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Palm/ワークパッドと一緒に音楽するためのソフトウェア

「700」と「750」
――クリエの音楽再生機能について――

[改訂 10/15 14:30] 各節の見出しを若干変更、あわせて、目次を追加しました。

 ソニーのクリエ、型番「N700」番代のシリーズには、専用DSPによる音楽再生機能が搭載されているわけですが、この系統は、パームOS搭載機の中でも際立って動きの激しい機種となっています。

 4月の初代「しろクリ」(N700C)以来、翌5月のMP3再生可能な英語版(N710C)発売、6月のAudioPlayer(v2.0.1)へのアップグレードサービス開始、8月のOS4.0搭載の英語版N760Cの登場、そして、9月の日本語版新機種 N750C発売、さらに、11月にはシリーズ初代機しろクリのOSアップグレードサービスが予定されている、というように、ほとんど毎月のように新製品や新サービスが出ています。

 にぎやかに盛り上がっていて、嬉しいのはもちろんなのですが、やや状況が錯綜しつつあるような気もします。

 以下、日本語版の新旧2機種、N700CとN750Cに的を絞って、音楽再生機能の概要をまとめてみました。

  1. 「700」登場――PEG-N700C の音楽機能について

     まず、基本の復讐という感じになりますが、初代「しろクリ」の音楽機能について。

     ご存じの通り、しろクリ出荷状態だと、AudioPlayerはv1.0。対応しているのは、ATRAC3だけです。MP3は再生できません。

     でも、AudioPlayerをv2.0.1にアップグレードするサービス(有償、サービスは10/31で終了)というのがあって、これを適用すると、MP3が再生できるようになります。

     ただし、ソニーが再生を保証しているのは、

    ビットレート 32〜96kbps

    128kbpsのデータは、エラーが出たり、再生不能になる、というわけではないですが、ノイズが出たりする場合があるようです。

     MP3は、128kbpsが「CD並みの音質」などと言われていますから、しろクリ PEG-N700Cでは、やや音質を落としたものしか再生が保証されていない、ということになるでしょうか。(現実には、128kbpsで使っている人もいるようですし、逆に、通勤・通学時などの騒がしい場所で使う分には、96kbps以下の音でも、大きな不満はないとは思いますが……。)

  2. 「700」を「750」に――PEG-N700C のOSアップグレードサービスについて

     次に、先頃発表された、PalmOS4.1へのアップグレード。その意義については、このレポートの最後に改めて考えてみたいのですが、とりあえず、まず、音楽再生機能に着目すると……、

     このサービスで、AudioPlayerもv2.1にバージョンアップするそうです。

     AudioPlayer v2.0.1を使っている人にとっては、現在RAM上にある500KB近いプレイヤソフトがROMに移動するということです。RAMを大幅に節約できるわけで、これだけでも、結構、嬉しいことだと思います。

     ただし、アップグレード後も、MP3で再生が保証されるのは、相変わらず

    ビットレート 32〜96kbps

     ここは少し残念なところ……。

     あくまで素人の想像ですが、ソフトウェアのアップグレードだけでは越えられないハードウェアの限界なのかもしれませんね。

  3. 最新機種「750」――PEG-N750C の音楽機能について

     一方、最新機種のPEG-N750Cは、出荷段階で既に、OS4.1、AudioPlayerはv2.1になっています。

     PEG-N750Cの付属アプリケーション取扱説明書(P.90)を見ると、


     Audio Player Ver.2.1では、以下の仕様のMP3形式の音楽ファイルを再生できます。

     ・エンコーディング形式:MP3 (MPEG-1 Audio Layer-3)
     ・サンプリング周波数:44.1kHz
     ・ビットレート:32〜128kbps
     ・拡張子:.mp3または.mp

     一部の音楽ファイルでは、上記の条件を満たしていても再生できないことがあります。

     N750Cは、128kbpsを正式にサポートしているようです。

     N750Cで、具体的にどこがどう改良されたのか、というのはよくわかりませんが^^;、とにかく、N700Cは、96kbps以下をサポート、N750Cは128kbpsの動作を保証しているようです。

  4. 「700」vs「750」――両機種の音質比較,

     PEG-N700CとPEG-N750Cで同じ音楽データを同一条件で再生した場合、音が少し違う、という感想を私に伝えてくれた人がいます。

     私自身も、ショップの店頭で(こっそり)聴き比べてみました。違うと言えば違うようでもあり、その時はあまりはっきりした感触を得ることはできませんでした。(パソコンショップの喧噪の中だったので……。)

     そもそも、700/750の両方を持っている人というのが稀だと思うので、なかなか確認できないことだと思いますし、まあ、わかったからどうだ、というものではないのですが、少し気になったので、簡単な実験をしてみました。

     具体的な実験結果は別ページにまとめてみました。興味のある方はご覧ください。

    クリエPEG-N700C/N750Cの音質比較

     結果を言うと、私が今回、測定した限りでは、残念ながら、N700CとN750Cの再生音に、はっきりした違いを見出すことができませんでした。

     別の曲、別の箇所にはその違いが明瞭に表れるのかもしれません。また、もっと上手に録音して、緻密な測定をすれば、今回、調べた部分にも何かの違いを見つけることができたのかもしれません。

     でも、私の測定環境・方法はかなり一般的な手法だと思っています。このやり方で違いが出なかったということは、音質の違いは、(あったとしても)「耳ではわからないレヴェル」と見ていいんじゃないかな、という気がしています。(あくまで私の現時点での判断、ですが……。)

     上で述べたように、N750Cは128kbpsのMP3を正式サポートしているそうですから、何らかの変更があったのだろうと想像できます。ですが、この測定から推測できるかぎりでは、そうした変更は、再生音質の変更もしくは改良を主な目的とするものではなかった、ということなのかもしれませんね。(クリエのDSPの音質は、N700Cの段階で既にとても評価の高いものだったわけですし……。)

  5. まとめ――PEG-N700CのOSアップグレードの意味

     以上、あくまでスペック表や簡単な実験からの推測であって、当たっているかどうか、自信はありませんが……、ここまでの情報を見る限り、N700CとN750Cの音楽再生機能は、MP3の128kbpsの動作保証の有無、以外に目立った違いはないようです。

     一方、音楽以外の機能、例えば、最新OSや16ビットカラーの表示などは、ほぼ、N600で達成されていたことを継承しているように見えます。既に各所で言われていることですが、N700Cが新しいことにチャレンジするマシンだったのに対して、今回の750は、様々な試みのまとめ、集大成なのかもしれません。

     そして、11月に予定されている、PEG-N700CのPalmOS4.1へのアップグレードは、その最新版の恩恵を、しろクリで享受するチャンスということになりそう。

     このアップグレードの意味は大きくて、しろクリを限りなく最新機種に近づけるサービスなのだと期待してよさそうに思えています。

     手になじみ、愛着のあるPDAを長く使い続けたいというのは、ユーザーの素直な気持ちだと思います。その意味で、OSのアップグレードは、とても嬉しいサービス。

     英語版Palm(Pilot)では、過去に何度か同種のサービスがあったようですが、日本語版Palmでは、今回のSONYの措置が最初の試みになります。やや大げさに言えば、PDAとのつきあい方の質を決める、とても大切な一歩と言えるかもしれませんね。

     もちろん、すべては、かぎられた情報にもとづく仮説と推測。実際はどうなるか、蓋を開けるまで本当のところはわかりません。あくまで、最終判断は皆さん自身で下していただくしかないとは思いますが……。

(文責:白石、2001年10月16日)

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