメリカの帝国主義の問題がかかれていない以上賛成できないと反対した議員があり、全会一致にはならなかった。

10月に入り、アメリカは空爆を開始し、アフガニスタンの制空権を握った。そして特殊部隊を投入、地上戦に入りつつある。それにあわせ、戦争を恐れる難民の増加や誤爆による一般市民の被災が伝えられる。いったん戦争で破壊された街の復興には長い年月が必要になる。それ以上に、戦争で負った心の傷は世代を超えて残る。いよいよ11月からはアフガニスタンは本格的な冬の到来、餓死者、凍死者が激増するのではと危惧されている。人道的措置を考えるなら、何よりもまず、難民をうみだす戦争をアメリカは中止すべきだ。

そして、実行犯と言われる人たちとビンラーディン氏を結ぶ証拠があるなら国際法廷で国際法に基づき裁くべきである。この原稿を書いている今も爆撃に脅える人たちのことを考えると心が痛む。日本政府は、アメリカやNATOに追随するのではなく、憲法9条に基づき、独自の平和外交をすべきだ。

20日(土)、急遽立ち上げた「戦争に反対する高槻・島本議員ネットワーク」(無所属市民派7名)が、高槻で緊急講演会を開催した。講師の酒井啓子さん(アジア経済研究所研究員)は、講演のなかで「アメリカの報復戦争開始は、アメリカ経済の行き詰まりを隠すためではないか」と指摘された。過去の歴史が示すとおり、国内の政治や経済が行き詰まったときに、「大義名分」を立てて他国に侵略を始めるのが為政者の常套手段である。

「小泉改革」「改革ファイヤー」と鳴り物入りで発足した小泉内閣だが、構造改革は官僚や既得権益集団の厚い壁に阻まれ、経済の立て直しも思うように進んでいないのは明白である。彼がこの間してきたことは、大衆受けするパフォーマンスで覆い隠しながら、靖国参拝など平和憲法改悪の地ならしを着実に進めてきたことである。

この間の政府の対応、及び今週参議院で審議されるテロ対策支援法(報復戦争参戦法)など三法案に対する衆議院での審議は、立法府を放棄したのかと思うほどひどいものであった。自衛隊海外派遣は、実質、平和憲法をないがしろしたものであり、元自衛隊員の人たちからも拙速な審議に疑義が呈されているありさまだった。憲法に抵触するような法律を十分な議論もせぬまま、いとも簡単に成立させるこの状況は、まさに民主主義の危機といえる。

さらに、このあと、PKO法の改正として、PKF(国連平和維持軍)本体にまで自衛隊を派遣できるようにしようと考えられている。また、教育基本法の改悪に向けて、11月にも中央教育審議会に諮問も検討されている。戦争責任を曖昧ままにしてきた社会が、一歩一歩、いつかきた道に戻りつつある。

国旗・国歌法成立による学校の卒業式、入学式における「日の丸・君が代」導入について、今春の歴史・公民教科書採択問題についてなどで、地方議会でも歴史認識についての議論がなされている。今後も国政の流れと連動した問題に対して、私は「テロにも報復戦争にも戦争協力にも反対」「平和憲法を守る」立場で発言を続ける決意である。去る9月14日、米下院で武力行使を認める決議が採択されたが、民主党の女性議員バーバラ・リー議員が一人反対票を投じたとのニュースに私は勇気づけられた。「誰かが抑制をきかせねばならない」という彼女のコメントどおり、私も行動していきたい。そして、私の議会での発言が、地域での反戦・平和活動の盛り上がりに少しでもつながればと期待している。