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palmware for musician
Palm/ワークパッドと一緒に音楽するためのソフトウェア

Music Box
(ZBoxZ ver.0.25rc6)



基本編

(1) 概要

 Music Boxは、これまでMIDI File Player(playmidi)と呼ばれていたソフトウェアが、ZBoxZというプロジェクトに組み込まれ、生まれ変わった新バージョンです。旧MIDI File PlayerにあったPalmOS 3.5での不具合も解消されています。

 画面は、こんな感じ。

 まさに、私たちがこれまで「MIDI File Player」の名前で親しんできた、あのおなじみの画面です。

 Music Boxは、Palm上のMIDIプレイヤーと母艦上のコンジットから成り立っています。コンジットを作り込むことで、従来版の、MIDIファイルをコマンドラインベースのコンバータで変換する手間が不要になっています。

 具体的な操作手順は次のようになります。

 以下、Windows上での例です。

  1.  まず、Palmで再生したいMIDIファイルを母艦の所定のフォルダ(後述)にコピーします。

  2.  あとは、普通にHotSyncするだけです。

     「Syncronizing ZBoxZ」のメッセージをご確認いただけると思います。
     今まさに、コンジットが、MIDIファイルを自動的にPalm用の.prcファイルに変換して、Palmにインストールしているところです。

  3.  では、ちゃんとMIDIファイルがインストールできているか、Palmを確認してみましょう。

     これが「ZBoxZ」を起動したところ。MIDIファイルはPC上と同じく「CANYON.MID」と表示されるので、ひと目でわかります。「CANYON_MID」を選択して、下の「Media」をタップ……

     次に、下の「Music」をタップ……

     これで、MIDIプレイヤー「Music Box」にたどりつきました。
     あとは、PalmをMIDI音源に接続して、再生ボタンを押すだけです。

(2) セットアップ

 Music Boxを使うのに必要なファイルは、ZBoxZのオフィシャルサイト

http://palmboxer.sourceforge.net/

にある、「zbz030a.zip」というアーカイヴです。ページ真ん中あたりにある太字部分

Downloads
Prior Test (Release Candidate!) Version: 0.25r6
Latest Beta Version: 0.30

のすぐ下、

zbz030a.zip is a beta ……

のところのリンクをクリックすると、ダウンロードできます。

 なお、以下の説明は、オフィシャルサイトにあるクイック・スタート・マニュアルを全面的に参考にしています。(私がマニュアルを読み違えていなければ……。)ご不審の点があれば、お手数ですが、本家マニュアルに当たってください。

 「zbz030a.zip」を解凍すると、結構、たくさんのフォルダができあがります。エクスプローラで見ると、こんな構成。

以下の画像と解説は古いヴァージョンのアーカイヴについて書かれていますが、基本的には現行ヴァージョンでも通用します。細かい食い違いは、読み替えてください。

 「..\zboxz\Docs」以下には、マニュアル類が入っています。
 「..\zboxz\binaries」以下が、母艦とPalmにインストールするプログラム本体、他のフォルダには、各プログラムのソースが入っています。

 まず、Palmに必要なファイルをインストールしましょう。

(2.1) Palm側のセットアップ

 必要なプログラム(.prc)は、「..\zboxz\Binaries\PalmOS」に入っています。

 結構たくさんのファイルがありますが、MIDIを利用するには、とりあえず、次の2つのファイルだけインストールしておけば大丈夫です。(インストールは通常の方法でOK。)

  • zboxz.prc …… ZBoxZのプログラム本体
  • musicbox.prc …… MIDIプレーヤー

 他のファイルの用途は、およそ次のようなことらしいです
 (動作は未確認です、興味のある方がおられたら、是非、試して、使用感を教えてください)。

  • boxerpng.prc …… 画像(PNG, GIF)ビューワ
  • capbmp.prc …… new! 画面キャプチャーツール(使用法は調査中)
  • zfaxz.prc …… new! Faxツール(使用法は調査中)
  • RUnZip.prc …… Comprc.exeで圧縮したファイルをPalm上で自動解凍するツール
  • SyncUnZip.prc …… SyncZIp.exeで圧縮・インストールしたファイルを自動実行するツール
  • lobrowz.prc …… PalmVII以外の機種でウェブ上のBOXをダウンロードするツール
  • atache.prc …… Web上のBOXファイル一覧を表示するツール
  • SysZLib.prc …… Unzipライブラリ(RUnZip、SyncZipを使うときは必須)

*Visorの場合は「Visor」フォルダ内のファイルが必要。
*PalmVIIの場合はlobrowz.prcの代わりに、「WebClip」フォルダ内のファイルを使う。

(2.2) 母艦側のセットアップ(Windowsの場合)

 次に、母艦側にコンジットをインストールします。

 必要なのは、「..\zboxz\Binaries\Win」にある7つのファイルです。

  1.  タスクトレイにHotSyncマネージャーが起動している場合は、一旦、終了させてください。

  2.  その上で、まず、上の6つのファイル(「zlib.dll」以外)を、PalmDesktopの入っているフォルダ(デフォルトでは「C:\Palm」「C:\WorkPad」)にコピーします。

  3.  残った「zlib.dll」は、システムフォルダ「C:\Windows\System」にコピーします。(MIDIしか使わない場合は、この作業はしなくてもいいですが、念のために、やっておきましょう。)

  4.  次に、もう一度PalmDesktopの入ったフォルダに戻って、先ほどコピーした、「boxrinst.exe」というファイルを探しだして、ダブルクリックしてください。

  5.  こんなウィンドウが出ると思います(「ZBoxZをインストールしますか? 」)。ここで「はい」をクリックすると、インストールが完了します。

     「インストール」の実態は、レジストリにZBoxZコンジットを登録することみたいです。反対に、上のダイアログで「いいえ」をクリックすると、レジストリからZBoxZの情報が消去され、コンジットをアンインストールできるようになります。

     ここで、HotSyncマネージャーをもう一度立ち上げて、Palmと母艦をHotSyncしてみてください。

     そして、HotSync後に、PalmDesktopのフォルダの中から、貴方のマシンのHotSyncIDのついたフォルダ(下の画像の場合は「tsm100」フォルダ)を探しだして、中を確かめてみてください。「UnBoxed」という名前の空のフォルダが生成されていれば、コンジットのインストールは成功しています。

  6.  いよいよ、最後の仕上げです。今開いている貴方のHotSyncID名フォルダの中に、「ToBox」という名前のフォルダを作ってください。このフォルダにMIDIファイルをコピーしておくと、次のHotSyncの時に、コンジットがファイルを自動的にPalm側にインストールしてくれます。

     インストールの度にこのフォルダを開くのは面倒なので、デスクトップに、「ToBox」フォルダへのショートカットを作ると便利です。

(3) ZBoxZの特徴

 Music Boxは、ZBoxZというソフトウェアに組み込まれたビューワという位置づけになっています。そこで、最後にZBoxZ全般の特徴についても、簡単にまとめておくことにします。

 ZBoxZの公式サイトを見ると、最初に、

Palmの「あらゆる」ファイルの梱包(パッケージ)、転送、管理 etc.

と書いてあります。とにかく、どんなファイルでもPalmに入れて、持ち歩いて、可能ならば閲覧できるようにしてしまおうという発想みたいです。

 MIDIファイルを例に、具体的に、流れをおさらいしてみましょう。

  • 梱包・転送・ボックス

     最初の回にご紹介したように、母艦上のMIDIファイルを所定のフォルダに入れておくと、ZBoxZのコンジットが、自動的にprcファイルに変換してくれます。

     これがZBoxZで言うファイルの「梱包(パッケージ」、「転送」。

     技術的なことはわかりませんが、この時、ファイルの内容には、ほとんど手を加えていないで済むように工夫しているようです。ちょうど、書類を箱に入れて、小包にしてPalmへ郵送するような感じ。そういうニュアンスをこめいるのでしょうか、梱包されたprcファイルは、ZBoxZのドキュメントでは、「ボックス」と呼ばれています。

  • ボックスの管理

     Palm上で、ZBoxZを起動すると、インストール済みの「ボックス」の一覧が表示されます。

     ここで、「(Un)Zip」ボタンを押すと、ファイルを圧縮することができますし(SysZlib.prc等をあらかじめインストールする必要あり)、画像(PNG形式)やMIDIファイルの場合、「Media」ボタンでビューワを呼び出し、Palm上で閲覧できます。

     また「AllDB」ボタンを押すと、Palm内部のすべてのプログラムやデータを見ることができます。

  • ボックスのバックアップ

     Palm上のボックスは、次にHotSyncした時、コンジットがPC上の「UnBoxed」というフォルダにバックアップしてくれます。

     しかも、アイコンを見ていただければわかるように、prcファイルが、MIDIファイルやtxt、zipに書き戻されています。

 ZBoxZが面白いのは、

どんなファイルでも転送可能

というところです。

 例えば、ジャストシステム「一太郎」の文書ファイル(.jtd、しかも日本語ファイル名)で試してみましょう。

 これは、英語版PalmやZDocZプログラムにとっては、どう考えても未知のファイル形式だと思いますが、所定フォルダに入れておくと、HotSync一発で、ちゃんとPalmに転送できます。

そしてもう一回HotSyncすると、再び.jtdに書き戻されて、所定フォルダにバックアップされています。

 例えば、会社のWord書類をZBoxZコンジットでPalmに転送して持ち帰って、自宅のパソコンに落とすこともできるわけです。HotSync作業だけで、転送が完了するというのが、手軽でいいのではないでしょうか。

 公式サイトの言い方を借りれば、

小さなファイルを運ぶためのフロッピーが不要になります。

 現状では、結構大がかりな仕掛けの割に、具体的に「これ」と言える目玉機能がいまひとつ見えない気もしなくはないですが、ZBoxZの作者さんは、最近、毎日のようにヴァージョンアップを繰り返しておられます(MIDI関係は一段落して、今度は、Palmの画面キャプチャーやモデム経由のFax機能に取り組んでいるみたいです)。また、今回、私は検証できなかったのですが、ウェブ上のデータを取り込む機能も備えています。将来性は十分、というところではないでしょうか。これからの発展に注目したいと思います。


応用編

(1) コンジットを使わずに、MIDIファイルを手動でコンバート

 「基本編」に書いたように、ZBoxZコンジットをセットアップすると、MIDIファイルを自動的にパームにインストールすることができます。

 しかし、作者のサイトによると、VisorのUSB版HotSyncマネージャーの場合、ZBoxZのコンジットが上手く動かないようです。また、MIDIデータを扱うのに、毎回HotSyncするのは手間だという場合もあるでしょう。

 そういう場合のために、ZBoxZには、「WinBox」(WIndows用)、「MacBox」(Macintosh用)、「LinBox」(Linux用)というツールが附属しています。これを使うと、PC上のファイルを手動でパーム(ZBoxZ)の形式に変換することができます。

 以下、「WinBox」について説明します。

 プログラムは単独の実行ファイル(WinBox.exe)なので、任意のフォルダに置いて、

タブルクリックで起動してください。すると……、

このようにファイル選択ウィンドウが開きます。

コンバートしたいファイル(のあるフォルダ)に移動して、ファイルを選択、「開く」ボタンを押すと、

→「開く」→

 もとのファイルの後ろに「.pdb」のついたファイルが出来上がります。

 あとは、このファイルを通常のパーム用プログラム(.prc)やデータ(.pdb)と同じようにインストールすればOKです。

 TRGproやCLIEのように、外部メモリカードを利用できる機種の場合、上の作業で出来上がった「*.mid.pdb」ファイルを外部メモリ(コンパクトフラッシュやメモリースティック)経由でインストールすることもできます。
 また、TRGproの「AutoCF」を使えば、MIDIファイル(「*.mid.pdb」)をCFカードに置いたままでも再生できます。おそらく、CLIEでも同等のことができるのではないでしょうか。

(2) メモリカード(CF, MS, SD)内のMIDIファイルを取り込む

 ZBoxZの最近のテスト版(ZBoxZ 0.30aなど)には、「ZCardZ」というユーティリティが付属しています。VFS対応のファイラーです。

 このZCardZを使うと、メモリカード(CF, MS, SD)上の任意のファイルをパームに上にBoxとしてパームに取り込むことができます。

 実際にやってみましょう。

左のような構成のメモリカードをZcardZで見ると、


こんな感じ。

 ここで、「/midi/」というフォルダをタップすると、

 フォルダの中に移動します。MIDIファイル(.mid)が見えますね。

ちなみに、上の階層に移るには「GoDir」ボタンです。タップと「GoDIr」ボタンの組み合わせで、カード内のすべてのフォルダに移動・アクセスすることができます。

 例えば、「truth.mid」をパーム本体に読み込む場合は……、

 まず、「truth.mid」を選択・反転させた状態(左)で、下の「Install」ボタンを押します。
 そして出てきた画面(右)で、今度は「ToBox」ボタンを押す。
 これで、おしまいです。

 ZBoxZを起動してみると、

 確かに「truth.mid」というファイルが見えます。インストール成功です。

 MIDIファイルですから、もちろん再生することもできます。

 「truth.mid」を選択した状態(左)で「Media」→「Music」と進めば、MusicBoxのプレイヤー画面が開きます(右)。

 MIDIデータの再生には、相変わらず外部MIDI音源が必要ですが、これだけ簡単にPCのデータを取り込むことができるとなると、パームでMIDIを楽しむ上での「敷居」が、また少し低くなったと言えるのではないでしょうか。

(3) ウェブ上のMIDIファイルを直接ダウンロード

 ZBoxZには、LoBrowzという簡易ウェブ・ブラウザが附属しています。URLを指定して、ウェブからパームにファイルを直接ダウンロードするためのツールです。

ウェブクリッピング機能を内蔵したPalmV用には、さらに高機能な「BrowZ」というプラグインが用意されているようです。すべて、ZBoxZのパッケージに同梱されています。

 このツールを使うと、MIDIファイルをネットから直接ダウンロードできます。URLさえわかれば、母艦を介さず、好きなMIDIファイルを取ってきて、MusicBox(やTapster)で再生できるわけです。

 「palm - music」内の置いたテスト用ファイルを実際にダウンロードしてみましょう。

http://www3.osk.3web.ne.jp/%7Etsiraisi/palm/test/haru.mid

  1.  まず、標準のネットワークなどを使ってインターネットに接続しておいて、

  2.  LoBrowZを起動、上のURLをフルパスで打ち込みます。

    チルダ「~」などの記号類はエンコードしてくれないので、「%7E」などのように書き換えておいてください。クリップボードに対応しているので、長いURLは、メモ帳などからコピー・ペーストするといいと思います。

     あとは、画面下の「Download」ボタンを押すと、ダウンロードがはじまります。

    スクリーンショットは取れませんでしたが、上手くアクセスできると、「Wait」、「HTTP....OK」などの文字が、画面下部に表示されます。

  3.  ZBoxZを起動すると、ちゃんとMIDIファイル(.../haru.mid)がダウンロードできています。

  4.  では、MusicBoxで、このMIDIファイルを開いてみます。

     「基本編」のおさらいになりますが、ファイルを選択・反転してから、画面下のボタンを、「Media」→「Music」と、順番に押して行くと、

    一番右のように、MusicBoxが開くので、あとはMIDI機器を接続して、データを再生するだけです。

 LoBrowZは、PalmVIIのウェブクリッピングが実用化されているアメリカの状況を踏まえて作られたツールのようです。日本でも、Palm.Netの計画が発表されているようですが、LoBrowZで、一足先に、クリッピングもどきを体験するのも、面白いのではないでしょうか。

 パーム用のFTPソフトというと、DataDive!が有名ですが、このLoBrowZでも、ダウンロードしたHTMLファイルを、Doc化することができます。
 また、通常のパーム用プログラム(.prc)をダウンロードして、パームにインストールすることもできます。LoBrowZとZBoxZがあれば、(まるでZaurusみたいに)単独でウェブとやりとりできるわけです。(LoBrowzについて、詳しくは、「palm - music」2001年1月10日の記事をご覧ください。)

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